【感想・ネタバレ】きつねのはなしのレビュー

あらすじ

「知り合いから妙なケモノをもらってね」籠の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やがて先代より預かったという“家宝”を持った女が現れて(「水神」)。闇に蟠るもの、おまえの名は? 底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「水神」に最も惹かれる。高祖父から続く疏水脇の家の秘密。再読時にこの屋敷の年代記と間取りを書き留めながら読んでみた。この作業も面白かった。建物の間取り(構造)が物語に重要な役割を果たしている作品が、筒井康隆にもあったような記憶があるが、タイトルを失念してしまった。

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2025年10月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「きつねのはなし」京都の古道具を舞台に不思議な雰囲気の短編。『xxx HOLiC』の世界観のようだった。願いを叶えるためには対価が必要なことだったり、その対価のための対価が膨れ上がって行ったりと。狐に摘まれているような話だった。

「果実の中の龍」物語の中の物語に沈んでいく先輩の話。他人の物語のはずなのにさも自分の体験であったかのように語っていたことにより、自分の体験であると言う錯覚に陥ってしまった話。想像や妄想と現実の区別がつかなくなってしまうのは苦しいことだろう。その区切りの意味で、先輩は別れを受け入れたのかもしれない。

「魔」魔が刺すとはこのことなのか、と。この人さっきまで相談にも乗ってくれる良い人だったのに。

「水神」水にまつわる不思議な話。水に守られ、水に呪われたようにも読める家族の作品な気がした。古道具屋が持ってきた家宝も不思議を呼び面白かった。

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2025年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

森見さんの違う一面を見れた作品。
幻想怪奇譚ってやつ(?)。

狐の面
人間の歯を持った胴の長い獣
蓮宝堂の骨董屋
龍の根付

どこか繋がってるけどどこかずれてる。
連作短編集といえないこともないのかな。

個人的には『果実の中の龍』が一番好き。

最後の最後まで狐に騙されたみたい。
気になるけどそれがまたいい感じ。

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2025年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

湯浅正明監督「夜は短し歩けよ乙女」で触れたり、アンソロジーで数作読んだだけの森見作品を、初めて一冊通して読んだ。
(「水神」は東雅夫・編「平成怪奇小説傑作集2」で既読。)
で、どれもよかった。
おそらく森見作品群の中では傍流なのではないかと思われる、怪奇幻想もの。
凄惨な奇妙ともいうべき「きつねのはなし」、茫洋な語りそのものがうら恐ろしくなる「魔」。
個人的に好みなのは創作の魔ともいえる「果実の中の龍」は、読んでいるこちらの腹がぎりぎりするようだった。
全作、解かれる謎があるわけではない、謎放置の味わい。
得体の知れなさこそが一番の恐怖だ。

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2023年11月22日

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