あらすじ
多くの企業や組織は、社風を築き、保持し、強化するのに大変な苦労を重ねている。それらの組織のリーダーたちは、社風について心理学的観点に立つ系統的な知識を持たないために、直感に頼るか、あるいはよその社風をまねるしかなかった。しかし、アップルやサウスウエスト航空、ザッポス、リッツ・カールトンの社風をまねても、借りものの社風は一貫性に欠け、結局は、まがい物にすぎない。
ほとんどのビジネスパーソンは、社風や組織文化が重要だと知っていながら、それらを築くには「秘術」が必要で、うまくいくのはほんのひと握りの天才的な人だけだと思い込んでいる。
本書は、その「秘術」の背景にある科学を明らかにする。著者らは、過去1世紀に及ぶ研究を土台としながら、20年にわたって調査と研究を重ねてきた。対象は、プログラマーやコンサルタント、教師、投資銀行のファンドマネジャーから、サウスウエスト航空やアップルストア、スターバックスといった伝説的な社風を持つ企業の第一線に立つ社員まで、数万人に及ぶ。
これまで社風はあいまいでわかりにくいものとされてきたが、著者たちが編み出した「社風の科学」を活用すれば、企業のリーダーは社風の強度を測定し、弱い部分と強い部分を見極め、組織文化に変革を起こし、自ら伝説的な社風を築くことができるようなる。
著者が開発したのはトータルモチベーション指数(ToMo指数)。簡単な質問にいくつか答えて集計すると、社風を数字で可視化することができる。ToMo指数を用いれば、自社の組織文化のどこが強みでどこが弱点かが明らかになるので、自社の社風を改善していくことが可能となる。
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Posted by ブクログ
主張は非常に理解しやすいし、納得感があるのだけど、(洋書にありがちな)冗長感があり、(飛ばし読みはしたけど)読むのが少ししんどかった。
Posted by ブクログ
【気になった場所】
好業績を導く社風の構築に必要なもの
→社員一人ひとりの「なぜ働くのか」が明確
働く動機
・楽しさ
・目的
・可能性
・感情的圧力=取り残されることへの不安
・経済的圧力
・惰性
→社風によって前3つを最大にし、後3つを最小にすると、ToMoが最高レベルに達する
→働くことに楽しさと目的と可能性を感じさせる社風は、社員のパフォーマンスを高め、それを継続させる
※ToMo=Total Motivation(総合的動機)
目的が動機になるのは、仕事そのものでなく、仕事の結果に価値が感じられる場合
非難バイアスの取り除き方
・思い出す
・説明する
・尋ねる
・計画する
Tomo指数の上げ方
・組織の現状のTomoを知る
・Tomoを上げる分野を探す
・社風の鍵を分析する
・理想とするTomoを決めて共有する
・計画を練り、投資対効果を検討する
Tomo指数の測る質問(1-7段階評価)
・今の仕事を続けているのは、楽しいから(×10)
・今の仕事を続けているのは、重要な目的があるから(×5)
・今の仕事を続けているのは、自分の目標を達成する上で有益だから(×1.66)
・今の仕事を続けているのは、辞めたら、自分のことを気にかけてくれる人を落胆させるから(×1.66)
・今の仕事を続けているのは、仕事を失うと金銭上の目標を達成できなくなるから(×5)
・今の仕事を続ける妥当な理由はない(×10)
→前半3つ-後半3つで計測
Tomoは成績ではなく指数
→成績だと業績の評価として使われる
→感情的圧力が強まり、楽しさが減る
Tomoをあげるリーダーの要素
◆楽しさ
・学ぶ時間の余裕と場所を従業員に与える
・高業績とは何かを共有する
・問題があれば従業員自ら解決するよう促す
◆目的
・従業員が自身の仕事が重要で意味があると思えるよう後押しする
・自ら手本となり、従業員が前向きで一貫した価値観と共通の目的意識を持つことを期待する
・顧客の利益を最優先する
◆可能性
・仕事と従業員の個人的な目標を積極的に繋げる
・従業員が自分の弱点ではなく強みに注目し、時間をかけてそれを伸ばすことができるよう手を貸す
・従業員の技術の向上に合わせて、より責任の重い仕事を任せる
◆感情的圧力
・正しく妥当な目的や目標を、従業員が抱くようにする
・公正で、正直で、透明性のあるリーダーシップを振る舞う
・職場での親交を後押しする
◆経済的圧力
・従業員を包括的に評価する
◆惰性
・仕事をやりやすくし、従業員の努力が無駄にならないようにする
すべては「なぜ」に始まる