あらすじ
妻が死んでも泣けない男のラブストーリー。映画化話題作
予期せず家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか――。人を愛することの「素晴らしさと歯がゆさ」を描ききった物語。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
シニカルで偏屈な幸夫くんの喪失との向き合い方があまりにも人間らしくて、大宮家の鍋パーティーで鏑木先生が気に食わなくて爆発してしまうあたりとかもう見てられなくて。だからこそ読み手が前のめりになってしまう。喪失を経験したすべての人が、その人間らしさに共感して苦しくなって一緒に生きていくための糧を培う。
帯にもあった「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくはない。」そして「色んな人との出会いや共生は、喪失を癒し、用事を増やし、新たな希望や、再生への力を与えてくれる。喪失の克服はしかし、多忙や、笑いのうちには決して完遂されない。」のフレーズはこの小説の真髄だなあとおもう。
「妻(きみ)へ」の章を、わたしが失った弟の誕生日に読めたことはなんらかの縁だと思って、自分へのメッセージとして受け取りたいと思う。
本当に読んで良かったな。
幸せな夫、と書くゆきおくんの名前も、ある意味皮肉である意味真実で、この作品によく合っている。
以下各所からー
夏子にとっては「ファーの感触が好きなコート」が幸夫くん
視点では「赤いダウンジャケット」なのは、2人のすれ違いを表現しているのかな。
軽薄なようで鋭くて賢い愛人が語る、「いちばん良くないことが、いちばん良くないタイミングで起るような最悪の不幸」の描写、皮肉で苦しかったな。
警察の人の言葉
「深く愛するものを失うことと、もう確かな愛を感じなくなったものを失うのとでは、悲しみの度合いは比較にならないが、後者の嵌る失意の沼の深さもまた計り知れない。」
夏子とゆきを亡くしてからの、幸夫くんの日記、そして陽一の長距離運転の狭間の時間、どちらも対極的なようでそれぞれの苦しみ方が現実味強すぎて涙が止まらない。
陽一の「子供がいるから頑張れます!」じゃなくて、「子供がいるから生きるのが怖い」なの本当に苦しいな。でも私は幸夫くんの、当事者意識を持てず、同じお墓に入っていったら冷めた目で見られそうだって感じてしまうような「罪悪感」の辛さをなんとなく理解できる。
Posted by ブクログ
幸夫がずいぶんと幼く感じたけど、実際はそんな感じになるのかも。
陽一とは違う意味で、妻の死を認められない。
向き合えないという意味では同じかも。
寂しさを埋めるように、陽一と家族と仲良くなるけど一人の女性の登場でまぁそんな風に脆くなるよねって、別な形を自然と求めるよねと思う。
そーはならなかったけど。
陽一の息子がひたすら不憫でならなかった。
辛い悲しい話なのに、読んだ後は暖かい気持ちになるのが不思議だった。
良い本を読んだな。
Posted by ブクログ
我々は、死と、そして生と、どう向き合うのか。
主人公の幸夫は、共感できない嫌味な奴として描かれます。流石は小説家、口はうまくて「作品」は出せるけど、他人を見下して、常に被害妄想ぎみで、子どもから抜け出せない人。
妻が死んだ時も不倫セックスをしていて、その後も関係を続ける、最低な人。
でも、そんな幸夫だからこそ、妻の喪失をどう受け止めるのか、そこにドラマがあります。
それに、僕自身、表面上はうまく取り繕っても、内実、他人を見下したり、自分を正当化したりは日常茶飯事な気がするし、自分の思考を文章にしたときに、果たして幸夫と違いがあるのかどうか…。自信はありません。
だからこそ、このストーリーは、自分事として捉えることができました。
幸夫は、大宮家の子ども達との触れ合いによって癒され、自分の居場所を見つけていきます。保育園児の灯ちゃんとのやり取りは微笑ましくて、ほっこりします。
でも、こうした交流も、妻の死に向き合わないための手段として、幸夫が利用しているものとしても描かれています。
それは一つの真実であって、だから彼は、彼らしい別の方法、小説を書くことによって、妻の死と向き合う事になりました。
そこでどんな葛藤、闘いがあったのか、それは語られていませんが、執筆後の語り口はまるで憑き物が取れたようで、寂しくも晴れやかなラストでした。
文体で幸夫の変化が凄く伝わってきて、改めて、小説という表現は面白いなと感じました。
他者が居てこその自分とか、守るものが人生を豊かにするとか、大事なものは失って気づくとか。
言葉にすると凄くチープで、当たり前すぎます。でも、だからこそ、これらをちゃんと想像して、真に受け止めていくことは難しい。
自分の周りの関係を大事にできなくなってきた時に、また読み返したいと思える作品でした。
Posted by ブクログ
なかなかに拗らせていたけれど。
面白かった。
節々に、このままイイ感じではいられない。言い回しがありビクビクしていた。
何をやらかしてしまうんだ…。
でも、結果的には…なんだかんだ良かった。
嫌いじゃないよ、幸夫くん。
Posted by ブクログ
第13回本屋大賞第4位
妻を亡くした夫というのは、こんなふうに一日一日を過ごして行くのかもしれないとリアルに感じた。
幸夫は、陽一と息子が激しくぶつかりながらも再生するところを見て、初めて自分はもうその相手を失ったことを理解して絶望したのかな。
幸夫も陽一も好感のもてる人物ではなかった。
でも冷め切った仲なのに向き合って努力しなかったのは妻も同じだよね?
亡くなったのが幸夫だったとしても、妻が後悔するんだと思った。