【感想・ネタバレ】あなたの人生、片づけますのレビュー

あらすじ

社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、ある一部屋だけを掃除する汚部屋主婦……。『部屋を片づけられない人間は、心に問題がある』と考えている片づけ屋・大庭十萬里は、原因を探りながら手助けをしていく。この本を読んだら、きっとあなたも部屋を片づけたくなる!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

超身近なところだけをもとにした、まったく個人的な見解だけれども、片付けが苦手な人は「なにかを諦める」判断が苦手な人だと思っている。

人生では消極的な選択もたくさんあるんだけど、それを自ら選択したと思っていないケースも多いんじゃないかと、勝手に思っている。
たとえば、「転職しようと思ったけどしなかった」のは、「今の会社に残る」という選択をしているはずなんだけど、「転職という選択をしなかった」とだけ思っている、みたいな。

不本意だろうがなんだろうが、全部自分で選んだんだと、飲み込んで生きていくしかないじゃん、腹くくってさ、と思うんだけど、ついそれを口に出すと、「強いねぇ」と言われて終わったりする。

強い、というより、私はただ、延々と保留を積み重ねている状態が苦手なだけなんだけど。

とはいえ、なにかを判断するというのは、結構負荷がかかるもので、最近、実家の母がランチをなににするかみたいな些細なこともこっちに判断を投げてくるのもきっと判断が疲れるからなんだろうと思う。だから優しくできるわけでもなく、こっちに判断の労力押し付けてくるなという気持ちも湧いて出る。

見て見ぬふりをしたいところ、自分であきらめがつかないところを、どうにか整理していくには、片付けコンサルタントみたいなまったく外部からざっくり介入するのがよいんだろうなと思う。

介護だって、外の手を借りろって言うしね。

片付けの物語だけれども、こじれまくった関係性をどう整理するかという話。
そして、だれもが「ちゃんと判断してない」結果が、家の問題として表れている、という話。
どの話にもも、自分で気づくしかないよね、という示唆が散りばめられている。
まぁ、気づかせるための片付け屋・大庭十萬里のあえて無神経な図々しさみたいなところはあるけれども、それもひとつの荒療治。

4編の物語のうち2つは実家の片付けの話。物語のなかとはいえ、(親が)めっちゃ言いそう!絶対こういうのある!という感じで、こう……自分の実家・義実家の片付につい思いを馳せてしまった。

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2025年11月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この作家さんの作品は3冊目

高齢化社会・おひとり様生活・・・現代の生活の中でよく問題になる「家の片づけ」
部屋がきれいになっている基準は、本当に人によって差があって、
一緒に住んでいる家族でさえ 感覚は違うと思う。
それでも 足の踏み場もないような部屋に溜まる物や匂いは 誰もが(どうにかしなくちゃ)と思うはずだ。

1つ目の依頼先は 汚部屋に一人暮らしの三十路女性 春花
そんな部屋に訪れるのが「片づけ屋の大庭十萬里」
急に訪れた両親が部屋の惨状を見て 大庭に依頼したのだ。
「部屋を片付けられない人間は、心に問題がある」という大庭の理念のもと
様々な片づけの助言が繰り広げられていく。

大庭の助言は ちょっとずつ読んでいる自分に自問自答させて 気合を入れてくれる
汚部屋だけでなく、子どもが気にかけている一人暮らしの親、田舎の大きな家で子どもや孫の訪れを待つ母、子どもを失くして何も手につかない親・・・
それぞれの心の問題に寄り添い、無理強いではなく気づかせていく

少し涼しくなったこの頃 重い腰をあげて 一緒に年末までに片づけましょうか。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【あらすじ】
片付け屋で有名な大庭十萬里が携わった「清算」「木魚堂」「豪商の館」「きれいすぎる部屋」の4ケースの話。
・「清算」
生命保険会社に勤める32歳独身の永沢春花は汚部屋に住んでおり、41歳の既婚者悟史と不倫している。悟史が本気で離婚する気がなく他の社員にも手を出していることを知り、十萬里の助言もあり、悟史と別れ、同僚で子守を押し付ける同僚の綾子とも距離をとり断捨離にも目覚め始める。
・「木魚堂」
妻美津子に先立たれた木魚職人の国友展蔵は家事能力0で、娘で小学校教師の風味子が手伝いに来ている。風味子の息子春翔は高校一年で不登校になってしまったが、夏休みを利用して展蔵の家に泊まりに来る。十萬里の助言もあり、風味子は手伝いに来るのを辞め、展蔵は春翔や染物屋のエミと協力して家事や遺品整理をおこなっていく。
・「豪商の館」
78歳の三枝泳子には都会のマンションで暮らす英樹と睦美という家族持ちの子供がいるがほとんど会っていない。睦美の息子知也に、睦美は帝国ドリンクの部長を辞めて義母の介護をしていること、英樹は子会社に出向になり畑違いに苦労していることを聞き、十萬里の助言も受けて生前整理を始める。
・「きれいすぎる部屋」
最愛の息子祐介を交通事故で喪って以来、祐介の部屋の片付け以外の家事を放棄した池田麻実子には、高校生の娘沙耶加と中学生の娘菜々美がいる。十萬里の助言で、祐介と一緒に亡くなった竹田勇樹と森村太郎の母親達と会うようになり、息子の死を受け入れ、夫や娘達との関係も修復していく。
【感想】
垣谷美雨さんの作品に出てくる登場人物はなんだかんだ素直で最終的にはハッピーエンドになるが、現実の断捨離はなかなか難しい。家族構成や家の規模、物の多さや価値観がバラバラで「片付け」の正解も人それぞれ。
片付けられない人に読んで欲しい本なのに片付けられない人は読もうとしないし受け入れない。まずは自分だけでも。

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2025年07月27日

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