あらすじ
流産を重ね授かった最愛の息子が池で溺死。絶望の淵で母親の知可子は、息子を産み直すことを思いつく。同じ誕生日に産んだ妹に兄の名を付け、毎年ケーキに兄の歳の数の蝋燭を立て祝う妻の狂気に夫は怯えるが、知可子は歪な“完璧な母親”を目指し続ける。そんな中「あなたの子供は幸せでしょうか」と書かれた手紙が――。母の愛こそ最大のミステリ。
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Posted by ブクログ
物語としてバチッと完結はしてない
自分の中にたくさんの問いかけを残したまま終わった感じ
母の育て方によって歪められた子供たちはこれからどうやって歩んでいくのかな
母に従い、愛すしかない子供たちが自ら「当たり前の、いわゆる普通の」道に辿り着くのは不可能なのかもしれないな
母には後悔はあれど、罪を犯したのも客観視し始めたのも大人になってからの出来事なわけで。子供に抱えさせてしまったものとは全くちがうものだとおもう
この本は独身時代に一度読んでるけどあまり印象に残ってなくて再読した。もうじき4歳になる娘がいる今読んだら、私の理想を押し付けてないか不安になった。
Posted by ブクログ
母と子の苦悩。1番後ろの解説を読んで、ようやくテーマが落とし込めた。
母親ってなんだろうか…?父親ではなく母親と子どもの苦悩…。
『完璧な子育て』なんてない、けど『ダメな子育て』はある。虐待、マルトリートメント。しかし多くの母親はきっとしている。解説にあった、『気づいて、修正する』ことで親子関係が造られていく、という文章に『なるほど』と思ったし、金髪で子どもを放ってパチンコに行く親=子どもを見ていない⇒あんな母親になっては行けない、という呪縛もしっくりきた。
良いも悪いも、こどもって親に愛されたいんだよなぁ、必要とされたいんだよなぁ…赦す許さないの問題じゃないんだよなぁ…向き合うって難しい。
はるこのストーカー行為は読み進めたら咀嚼できた。姉に関しては、姉の中でも自分を正当化するために生まれ変わりだと思い込んだんだろうなと。
解釈がないと整理できなかったので、評価は星3つ。テーマは好きだった。
Posted by ブクログ
第一章
友高波琉子
風間秋絵をビルから突き落とした。
風間秋絵
指名手配中にビルの屋上から飛び降りたものとして駐車場に倒れているところを発見された。
友高知可子
不妊症による流産を繰り返し、結婚八年目、三十歳のときに波琉を生む。
波琉
知可子の息子。
実
知可子の夫。波琉子が生まれてまもなく、T市から離れた。配置薬販売員から事務機器メーカーの営業マンに職を変えた。
波琉子
知可子の娘。
蔓井朱実
友高家が住むマンションの隣の三〇二号室に引っ越してきた。
大野初美
友高家と同じマンションの一〇一号室に住む。七十歳。
涼太
朱実の息子。
蔓井芳春
朱実の夫。
第二章
田尻成彦
新聞社勤務。築三十年の金星荘に住む。
長谷川芳乃
外資系化粧品メーカーの美容部員。
中江
成彦の左隣の部屋の住人。七十過ぎ。
松永
金星荘の一階に住む。四十代。
秋絵
成彦の姉。再会した成彦に池で溺れた男の子の生まれ変わりと言う。
友高波琉
ため池で溺れて水死した。
友高波琉子
食品メーカーの研究室に勤めている。
蔓井涼太
戸籍を売って松井俊になった。崖下で白骨化した状態で発見された。
佐々原敦志
波琉子に尾行されている。大学時代に波琉子と付き合ってた。
佐々原京香
敦志の妻。
風間花子
秋絵の母。
Posted by ブクログ
不妊治療、流産を経て授かった幼い息子を亡くし、その後に生まれた妹に対し兄の生まれ変わりである事を押し付ける母。ある時から急に「娘は娘」とハシゴを外したものの、娘はトラウマを抱えて今やストーカー。
その家の隣に住む、一見ダメ親風のシングルマザー。実は暴力夫から逃げている、幼い息子想いの良い母親…と思いきや、やっぱり実はダメ親。成長した息子もなかなかのダメ野郎で最終的には変死。
姉には異常に優しいのに弟には辛く当たる母。モンペ母が姉の友達に傷害事件を起こして一家離散、姉は死んだ男の子の生まれ変わり、と言い張り引きこもり。弟は人に距離を縮められると拒否してしまう、こちらも揃ってトラウマ持ち。
毒母親とトラウマ子供たちばかりが登場し、最終的にはなぜ現在の状態になっているのか、は分かるけど、子供世代のトラウマについてはなんの問題も解決せず、話は終わり。ミステリー感は薄く、読後感も悪し。まぁまぁかな
Posted by ブクログ
終始、どんよりと暗く重い空気に満ちた小説。
ミステリーとしての謎は解決されるのに、スッキリしないベタつくような後味の悪さから逃れられない、そんな物語を求める方にはオススメの1冊。
ただ、内容的に、現在進行形で毒親に苦しめられている人は読まない方が良い。
「完璧な母親」という言葉自体にはマイナスな要素は無いはずなのに、この言葉に漂う不穏な気配は何なのだろう。
読み終えても、それが晴れることはありません。
幼い子の人格に母親が如何に強い影響を与えるのか。そしてそれから逃れることは一生できないのではないか。そんな風に感じられました。
「完璧な母親」である知可子が息子を失ったことは本当に悲しい出来事であるのだけど、「産み直した」娘にそれを植え付ける過程の残酷さがとにかくエグい。
それでいて、自分だけはその「呪い」から逃れ「娘を娘として」切り離し、自分が「救った」他人の母子に勝手な夢を見続け、現在は娘に対し「良き普通の母」であろうとする姿。何も知らずに…。
最後の最後まで知可子は何も知らないまま物語は終わってしまうので、そこが最もモヤモヤする。後味の悪い話が好きな身としては、なかなか良い。
気になるのは、知可子の夫の死。不倫のことは知っていたわけだし、知可子が間接的に殺したのではと疑っていたのだけど、大して触れられなかったから本当に何もしてないのか…?
「家族」の形にこだわっていた知可子が自らそれを壊すとも考えにくいけど、そのまま夫を許すとも考えにくくて、その辺りが気になったかな。
Posted by ブクログ
先が気になってどんどん読んだ
二つの家族がどうつながるのか、
ただのお姉ちゃんの思い込みなのか、
子供を亡くすってことは想像したくないくらいに
つらいことだし心を病んでしまうのも分かる
でも途中でお母さんが気づいたことがまだ救いなのかもしれない
子供に刻まれたものは大きすぎたし
その後の人生を全て左右すること
自分に言いように記憶はねじ曲がるし
失ったものは取り戻せない
とりあえず悪いことをしたら逃げないってことかな
Posted by ブクログ
うーん、タイトルコレであってるの?ていう読後感。
亡くなった兄の代わりとして産み育てられた(途中で解放されてはいるけど)女の子は確かにかわいそう。完全に歪んじゃってるし。
そしていきなり出てきた兄の生まれ変わりと言い張っている引きこもりの女が出てきて「???」となる。その女も、結局は母親が影響で病んじゃったようなものだけど。
読んでて結構ホラーだった。