あらすじ
妻が死んでも泣けない男のラブストーリー。映画化話題作
予期せず家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか――。人を愛することの「素晴らしさと歯がゆさ」を描ききった物語。
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Posted by ブクログ
シニカルで偏屈な幸夫くんの喪失との向き合い方があまりにも人間らしくて、大宮家の鍋パーティーで鏑木先生が気に食わなくて爆発してしまうあたりとかもう見てられなくて。だからこそ読み手が前のめりになってしまう。喪失を経験したすべての人が、その人間らしさに共感して苦しくなって一緒に生きていくための糧を培う。
帯にもあった「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくはない。」そして「色んな人との出会いや共生は、喪失を癒し、用事を増やし、新たな希望や、再生への力を与えてくれる。喪失の克服はしかし、多忙や、笑いのうちには決して完遂されない。」のフレーズはこの小説の真髄だなあとおもう。
「妻(きみ)へ」の章を、わたしが失った弟の誕生日に読めたことはなんらかの縁だと思って、自分へのメッセージとして受け取りたいと思う。
本当に読んで良かったな。
幸せな夫、と書くゆきおくんの名前も、ある意味皮肉である意味真実で、この作品によく合っている。
以下各所からー
夏子にとっては「ファーの感触が好きなコート」が幸夫くん
視点では「赤いダウンジャケット」なのは、2人のすれ違いを表現しているのかな。
軽薄なようで鋭くて賢い愛人が語る、「いちばん良くないことが、いちばん良くないタイミングで起るような最悪の不幸」の描写、皮肉で苦しかったな。
警察の人の言葉
「深く愛するものを失うことと、もう確かな愛を感じなくなったものを失うのとでは、悲しみの度合いは比較にならないが、後者の嵌る失意の沼の深さもまた計り知れない。」
夏子とゆきを亡くしてからの、幸夫くんの日記、そして陽一の長距離運転の狭間の時間、どちらも対極的なようでそれぞれの苦しみ方が現実味強すぎて涙が止まらない。
陽一の「子供がいるから頑張れます!」じゃなくて、「子供がいるから生きるのが怖い」なの本当に苦しいな。でも私は幸夫くんの、当事者意識を持てず、同じお墓に入っていったら冷めた目で見られそうだって感じてしまうような「罪悪感」の辛さをなんとなく理解できる。
Posted by ブクログ
なかなかに拗らせていたけれど。
面白かった。
節々に、このままイイ感じではいられない。言い回しがありビクビクしていた。
何をやらかしてしまうんだ…。
でも、結果的には…なんだかんだ良かった。
嫌いじゃないよ、幸夫くん。
Posted by ブクログ
妻を失った、作家である夫の再生の話。
幸夫くん、卑屈な人だな…という印象をもったままだったので、終盤まで読み進めるのがしんどかった。
陽一の事件が起きて、ようやく皆のベクトルが同じ方向に向いた、という印象。怪我の功名というやつか。
幸夫くんは夏子さんが死んだ当時は、泣くことはなかった。私は普段涙もろい方だけど、大事な人(夫や家族、友人など)が亡くなったら、現実味のなさにかえって泣けないような気もしていて、そこは幸夫くんに唯一共感したところだった。
結婚生活がこんな形で終わるのは嫌だなー。
Posted by ブクログ
第13回本屋大賞第4位
妻を亡くした夫というのは、こんなふうに一日一日を過ごして行くのかもしれないとリアルに感じた。
幸夫は、陽一と息子が激しくぶつかりながらも再生するところを見て、初めて自分はもうその相手を失ったことを理解して絶望したのかな。
幸夫も陽一も好感のもてる人物ではなかった。
でも冷め切った仲なのに向き合って努力しなかったのは妻も同じだよね?
亡くなったのが幸夫だったとしても、妻が後悔するんだと思った。