あらすじ
明智光秀はなぜ瞬く間に出世し、信長と相前後して滅びたのか――。
厳然たる「定理」が解き明かす、乱世と人間の本質。
各界絶賛の全く新しい歴史小説、ここに誕生!
永禄3(1560)年の京。
牢人中の明智光秀は、若き兵法者の新九郎、辻博打を行う破戒僧・愚息と運命の出会いを果たす。
光秀は幕臣となった後も二人と交流を続ける。やがて織田信長に仕えた光秀は、初陣で長光寺城攻めを命じられた。
敵の戦略に焦る中、愚息が得意とした「四つの椀」の博打を思い出すが――。
何故、人は必死に生きながらも、滅びゆく者と生き延びる者に分かれるのか。
革命的歴史小説、待望の文庫化!
解説・篠田節子
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
【2025年58冊目】
戦国時代の京――三人の男が運命的な出会いを果たす。若き兵法者・新九郎、破戒僧・愚息、そして十兵衛こと後の明智光秀である。新九郎と愚息の二人と十兵衛の交流を通して見る、明智光秀の出世と反乱の物語。
歴史小説というのは、さまざまな解釈で書かれているのが大きな魅力の一つのような気がしています。明智光秀――信長に謀反をし、秀吉に打たれた三日天下人。史実の概略だけを見るとただの謀反人ですが、命を賭した戦国時代に、謀反を起こそうと思ったまでに至ったのかは何故なのかを突き詰めると「確かになぜ」と思うところから本作が生まれたのかもしれません。
新九郎と愚息が実際にいたのかいなかったのかはわかりませんが、全く異なる価値観の二人から通してみる戦国武将たちの生き様は、新しい視点だなと思いました。もちろん、新九郎と愚息の人間性もきっちり書かれているのも良いですね。特に新九郎の人間としての成長はなかなかのものでした。
肝心の光秀に関しては、そうか、こういう人物だったのかもしれないなと思わせられる説得感がありました。実際に残る資料などから作者さんが推測されたのでしょうが、なるほどなと。あと、秀吉のことは嫌いそうだなと思ってちょっと面白かった。
四つの碁石の理については、読み進めるまでわからなかったのですが「信長だってすぐにはわかんなかったんだからしゃーないて」と思って開き直っていました。なるほど、そういうことか。私も賭け事してみようかしら。
歴史小説を読むことは少ないのですが、読みやすくて良かったです。
Posted by ブクログ
『ワイルド・ソウル』や『ヒートアイランド』の著者初の歴史小説。
数多くの作品になる明智光秀。
本作では、永禄三年の京で牢人中の身であり、若き兵法者と辻博打で身を立てる破戒僧との出会いから始まる。
本能寺の変が起こるまでが描かれる。
作中、仏教哲学が引き合いに出されるが、破戒僧のキャラ立ちが秀逸で、何とも言えない面白さ。
現代社会にまま置き換えられる。
『室町無頼』なる作品も出ているようなので、こちらも気になるところ。
Posted by ブクログ
光秀の話、と思ったら、その架空の友達、愚息と新九郎の話だった(!)。
面白かったんだけど、その架空の友達にもやもやする。結構この2人が深く入り込んでて、私はノンフィクション寄りの話が読みたかったのに、フィクション寄りの話になってた。
それは置いておいて、確率の定理は面白かった。4つのうち1つを当てる、最初1つにかけて残り2つを排除したら、単純に考えると確率は1/2になるけれど、本当は掛けてない方の1つには排除した2つの確率も合わさるから3/4になる。面白い。これが兵法にも通じる。そして日常生活にも通じるのかもしれない。常に目の前にあることだけではなく、全体、過去のつながりも計算に入れないと正しく判断できない。物事をその時代の倫理観だけで判断しても意味がない。
光秀は、明智一族復興のため尽力したけれど、それを楽しんではいなかったのではないか。そういった考え方がこの作者の面白いところだなと思った。
Posted by ブクログ
明智光秀が路上で椀と石を使った賭け事を行う愚息と出会い物事の仕組みについて悟る物語。目の前の変化に惑わされることなく確率論に基づき自分を変化させることが生き残ることに於いては重要だということを学んだ。
Posted by ブクログ
ベイズ統計の例題でよく取り上げられるモンティ・ホール問題がこの作品にも登場する。そう教えられて、その部分が気になって読みましたが、ストーリーやキャラクター自体も面白く一気に読み通してしまいました。戦国時代の人々の思想に関する説明も書かれていて、それも作品の中で重要なのですが、私はその部分はさらっと読み流し、キャラの魅力8割、モンティ・ホール2割の気持ちで楽しく読みました^ ^
Posted by ブクログ
「君たちに明日はない」以来の垣根涼介作品。時代小説で敬遠していたが、これまでと違う明智光秀の人となりを知ることできた。愚息と新九郎の存在が印象に残った。