あらすじ
最新の電子辞書にえいやと24000円を払ったら、品物と一緒にうたぐりぶかい自分がついてきた。アジアン定食8NZドルで寛容に触れた。人助けにと出した1000円には今も怒りが収まらない。生きていれば自然とお金は出ていって、使いすぎればサイフも気持ちもやせるけれど、その全部で私は何を買ったことになるんだろう。家計簿名人のカクタさんが、お金を通して人生の謎に迫る異色エッセイ。
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Posted by ブクログ
お母さんとの旅館に行った話が良かった。
お母さんは、いつも旅行に行く時には文句を言う。せっかく予約してお金まで払っているのに、理解できない。
でもそれは、自分が子供の頃に両親について行くだけで何も考えなかったり、時には文句を言ったり、それのやり返しが来ているだけだ…という所がなんか良かった。お母さんは、宿の方には感謝の気持ちや喜ぶ気持ちを打ち明けていたようだ。
自分も子供の頃は「なにこれ…」「まだ??」「え〜…」「やだ〜」とか頻繁に両親に言ったものだ。(未だに言う時もある。)
両親には本当に感謝しているし、自分もまたされる立場に近づいているのだなぁとしみじみ。
角田光代は、売れた作家でも一般人離れしていない感覚が好きだ。午前中から昼ごはんは何を食べるかで頭がいっぱいになり、休みの日はビールをのみ、それでも無駄なお金は使いたくない。家電も眺めるだけのことが多い。美味しいご飯屋さんを紹介してもらいたい。
Posted by ブクログ
お金の話を人は避けるけど(私の場合、お金の話は好きだが、遠慮して話す事は少ない)お金の価値観を見ると、その人の性が少し分かると思う。だからかな。幼き頃、母に結婚相手は、”お金の価値観が合う人、それも大切だよ”と言われた事がある。自分のお金に対する価値観と、自分の幸せをを改めて認識できた本。読みやすく面白かった。以下心惹かれ文の一部※一部簡易的記載有
☘️海外旅行。何を見たか、何を見なかったか、というのは、ツアー旅行か個人旅行かという違いではなくて、その場所でお金を使うか否かではないかと私は思うのだ。
☘️最悪の旅行9800円×2。最悪といっていい一泊旅行が、記憶の中で不思議な光を放った。
☘️酒も飲まず、外食もせず旅行もせず、貯めたお金。その人、中身が何もなかったんだ。20代自分で稼いだ、お金の使い方が30代の土台になる。経験になる。
Posted by ブクログ
角田さんは酒飲みなので、所々に出てくるお酒に関しての言葉に全て共感した。私も20代の頃はどこだろうと気にせず飲みに行っていたなぁ…
ご飯派とお酒派の話も、完全に同意。
自分が20代の頃どのようにお金を使ったかと考えると、やはり飲み代だったと思う。
怒りが涙になってしまうことも一緒で、わかる〜と思いながら読んだ。秋刀魚の話を読んだだけで私も子供にイライラした。笑
精神状態が良くない時に衝動的にお金を使ってしまうというのもよくわかる。
お金は貯めたいけど、それだけじゃなく、豊かに生きていきたいなぁ。
Posted by ブクログ
家計簿エッセイ。1つの出費に対して作者の思うところ、ストーリーが綴られていてなかなかおもしろい。いちばん怖いのは貯金額だけが異様に高いことと書かれていたが、・・・自分は大丈夫そう。自分の土台を作ってるのはなんなのか思い返してみたい
Posted by ブクログ
第8回紅白本合戦紅組5位
これくらいの値段で買ったもので、これくらいの幸せゲットできたよ~的な日常エッセイ。
例えば「ねぎそば 390円」てな感じ。
角田光代を読むのは実はこれが2作品目で、1作品目は、まだWeb小説という言葉も巷間に流通していない頃の2001年、多分雑誌「ダ・ヴィンチ」のHPで連載されていたのを、当時非正規雇用で働いていた某○阪○三荘最寄りの工場の生産ラインの検査用PCで、生産開始前の朝7時位に読んでた懐かしい思い出がある。ふふふ、直木賞受賞前の若きカクタ作品を読んでいたワタシ(`・ω・´)b
当時、Windowsはまだ95or2000の頃で、僕自身赤貧でMYパソコンを持っておらず、インターネットに触れるためのささやかな時間をここで過ごしていたのでした。
このエッセイを読んでまず思ったのが、「ああ・・・なんか『愛がなんだ』のテルコがしゃべっているみたいだな~」っていう、もう20何年も前に読んだ小説の事をパッと思い出せるくらいの「テルコ感」を感じたのでした。なるほどこれが「光代節」なのだなと思った次第。面白かったです。