あらすじ
◎勉強、仕事、子育て すべてに応用可能の鉄則◎
著者のアンダース・エリクソン教授は、「超一流」研究の第一人者。
『タイム』『ニューヨーク・タイムズ』をはじめ、各紙誌で取り上げられ、
世界中から大きな注目を集めた自身の研究結果の全てを、本書で初公開!
チェス、バイオリン、テニス、数学……。
世界中のトッププレーヤーたちを、30年以上にわたって科学的に研究。
そして導き出された「超一流」への鉄則とは?
鉄則(1)自分の能力を少しだけ超える負荷をかけつづける
鉄則(2)「これで十分」の範囲にとどまっていると、一度身につけたスキルは落ちていく
鉄則(3)ループではなく、一人で没頭する時間を確保する
鉄則(4)自分の弱点を特定し、それを克服するための課題を徹底的に繰り返す
鉄則(5)練習を「楽しい」と感じていては、トッププレーヤーにはなれない
鉄則(6)これ以上集中できないと思った時点で練習や勉強はうちきる
鉄則(7)上達が頭打ちになったときは、取り組むメニューを少しだけ変えてみる
鉄則(8)即座にフィードバックを得ることで、学習の速度は劇的に上がる
鉄則(9)オンの時間とオフの時間をはっきり分け、一日のスケジュールを組む
鉄則(10)どんな能力も生まれつきの才能ではなく、学習の質と量で決まる
「超一流」と「一流」を分ける差はどこにあるのか。30年以上にわたり、「超一流」たちを心理学・生理学・神経解剖学の目から研究してきたエリクソン教授が、その核心を解き明かす!
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Posted by ブクログ
フォトリーディング&高速リーディング。のちに熟読。表題の答えは、超一流になるには「限界的訓練しかない」という事。たとえ才能の遺伝子があったとしても、著者によるとそれは音を聞く事が好きな遺伝子が楽器に触れる機会を与えたり、色に興味を抱かせる遺伝子が絵画に触れる機会を与える、というきっかけを生むだけで、誰もが訓練によって超一流になり得るとの事。
この手の本では自己評価最高は星四つなのであるが、それを越えた感動(私的)があったので星五つとする。
限界的訓練とは、意図的訓練の先を行く自己の限界を破り(コンフォートゾーンを脱し)ホメオタシス(心身の持つ恒常性維持機構)をずらす訓練。意図的訓練とはだらだらと繰り返さず、何をしているのかを意識する訓練。多くの人がなんの分野でも、この意図的訓練さえできていないらしい。それゆえにほとんど努力が無駄になる。
最後の章で著者は心的イメージの重要性を述べ、教育はその心的イメージを付けさせる訓練をするべきだと述べる。
要するに、どんなエキスパートになるにしてもその完成形を自分に当てはめ、限界的訓練をし続けると、超一流になれるという事。
Posted by ブクログ
「上達」とはなんなのか、何をすれば得られるのか
若手社員として、社内の仕事ができると言われる人とそうでない人の違いは何なのか、何をすれば自分が仕事ができる人とみなされる能力を得られるのかを知るべく購入。
この本が伝えようとするメッセージは、限界的練習を繰り返し行うことが「上達」を作り出すということ。この極めて汎用コンセプトは様々な例示を援用して、様々な場面に適用可能なことが示されている。
私にとって最も身近に適用できる例示は、英語が母語でない人の聞き取り能力の開発の事例。これは、ショッピングモールに行き英語を母語とする買い物客に同じ質問を問いかけ、同じような回答を何度も聞くことによってナチュラルスピードに対応できる能力を開発したというもの。ここでの重要なのは、当初は集中して聞き取りを行わなければ買い物客の発言を聞き取れず、これが限界的練習の条件をぴったり満たしているということ。
私自身も、外国語学習者であるが、如何に限界的練習の状況を作り出し、それを繰り返せるかが外国語能力の上達の条件だということを強く印象付けられた。
Posted by ブクログ
伝記、成功者の自伝を聞くたびに、天才は良いなぁと他人事のように羨ましく思い、諦めている自分がいた。
が、それを根本的に覆す内容が記載されている。
生まれつきの環境や、身体的能力の差異はあるのだが、天才と言われた人物はその差を埋める行動している。
ただ努力し続ければ良いのではなく(1万時間の法則の通りにただ努力を積み重ねるだけでは成長の頭打ちが来る)、どういうやり方をし続ければ良いのかを解いていく内容。
幼少期の伸び率は使える時間の優位性もあり高いが、何歳になっても「天才」になることはできる。
Posted by ブクログ
■ひとことで言うと?
あらゆる能力は限界的練習で後天的に獲得できる
■キーポイント
・才能=限界的練習の蓄積
→才能は圧倒的な量の練習から生まれる(1万時間の法則)
→才能は後天的に獲得できる
・限界的練習
→能力向上には「限界的練習=かろうじて手が届く挑戦」が必要
→1. 自分の能力を少し超えた課題に挑戦する
→2. 具体的な達成目標を設定し、集中して課題に取り組む
→3. 成果に対してフィードバックを受け、やり方を改善する
・「心的イメージ」の構築
→心的イメージ=対象の物事に対する概念・情報の集合(心的構造)
→心的イメージの拡充≒判断の高度化・高速化≒能力の向上
→挑戦と失敗、フィードバックによって構築・改善されていく
Posted by ブクログ
「生まれつきの才能」など存在せず、適切な訓練によって脳や身体の適応性をだれでも引出すことが可能だと説く。行動遺伝学の「知能は遺伝する」という説と真っ向から対立する研究結果を示している。
老眼改善トレーニングによって、目そのものの変化はなく脳が画像を鮮明にしたという話が面白い。
10000時間の法則はライバルが10000時間トレーニングしているからという主張が腑に落ちた。
Posted by ブクログ
認知心理学の傑作として先日読んだむつみ先生の著書で紹介されていた。
生まれつきの天才などいなくて、モーツァルトも天才ホッケー選手も、天才ピアニストも、みな努力の賜物。
大成している人は、他の人よりも練習量が多く、飽きない(というか継続の工夫)をしている、という研究結果の紹介と、多くの分野でスキルを向上させるための普遍的なやり方が紹介されていた。
曰く
①その時々のレベルに合わせた声掛け(初めのころはやる気を出させるために褒めるとか)、レベルが上がってきたころ(=おそらく、高いレベルに届いている自己肯定感、さらなる高みを目指そうという心理状態)にはより高いレベルの集団に入れて厳しいレベルの研鑽を積む
②細かな心的イメージ(ピアノの練習であれば、曲の細部(小節毎とか)にわたって、ここはこう演奏すると美しい、とイメージできる力)、自分で心的イメージと自分の演奏の乖離に気付ける力、集中力、集中力を絶やさないため、むしろ睡眠時間は多くとること、集中できる環境を作ること
③すぐにフィードバックを得られること(難しい物理理論を大学の学部生に教えた際も、すぐに自身の理解度とフィードバックを得られたグループの方が成績が良かった)
これらが重要で、段階毎に目標とする到達点を明らかにして、それにフィードバックを与え、やる気にさせるのが良いという話、と理解。
こういう体系的な教育メソッドって、欧米主流なのかと思いきや、書中にも「スズキメソッド」というのが紹介されていたし、考えてみれば、書道や空手の段とかも同じ考え方だよね。
若干、訳が分かりにくい気がした。
あ、「限界的練習」も大事な要素。
コンフォートゾーンを超えつつも、不可能ではない負荷をかけて高みを目指していく。区切る。あたりが大事なのかと。
こういう読書メモを書いておくと、その本からどういう学びを得たか復習できてよい。