あらすじ
検察、宇宙、陰謀――真山仁の真骨頂!
日本が誇る宇宙開発技術をアメリカに売り渡す「売国奴」は誰だ!?
検察官・冨永と若き研究者・八反田遙。陰謀渦巻く骨太社会小説。
テレビ東京系ドラマスペシャル
『巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲』(出演 玉木宏 仲代達矢ほか)原作。
気鋭の特捜検事、冨永真一。
宇宙開発の最前線に飛び込んだ若き女性研究者・八反田遙。
ある汚職事件と、親友の失踪が二人をつなぐ。
そして炙り出される、戦後政治の闇と巨悪の存在。
正義を貫こうとする者を襲う運命とは!?
雄渾な構想と圧倒的熱量で頁を捲る手が止まらない!
真山仁の超弩級謀略小説。
解説・関口苑生
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
冒頭から、通産省の青年、宇宙センの研究者、法務省の検事と、互いに無関係な人物の会話から始まり、数十ページ読み進めると、そのどれでもない特捜部の検事と若い宇宙研究を進める大学生がダブル主人公であることが分かり、中盤になっても話の展開が読めない、、そんな展開にワクワクさせられる。
キープレーヤーである橘洋平が悪党なのかヒーローなのかが最後の最後まで分からない部分が本作のミソだと思う。冒頭のシーンをみると、完全な悪党ではないことが何となく分かるが果たしてどんな仕掛けがあるのかが見えない。早く知りたいという好奇心を掻き立てられ、あっという間に読んでしまった。
結末はあっさり淡々と終わっていった感じがする。橘は今後冨永に危害が加わらないよう万全を尽くしたと言うが、その仕掛けが分かっても本当に安全な仕掛けなのかはイマイチ釈然としない。ただ、個人的には官房長官の逮捕など今後の巨悪の掃討を描かずボカしたのは非常に評価が高い。この一件を通した富永の決心だけを示して終わる形が本作のベストな締め方だと思う。(p387 物証があれば、いつか必ず告発できる。検察官としての冨永の矜持だった)
また、真山仁の作品は「黙示」「マグマ」以来三作目だったが、本作はポップでリズムがある感じがして、これまでとは違う印象(良い印象)を受けた。基本は固い感じだが、遥や藤山のような若い女性の会話が自然で、ある種「華」のようなものを与えているような気がする。