あらすじ
2017年1月から放送されるアニメ「鬼平」第一話の原作となった短編。
「血頭の丹兵衛」と名乗る怪盗が江戸市中を荒らしまわっていた。
盗みに入った家の人間を皆殺しにする残虐な手口に、江戸っ子は恐れおののき、
たまりかねた当局は長谷川平蔵を火付盗賊改方へ戻した。
かつて鬼平に捕らえられ、牢に押し込められている「小房の粂八」は、
役宅に戻った平蔵の顔を見ると、意外なことを口にした。
「いまお膝もとを荒らしているやつは、にせものの血頭の丹兵衛でございますよ」
そして粂八は、ある決心をする。
<「鬼平」と言われながら、実はまったく鬼ではない、悪人のことを徹底的に
やっつけるんだけれど、悪い奴らの中にも何かを見つけていくという鬼平の
すべてを表現しているような気がする>
(アニメ「鬼平」丸山正雄プロデューサー)
鬼平の世界の全体像が伝わってくる一編。
感情タグBEST3
シリーズを代表するエピソード
鬼平のアニメは未視聴なのですが、第1話にはこのエピソードが選ばれたようです。
小説ですと第1巻の3話目くらいに収録されていたかと思います。
悪党の中にも色々な者がおり、鬼平も厳しさと情け深さを併せもつ多面的な人物であり、善悪のレッテルだけでははかれない本作の世界観がよく表されているエピソードです。
小説版鬼平もいい
鬼平犯科帳はテレビドラマで何度も見ましたしこの「血頭の丹兵衛」の話も記憶に残っていました。それだけに小説という文字だけの世界で読むと新たな発見もありますね。台詞はあの役者さんの声で再生されますが流石池波作品、文章でも惹きつけられました。
密偵誕生
以降の鬼平犯科帳では、抜きでは語れない、小房の粂八が鬼平の手先となって初めて働き活躍。
鬼平好きには外せない一話。
もっと色々語りたいが、ネタバレになりそうなんで、是非読んで!
この一編だけでは何とも
池波正太郎の代表作 鬼平犯科帳の中の一編。
鬼平犯科帳は典型的な連作短編集なのでその中の一編だけでは正しい評価はできないが、それでも十分な面白みはある。
極悪非道の盗賊の正体が実は というところにひねりが入っていてなかなか読ませる。
池波正太郎なので文章は達者で安心感がある。