あらすじ
年老いた犬を飼い主の代わりに看取る「老犬ホーム」に勤めることになった智美。ホームでの出来事を通じ、苦手だった人付き合いや疎遠な家族との関係を改めて考え直し始める――。
世知辛い世の中に光を灯す、心温まる成長物語。
感情タグBEST3
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期待通り。
犬という生き物について
人間について
けっこう盛りだくさん。
特に犬好きにはたまんない。
家族とうまく行っていない思いをずっと抱えている智美。
不倫相手との関係を切れないままの碧。
仕事にのめり込み過ぎて、息子を置いて離婚した過去のあるオーナー麻耶子。
その教え子の灰原。
抱えるものはいろいろだが、犬たちがその周りでそれぞれに犬らしい暮らしをしているのが面白い。
Posted by ブクログ
老人ホーム?労研ホーム(市役所にありそう的な)?流浪に剣ホーム(剣心ファン的な)?
いや!老犬ホーム!!!
主人公は、求職中に友達から老犬ホームの職員を紹介される。そこは、飼い主がそれぞれの事情により、飼えなくなった犬たちを預けて、最後まで看取るための施設だった。
そこで働く二人の女性職員と主人公に、さまざまな事件が起こる!!
読み終わって、まず思うこと。『こ・こ・で・は・た・ら・か・せ・て・下・さ・い・!!』
最後はスッキリ終わるので、とても楽しく読めました!ぜひ、読んでみてください!
Posted by ブクログ
以前に「たまごの旅人」を読んだことがあったのと、わたしが犬好きなのがあって、購入。
読んでみて、わたしたちは犬とそんなに変わらない部分もあるし、犬のようになりたい一面もあるのかなって思った。
人間だから、自分が信じたいものを信じて、傷つくことがあるってわかってても、それでも愚直に信じ続けるところは本当に犬と近いと思う。
その一方で、代わり映えのない毎日に新鮮味を無くして、ぼんやりと過ごすところは、犬のように日々新しい感動を覚えながら生きたいと思う。
違うようで似ているし、見習いたいところもたくさんある。
そんな気持ちにさせられた1冊でした。
Posted by ブクログ
老犬ハウスでの犬たちがメインの物語だと想像し、
胸が苦しくなってしまうのかしら…と
不安な気持ちもありましたが、
老犬ハウスで犬たちに囲まれて成長していく主人公・智美の物語でした。
犬が亡くなる場面は悲しいですが、智美たちスタッフは犬たちに愛情たっぷりに接しているので
読んでいる方も救われました。
何より犬たちがかわいくて、ぎゅーとしたくなります。
近藤史恵さんの作品は初めて読みましたが
推理作家さんらしく、ミステリーな感じもあり
引き込まれました!
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自分も犬を飼っているから、どうしても重ねてしまう部分があり、
お別れのシーンはさらっと書かれていたけれど涙があふれてしまった。
この作品を読んで、少しでも我が家の子が幸せに過ごせるように
一緒に入れる時間は目いっぱい可愛がってあげようと思った。
こういうペットの老人ホームとかが増えて、少しでも保健所に連れていかれる子が減る世界になってほしいなと思う。
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近藤史恵さんの本、どれも好きだけど、犬が出てくる話は特に好き。近藤さん自身が犬を飼っているからか、犬の描写が、犬好きの心をわしづかみにする。主人公が犬たちとすごすことで、少しずつ成長する様が良かった。
Posted by ブクログ
犬の本好きとしては、とても楽しく読めた本でした。
心が痛むシーンもありますが、号泣するほどではありません。(帯には「号泣」と書いてありましたが、涙もろい私でも泣きはしなかったです。)
犬を飼っている方なら誰でも考える「犬の老後」について、小説を通して向き合ってみるのはいかがですか?
Posted by ブクログ
とても面白いお話でした。
人づきあいが苦手で超ネガティブな主人公の智美が、犬たちや老犬ホーム「ブランケット」の麻耶子と碧とのかかわりの中でだんだん頼もしくなっていく様子が、大げさでなくちょうどいい傾斜の坂道を上るような感じで描かれていてよかったです。碧の謎めいた行動や、ブランケットに出入りする便利屋の灰谷とブランケットの周りに出没する怪しい男など、サスペンス要素もちりばめられていて、先が気になってあっという間に読んでしまいました。
老犬ホームが舞台の物語だけに、身勝手な人間たちに怒り、犬たちとの哀しい別れに涙…という話かと思いきや、しっかり人間ドラマでした。人にはそれぞれ事情があり、なんでも白と黒で決めつけることはできないということを、若い智美が学んでいくストーリー展開が優しい。いつも素直な犬たちの姿も愛らしく、読みながら、そして読んだ後もブランケットの犬たち同様老境に入った愛犬をやたらと構いたくなってしまいました。
Posted by ブクログ
すごく面白かった。最初から最後までずっと夢中で読んでしまった!犬たちそれぞれの犬種、個性も細かく描かれていて想像しやすくて良かった。私情で犬が飼えなくなってしまった飼い主が、老犬ホームという選択肢を選ぶのもひとつの愛情でもあるのかな…。と納得させられた。ただララの元飼い主だけは許さん( ・᷄ὢ・᷅ )
Posted by ブクログ
可愛らしい表紙に惹かれて手に取りました。
老犬ホームのお話でしたが、最期まで面倒を見る事が出来ずホームに預ける人たちの理由は様々。腹の立つ飼い主もいれば、泣けてしまう飼い主もあり。
5月から初めて犬を飼い始めた私には犬の気持ちてこうなんだ…て色々勉強になったと同時に我が家に来た愛犬が更に愛しく思えて、これからも大切に育てていきたいと思いました。
この小説はそんな犬たちとそこで働く智美、碧、そしてオーナーの麻耶子の抱えている家族や恋人との問題も浮き彫りにしています。そして起こる事件はミステリーな要素も楽しめて近藤さんのこれまで読んだ小説の中でも好きな本の上位に入りそうです。
解説を読んだら近藤さんは愛犬家とのことで、他にも犬が重要な役割を果たす小説がいくつかあるようなのでそちらも読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
愛犬を老犬ホームに入れるのは、さまざまな事情を抱えた人たち。
一片だけを見れば人間の身勝手さに怒りを覚えるが、それはあくまで一側面でしかなく、世界はもっと複雑で、幸運な人の裏には必ずと言っていいほど不幸な人がいる。
でも犬たちは、将来どうなるかなんて考えずに「昨日も一緒に居てくれたから、明日も一緒にいたい」という一心で飼い主を思う。
寿命が違うから、考えるスケールが違うのも当たり前で、すれ違いを生むことはあるだろう。
それでも不器用にお互いを思い合う飼い主と犬たちの姿に涙を流さずにはいられませんでした。
人と人も同じ。1番思っている相手に、中々その思いはまっすぐ伝わらないんだなぁと思いました。
犬の様子を描くのが本当に上手で、犬好きなのかな、と思いました。犬の様子が書かれている部分は「犬かっっっわいいい」と思いながら読みました。
犬好きの友人にはお薦めできないですね。(笑)
期待以上の面白さ
登場する犬たちがみな愛くるしくて犬好きの方はもちろん、そうでない方も是非読んで欲しい作品です。
どきどきはらはらするシーンもあり心温まる期待以上の面白さでした。
Posted by ブクログ
老犬ホー厶の話。
主人公は大学を出て就職したが馴染めず、会社を辞め、仕事を探して面接を何度も受けるのだが、声の小ささなどのせいで、採用されない。
そんななか、友人の紹介で、老犬ホームで住み込みで働くことになる。
犬の世話などしたことも無かったが、働くうちに徐々に慣れていく。主人公は自分に自信をつける。
そして、老犬ホーム ブランケットでなくてはならない存在となる。
老犬ホームは犬を飼えなくなってしまった人間のための施設。飼えなくなったら保健所に連れていくという選択肢しか無いことが多い現在では、老犬ホームというもうひとつの選択肢があることは素晴らしいことだと思います。こういう施設が増えて、悲しい思いをする犬が減るといいなぁと読みながら思いました。
主人公と飼い犬のララが徐々に打ち解けあっていくのも嬉しかった。
自分は家族に嫌われている、自分はどこに行ってもまともに働けない、と弱気になっていた主人公が、自分の居場所をみつけ、ララと共に生きていくという決意を持って、たくましい存在となっていくのも、読んでいて心が温まりました。
また、同僚である碧は美しく、仕事も何でもこなせてしまうすごい人であるが、妻のある人と付き合っており、苦労をしている。人は他人には分からない悩みや苦労を抱えているのだなと思いました。
この本を読んで、老犬ホームの存在を知ることができて良かったです。犬を飼う機会があったら、私も責任を持ってペットと向き合わないといけないのだなと感じました。
素敵な本に出会えて良かったです。
ありがとうございました。
Posted by ブクログ
年老いたり、病気を持っていたり、飼い主が
様々な事情で飼うことができなくなった時に
預ける有料の老犬ホーム。
そういう存在を初めて知った。
働き始めたばかりの智美は、亡くなる時にすら会いに来ない飼い主に対し腹を立て、そんなの犬が可愛そうと発する。そんな智美に麻耶子は
可愛そうと思うのは勝手だけど、それはあなたの感情に過ぎない。それで人を裁かないで
と叱咤する。
背景を知るうちに、さまざまな事情があり
預けることを選択したことを受け止めていく。
もちろん、自分の勝手で預ける人もいれば、
親の介護、自分自身の闘病などさまざま。
だけど、犬にとっては大好きな飼い主と一緒に居られなくなったことしか分からない。
物語中盤からは、先の読めないミステリー感もあり
とても面白い。
それぞれが抱える恋愛、親子関係
に対して向き合い、成長していくところは、
水を縫う、西の魔女が死んだ、雲を紡ぐ
に共通するところがある。
共感したところ
『無謀かどうかは意志の力で正しい選択に変えることができる』
心に残る文章
『傷ついた子供はずっと胸の中にいる。
子供のまま、泣きそうな顔をして。
表面だけ大人のふりをしたって、その子はずっと傷ついたままだ』
物語の中心軸は
人に可愛がられ守られなければ生きていけない運命を持つペットを通して
責任とは、仕事とは、お金とは。
ということを問いかけてくる。
犬も人間も同じ。
年老いて、1人で生きていけなくなった時
親は親の責任があり、子は子の責任がある。
Posted by ブクログ
友人の紹介を受け、老犬ホーム《ブランケット》で働くことになった智美。
老犬達と過ごす日々はトラブルの連続で上手くいかないことばかり。
智美だけでなく、オーナーや飼い主達にも何やら事情がありそう。
まあ何も抱えていない人なんていないだろうけど。
そんな他者との関わりの中で彼女自身にも少しずつ変化が生じ始める。
劇的な展開があるわけじゃないのに、なんか心が動かされる。
それでいて癒やされるし面白いのだから凄いよな。
Posted by ブクログ
表紙が可愛くて即購入。
最近近藤史恵さんにハマりかけてます。今まで読んだのは数冊だけど、どれもどこかで暗い部分がありました。ほっこり系もです。
表紙が可愛くてもどうせ暗いんでしょ、と思いながら読んでみました。
主人公の智美は人と関わるのが苦手。そのせいで人生が上手くいってなかった。そんな時に友人の紹介で、犬の最期を看取る老犬ホーム、ブランケットで住み込みで働くことになります。そこにいる犬たちのお世話、犬たちに元気をもらったり、犬の最期を看取ったりして、智美はどんどん強く成長していきます。
ブランケットに預けられる犬には、様々な事情があります。その事情というのが、人間の身勝手さも含まれます。そこに腹が立ちました。でもイライラしてても、犬たちの可愛い仕草に私は癒されました。読んでて犬たちが智美を慰めている光景が頭に浮かびます。犬も気持ちがあります。人間が困ってる時、寄り添ってくれます。そういうのにキュンときます。
物事は一方向から見てはいけない。色んな角度から見ないと、真実は見えてこない、ということを学びました。
Posted by ブクログ
人と接するのが苦手な智美は、老犬ホーム「ブランケット」で働くことになる。様々な事情で飼い主と暮らせなかった犬達とホームをめぐる連作。
犬達がブランケットに来た理由は、飼い主の身勝手さに腹が立つものもあり、やまれぬ事情もありと様々ですが、どの犬も最期まで穏やかに過ごして欲しいと願います。
Posted by ブクログ
☆4
犬の最期を看取る「老犬ホーム ブランケット」が舞台の物語。
ブランケットに犬を預ける人達の理由は様々で、中には許し難い身勝手な理由もありましたが、それでも健気に飼い主のお迎えを待ち続けている犬達の姿に胸が締め付けられる場面もありました。
辛くなる場面もあったのですが…ブランケットのオーナーである麻耶子さんの言葉は心に響くものがたくさんあり、主人公である智美の成長も感じられて、とても心温まる物語でした。
他にも近藤史恵さんの作品で、犬が出てくる作品があるとのことなので、そちらも読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
人もペットも高齢化社会。老犬ホームという施設が本当にあるのだと知って、確かにこれから需要は増えていくのだろうと思った。
登場人物たちが皆少しずつ訳アリで、時々不穏なものが漂い、事件も起こるが、お話が進むにつれて静かに解けていく。
性格のコンプレックスなどは誰もが抱えているだろうけれど、他人から救われる一言が発せられる場面があったりして優しい気持ちになる。
ところで兵庫県が舞台らしいし主人公も奈良出身だというが、関西弁がまったく話されていないのが不思議。関東人の自分には読みやすくてありがたいけれど。
Posted by ブクログ
老犬ホームを舞台にした小説で、このタイトル…てっきり動物好きの涙腺をダイレクトに刺激してくるべたな連作集でないかな…と勝手に推測していたが、まったくそんな作品ではなかった。
もちろん犬ネタでうるうる来そうになる場面はあるにはあるが、あくまで物語の主人公は人間であり、描かれるテーマも人と人との絡みにまつわるあれこれである。
例えば、身勝手な犬の飼い主たちはつまることろ、身勝手な不倫男のメタファーであり、そこに共通して見えるのは、相手の気持ちや立場を慮らず利己に徹する未熟で歪な愛情だ。
厳然と横たわる様々な社会問題を、老犬ホームというギミックを使って巧みに読者に提示している、とも換言できる。
そしてしっかりミステリーとしての要素も織り込んでぐりぐり読ませる手練れぶりが、さすが近藤史恵氏。
単身の高齢者がペットを飼うことについては否定的な意見がほとんどだろうが、実は孤独な老人にこそペットの存在意義は大きく、そのためにも老犬ホームという選択肢が増えるべきではないのか…という、直截的な題材に即した示唆もなされており、著者が心からペットとの共生を望んでいることもよく分かる。
「ふたつの愛情はあきらかに違うものなのに、辿り着く場所はどちらも一緒なのだ。」
「未練がましいのは、いつも残された人間だ。」
Posted by ブクログ
歳をとった犬の話から家族関係が上手く出来ない人たちの話へ。コミュニケーションが下手で人間関係などに疲れて嫌になった今の会社から、ちょうどいま新たな組織への転職直前の私にはなんとも言えない話でした。穏やかにいつも通りの毎日を過ごしたいだけなんだけど、いくつになっても思うようにいかなくて悩みます。
Posted by ブクログ
智美と一緒に、無責任な飼い主に怒ったり、憤りを憶えたり、やるせなさを感じたりしながら読み進めました。
ペットと言えど家族にそんな酷い事ができるなんて、、!と思ったけど、難しいなぁ。
あまり共感しづらい主人公と書かれていたけど、智美と自分で似ているところもあって、頑張れ大丈夫って応援しながら読んでたかもしれない。
簡単に可哀想なんて決めつけちゃいけないよね。私も反省。
Posted by ブクログ
・心の棘が抜けたわけではない。
・「そりゃあ、素直な子の方がなにかと得だけど、人間、自分に向いてない行動は取れないものよ。素直になれなけりゃ、それはそれでいいわよ」
・ 見捨てるのではなく、手放すのでもなく。迷いを迷いのままで置いておくように。
・結局人がどのくらい重い荷物を背負うべきかなんて、他人に決められることではないわよね。
・手に入らなかったものすべてを取り返すことはできなくても、拾えそうなものには手を伸ばしてみてもいい。犬たちのように少しだけ素直になって。
棘が抜けたわけじゃないから
たまにチクチク痛むんだろうな。
Posted by ブクログ
会社をリストラされたものの転職先が見つからず、家族ともうまくいっていないので頼れない。そんな主人公が友人から紹介されたのは老いた犬たちを預かる老犬ホーム。様々な事情を抱えてホームで暮らす犬たちの世話をしながら、色々な出来事に向き合っていく…。
同僚も犬と飼い主たちもオーナーも、主人公自身もそれぞれ事情を抱えていて、それを知ることで少しずつ主人公が最後に家族と向き合ってみようという心境に変わっていくのがよかった。犬たちがかわいい。
Posted by ブクログ
犬猫系は泣けるよな。。と思いつつ手に取った本。
最近良く読んでる近藤史恵さん。私には読みやすいみたいだ。
老犬ハウスで働く主人公の成長と少しだけサスペンス調なお話。
やっぱり泣けるシーンもあったけど、サスペンスなとこがドキドキして面白かった(人がなじられたり殴られたりしてるのを面白いと書くのはどうかと思うが)
Posted by ブクログ
所謂コミュ障で、就職面接で不採用を繰り返す中、友人の紹介により老犬ホームで働き出した智美の成長物語。犬猫等のペットを飼ったことがないので、最期の時や飼えなくなる事情などを真剣に考えたことがなかった。犬にとって昨日と同じ毎日がいつまでも続くことが幸せらしい。多くを望まず、飼い主に忠実で健気な犬の姿が愛らしく切ない。しかし犬のように男を愛する碧は見ていられない。犬だから可愛く見えるだけなのか。
犬自身が思う幸せと人間の側から見た犬の幸せに乖離があることにハッとした。このようなホームも1つの幸せの形。人間のエゴで振り回されることなく、1匹でも多くの犬が幸せな形で生涯を終えられることを祈る。