【感想・ネタバレ】世界でいちばん美しいのレビュー

あらすじ

若き天才音楽家せった君の三十年の人生。

雪踏文彦。ひとは、みな、彼のことを親しみを込めて「せった君」と呼ぶ。語り手である作家・島崎哲も、親友である彼をそう呼んだ。小学校ではじめて出会い、いつもどこかぼんやりしているようだったせった君は、幼少期から音楽の英才教育を受けていた島崎が嫉妬してしまうほどの才能を持っていた。
中学、高校と違う学校に通ったふたりは、あまり頻繁に会うこともなくなったが、大きな挫折をしたばかりの島崎を、ある日、偶然、目の前に現れたせった君のことばが救ってくれる。やがて、再び意気投合したふたりは、彼がピアノを弾いている一風変わったパブレストランで行動をともにするようになった。
音楽のことしか、ほとんど考えていないせった君だったが、やがて恋をして、彼がつくる音楽にも変化が見られ始めた。そんなある日、彼らの前に、妙な男がちらつくようになった。彼は、せった君の彼女・小海が以前、付き合っていた男だった。そして、事件は起こった――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

せった君と島崎哲は幼馴染であった。
せった君は音楽家、ピアニストであり作曲家、大いなる才能の持ち主。野心や、現世的な欲とはあくまで無縁で、ただ音楽と戯れ、音楽と共にあった人。
そんな彼を間近で見続けた島崎哲。せった君の音楽仲間で、最後まで彼の理解者。
けむりに魅入られ、自己正当化をとことん進めた挙げ句に破滅へ走った不協和音の津々見勘太郎はせった君を火事で消してしまう。
島崎哲と津々見勘太郎はどこか似ている。何者かになれる、ならねばならぬという青臭い思い込み。しかし、島崎が津々見にならなかったのは、幼い頃からそばにせった君がいたからだと考えられる。せった君という素直で音楽のことばかり考えるまっすぐで美しい人間の姿を見続けたからこそ、島崎は道を外れることなく成長した。
2019/06/18 13:39

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2021年06月04日

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