あらすじ
イスラム世界に対してキリスト教世界の最前線に位置するロードス島。コンスタンティノープルを陥落させ、巨大な帝国を形成しつつ西進を目指すオスマン・トルコにとっては、この島は喉元のトゲのような存在だった。1522年、大帝スレイマン一世はついに自ら陣頭指揮を取ってロードス島攻略戦を開始した――。島を守る聖ヨハネ騎士団との五ヶ月にわたる壮烈な攻防を描く歴史絵巻第二弾。
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Posted by ブクログ
コンスタンティノープル陥落と同様、戦争では兵士はただの駒なんだと実感。死んだらただ駒が減っただけ。
イスラム教徒にとって異教徒を殺すこと、その戦いの中で死ぬこと、それらはどれも名誉。全く理解できない思想だけど、これが存在していて今も一部で生きている。
キリスト教徒の戦士は、ヴェネチアやジェノバのような通商国家は少し毛色が違うように見えるけど、その他は自国と名誉のためなら命を惜しまない。
これが昔からずっと続いてるんだから、世界平和なんて私が生きているうちには訪れないな。
オルシーニの女、私もあのような形で愛する者を失ったらどうするだろう、と胸が痛くなった。
肉体的にも精神的にも疲弊しきっているだろうに、できる限りの正装を尽くして威風堂々と敵の陣営に降伏条件交渉をしに行く姿、想像した。その精神、見習いたい。
スルタンは冷酷な殺戮者なのに、それでもあの紳士的な対応にはうっかり胸を打たれてしまった。まさに、騎士道。
Posted by ブクログ
歴史を題材とした物語というよりは、8割方が歴史書のような感じで、物語性を求めると少々物足りなく感じる人もいるだろう。個人的にはもう少し登場人物の性格を表現したり人間関係を詳細に記してくれた方がのめり込みやすいし、特に途中でオルシーニがアニトニオに滔々と説く場面はあまりにも劇画らしくわざとらしさを感じたものである。
しかし、物語調になればなるほど、史実に作者の恣意は反映されて事実と乖離する可能性も高くなる。そう言う点から考えると非常に良書である。
と、まあここまで書いておいてなんだが、私の推しはオルシーニである。
そこまで人間性を書き込んだ表現を詳細にしているわけでもないのに、何故この人はここまで格好いいんですか。いや本当、格好良すぎやしませんか?
トータルなかなか良い人ではないかと思ったのだが、極め付きは
「人間には誰にも、自らの死を犬死と思わないで死ぬ権利がある。そして、そう思わせるのは、上にある者の義務でもある。」
である。いやもう本当これぞ帝王学ですよ、一端に過ぎないだろうけど。
モチベーション保つのは個人の仕事ですとか言いながら、部下のモチベーションどんどん削ってくる上司に言い聞かせたい台詞ナンバーワンである。
「人間には誰でも、自らの業務を無駄と思わず仕事する権利がある。そして、そう思わせるのは、上にある者の義務でもある。」
この汎用性の高さよ。ぜひ積極的に使っていきたい。
そして最後に、ネタバレに設定しているので許されるだろうと、該当場面を読んだ私の心の叫びを記しておく。
推しが死んだーーーーーーーーーーーっっ!!(号泣)
Posted by ブクログ
『コンスタンティノープルの陥落』が面白かったので、第二弾を。いつか行ってみたいマルタのマルタ騎士団が、ロードスにいた聖ヨハネ騎士団だったのかと、勉強にもなった。スレイマンもかなり寛大。
Posted by ブクログ
コンスタンチノープルの陥落に続いて、今度はスレイマン1世、ロードス島の攻防。オスマン帝国の最盛期に、大軍の包囲に4か月耐えたヨハネ騎士団の物語。
戦闘そのもの以上に背景や戦いの準備が丁寧に描かれている。
ヨハネ騎士団がマルタ騎士団になって、さらに現代にも残っていることに驚き。「マルタの鷹」もここから来たのか。
Posted by ブクログ
おもしろかったけど、コンスタンティノープルの方が好き。というか、史実にせよ、ラストが甘くて締まらない。なんで海賊の砦壊すだけでそんなに相手をケアしなきゃならんのか。
相変わらず西洋とアジアのスタイルの対比がいい。
スレイマンはさすが立法者という感じ。甘いけどそこがいい。というか相手ただの海賊なのにそんな丁寧に扱うなんて、スターのくせにほんとボンボン感ある。
カトリック側は見事な内輪もめでろくな体制を取らず、現場のみなさんは頑張ったにせよそのまま負ける。てかほんとスレイマンがいいやつすぎて、恐怖キャラのメフメトIIとの対談が聞きたくなるレベル。