【感想・ネタバレ】さいごの毛布のレビュー

あらすじ

年老いた犬を飼い主の代わりに看取る「老犬ホーム」に勤めることになった智美。ホームでの出来事を通じ、苦手だった人付き合いや疎遠な家族との関係を改めて考え直し始める――。
世知辛い世の中に光を灯す、心温まる成長物語。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

老犬ハウスでの犬たちがメインの物語だと想像し、
胸が苦しくなってしまうのかしら…と
不安な気持ちもありましたが、
老犬ハウスで犬たちに囲まれて成長していく主人公・智美の物語でした。

犬が亡くなる場面は悲しいですが、智美たちスタッフは犬たちに愛情たっぷりに接しているので
読んでいる方も救われました。

何より犬たちがかわいくて、ぎゅーとしたくなります。

近藤史恵さんの作品は初めて読みましたが
推理作家さんらしく、ミステリーな感じもあり
引き込まれました!



0
2025年04月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

老犬ホー厶の話。
主人公は大学を出て就職したが馴染めず、会社を辞め、仕事を探して面接を何度も受けるのだが、声の小ささなどのせいで、採用されない。
そんななか、友人の紹介で、老犬ホームで住み込みで働くことになる。
犬の世話などしたことも無かったが、働くうちに徐々に慣れていく。主人公は自分に自信をつける
そして、老犬ホーム ブランケットでなくてはならない存在となる。


老犬ホームは犬を飼えなくなってしまった人間のための施設。飼えなくなったら保健所に連れていくという選択肢しか無いことが多い現在では、老犬ホームというもうひとつの選択肢があることは素晴らしいことだと思います。こういう施設が増えて、悲しい思いをする犬が減るといいなぁと読みながら思いました。

主人公と飼い犬のララが徐々に打ち解けあっていくのも嬉しかった。

自分は家族に嫌われている、自分はどこに行ってもまともに働けない、と弱気になっていた主人公が、自分の居場所をみつけ、ララと共に生きていくという決意を持って、たくましい存在となっていくのも、読んでいて心が温まりました。

また、同僚である碧は美しく、仕事も何でもこなせてしまうすごい人であるが、妻のある人と付き合っており、苦労をしている。人は他人には分からない悩みや苦労を抱えているのだなと思いました。

この本を読んで、老犬ホームの存在を知ることができて良かったです。犬を飼う機会があったら、私も責任を持ってペットと向き合わないといけないのだなと感じました。

素敵な本に出会えて良かったです。
ありがとうございました。

0
2025年11月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

老犬ホームを舞台にした小説で、このタイトル…てっきり動物好きの涙腺をダイレクトに刺激してくるべたな連作集でないかな…と勝手に推測していたが、まったくそんな作品ではなかった。
もちろん犬ネタでうるうる来そうになる場面はあるにはあるが、あくまで物語の主人公は人間であり、描かれるテーマも人と人との絡みにまつわるあれこれである。
例えば、身勝手な犬の飼い主たちはつまることろ、身勝手な不倫男のメタファーであり、そこに共通して見えるのは、相手の気持ちや立場を慮らず利己に徹する未熟で歪な愛情だ。
厳然と横たわる様々な社会問題を、老犬ホームというギミックを使って巧みに読者に提示している、とも換言できる。
そしてしっかりミステリーとしての要素も織り込んでぐりぐり読ませる手練れぶりが、さすが近藤史恵氏。

単身の高齢者がペットを飼うことについては否定的な意見がほとんどだろうが、実は孤独な老人にこそペットの存在意義は大きく、そのためにも老犬ホームという選択肢が増えるべきではないのか…という、直截的な題材に即した示唆もなされており、著者が心からペットとの共生を望んでいることもよく分かる。

「ふたつの愛情はあきらかに違うものなのに、辿り着く場所はどちらも一緒なのだ。」
「未練がましいのは、いつも残された人間だ。」

0
2023年12月12日

「小説」ランキング