【感想・ネタバレ】堆塵館のレビュー

あらすじ

19世紀後半、ロンドンの外れの巨大なごみ捨て場。幾重にも重なる屑山の中心に「堆塵館」という巨大な屋敷があり、ごみから財を築いたアイアマンガー一族が住んでいた。一族の者は、生まれると必ず「誕生の品」を与えられ、一生涯肌身離さず持っていなければならない。15歳のクロッドは、聞こえるはずのない物の声を聞くことができる変わった少年だった。ある夜彼は屋敷の外から来た召使いの少女と出会う。それが一族の運命を大きく変えることに……。『望楼館追想』から13年、著者が満を持して贈る超大作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

表紙を見ただけで絶対この本面白いと思わせる妖しさ!表紙も中のイラストも、ちょっとグロテスクなんだけどこの本の世界観がこれ以上無いくらいに表現されている。
まず設定がすごくて、アイアマンガー一族がみんな誕生の品を肌見離さず持っていること、それが一つ一つ名前があって自分の名前を喋ること、クロッドにだけその声が聞こえる(後に一族で何人かはそれが可能であることが判明するが)ことなどなんじゃこれはと思いながらもグイグイ引き込まれて、クロッドや、ルーシーに同調せずにいられない。
児童むけ?らしいが。ハマった。
早く続きを読みたい気持ちでいっぱいです。

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2019年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

え~!!
ここで終わり?
これじゃ、すぐに続きを読むしかないじゃん!

というのが読み終わった直後の感想。
週刊少年ジャンプ並みの引きの強さ。

19世紀後半、ビクトリア女王の頃のイギリス…からちょっとずれた位相にあるロンドン郊外にある巨大なゴミ屋敷が舞台。
何しろ地上7階、地下6階の建物に一族みんなで住んでいて、館の中には駅まであるのだから、その巨大さも知れようというもの。

主人公のクロッドは純粋なアイアマンガーの一族として、地上に部屋を持ち、大勢のおじ・おばや従兄弟・はとこたちと暮らしている。
両親は彼が生まれてすぐに相次いで亡くなり、彼が物の声を聴くことができるという特殊能力を持っていることで、一族の人たちに蔑まれ苛められているため、親しく付き合っているのはいとこのタミスくらいのものだった。

もう一人の主人公は、何代か前までアイアマンガーだったという血筋の孤児の少女・ルーシー。
純潔ではない彼女は下働きとして地下の召使い部屋で暮らし、上の人たちと出会うことは禁止されていた。

しかしクロッドとルーシーが出会ったことにより、堆塵館に住むアイアマンガー達に大きな異変が起こり始める。

物事は見た目どおりではない。

アイアマンガー一族は、生まれた時に何か一つ『誕生の品』を与えられ、それを片時も手放すことなく大切に扱わなくてはならない。
人と物が一対なのである。

アイアマンガー一族がゴミの山に隣接するゴミ屋敷に住んでいるのは、もともとゴミ拾いだった先祖が、ごみの中から価値のあるものを見つけ出してはそれを売ることによって財産を得てきたから。
その強引な取引方法によって、周囲の住民たちからは忌み嫌われている彼ら。

アイアマンガーと非アイアマンガー。
純血とそうでないもの。
きっちりと線を引き、そこに上下関係を固定させ、かれらだけの理屈で存在するアイアマンガー。

ゴミを出し、ごみの処理をアイアマンガーに押しつけながら、彼らを忌み嫌うロンドン市民の姿は、現代の私たちに通じるものがある。
と、最初は思いながら読んでいたが、読み進むにつれ「千と千尋の神隠し」を彷彿とさせてくる。

見た目どおりではない物事。
汚染されたゴミの山に押し流されそうになり、逃げ惑う人々。
ゴミが結集してできている巨大な人型がとめようもなく暴力的に暴れ、そしてほどけていく様子は正に「カオナシ」のシーンそのものだった。
名前を奪われたルーシーを助け、ふたりで堆塵館から脱出しようとするクロッド。

で、ふたりの逃避行はどうなったのかが分からないまま(というか、失敗したっぽい?)、第2部に続くのだ。
これは読まなきゃいられないでしょ。

私は「千と千尋の神隠し」をイメージしたけど、書評家の杉江松恋氏は「未来少年コナン」だという。
作者は宮崎駿のファンなのかもしれない。
でも、ごみ溜めの悪臭と不快な感触は、「千と千尋の神隠し」なんだよなあ。

最後に、なぜ生きもの全てに惜しみない愛情を与える心優しいタミスは、一族の人から軽く扱われていたのかが気になる。
優しすぎて、心が弱いことがそんなに悪いことなのか。
タミスは…本当にいい子だったよ。

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2018年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スチームパンク?…ともまた違うか。塵芥を集積したロンドン郊外に住むアイアマガー一族と彼らの召使とその皆が住む大きな屋敷の物語。

塵芥の山に立つ屋敷が舞台なのだから、汚れに汚れた不潔な世界観、人間関係もゴチャゴチャ、登場人物たちも好人物っぽいのは一切いない。主人公もなんだかフワフワだし、ヒロインは泥棒だし、それ以外の全員が悪役的。なのに、そのすべてがちょっと気になるというか居心地がいいというか。なんという世界観だ、これ?

この1冊だけを手に取ってみたが、早く続きが読みたい。
ところで、3部作というより、全3巻なのではないだろうか?でないと、このラストは締めになってないぞ。

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2020年07月31日

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