あらすじ
最高の真理を求めた男たちの熱き闘い!ソクラテス・デカルト・ニーチェ・サルトル……さらなる高みを目指し、知を闘わせてきた三十一人の哲学者たちの論が激突。まさに「史上最強」の哲学入門書!
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Posted by ブクログ
歴史やら政治やら、社会動向の理解のために哲学のおさらいが必要かと思いつつ、なかなか教科書的なものには手が伸びず。。。そんな時にこの書籍と、プレジデント社「哲学用語図鑑」の2冊があれば、わかり易く楽しく哲学の基礎が整理できるのではないかと思います。
難しい本が読み下せる方には、必要無いかもしれませんが。。。
Posted by ブクログ
西洋哲学が、平易な言葉で体系的に説明されている。
思想の流れがわかりやすく、入門書として、最適だと感じる。
日常がより面白く見えるポイント
・哲学史上で、絶対的な真理なんて本当にあるの
疑うという思考作用の存在(デカルト)、経験される知覚(ヒューム)、真理は(同じ経験の受け取り方の特有の形式を持った)人間同士の中で規定される(カント)、弁証法で真理に辿り着ける(ヘーゲル)、私にとって真理だと思えることこそが真理、私がそのために生きそのために死ねるそういう真理を見つけることが重要(キルケゴール)、自分自身が真理を作るのだ(サルトル)、到達すべき真理などない、歴史は一方向ではない(レヴィストロース)、理性によって真理に達するという近代哲学は、現代哲学によって批判されている。
プラグマティズム(それはどのように役に立ってるか?という視点に立つ、人を殺しちゃダメなのは何故か?ではなく、人を殺してはダメという決め事は何の役にたつの?)で考える、つまりAを信じることが人間にとって有用であるとしたらAの真偽によらずAは真実である(デューイ)、人が話したものを解釈しても、それは「きっとこういうことだろうという(決して本当かを確かめることができない)個人の解釈に」によって成り立つ。結局我々が到達できるのは、「書かれた文章」「話された言葉」だけであるから、それらの言葉から各人が自分なりの真理を構築していけば良いし、「そもそも各人が自分で構築するものなのだ」という自覚が大事だ。(デリダ)
同時代に物理学の不確定性原理、数学の不完全性定理など、真理に対して今の枠組みでは無理、というのがわかってきてしまった。
このように何か真理っぽいものに辿り着いても、他者(自分の思い通りにならずなんだかよくわからないもの)が現れ、完成を阻む。(レヴィナス)
考えてみれば、宗教も科学も哲学も世界を何らかの形で記述して説明しようという試みの一つであるが、それはある種言葉で囲いを作ることであるから、その囲いの外には何かしらが生まれてしまう。この他者論の立場では、誰にも否定されない絶対的な真理を作ることは無理である。
一方で、他者がいるからこそ、世界は完結せず面白いままである、とも考えられる(もし全部の心理がわかっちゃったらめっちゃつまんないのでは、永遠の停滞と絶望)
筆者の考え:現代における真理とは、「私がどんなに真理を持ち出して正しいと叫んでも、それを否定する他者が必ず存在すること」
デカルトの我思う故に我あり、もまあ一応真実だとすると、世界で確実なのは、「私」と「他者」によって世界が構成されていること。
(個人的には:厳密には私の思考作用と私が他者として認識するまなざしとして仮定される思考作用、みたいな感じかな?)
他者は私にとって意思疎通ができない不愉快な存在であると同時に、「問いかけ」が可能な唯一の存在でもある。「他者」に「真理」を問いかけることにより、新しい可能性、新しい理論を生み出すことができる、だからこそ人は対話をし、この真理を求める気持ちこそが人との対話を生んでいる。
対話を成り立たせる原動力は、真理を求める熱い思い。
真理という幻想は、そのためにこそあり、それこそが真理なのではないだろうか。
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真理の章
・プロタゴラス:人間は万物の尺度である(相対主義)
・ソクラテス:衆愚政治からの脱却。真理への追求。無知の知による真理への情熱。知らないとわかっているからこそ知りたいと願うのではないか。ソクラテスが真理のために毒杯を飲んだのは、真理への情熱を再興させた。
その後キリスト教が西洋を支配する中世時代で、人間は理性だけでは真理に到達できず、到達するには神への信仰が必要、という方向に
ただ、ルネサンス(古代の栄光を取り戻そう運動)や宗教改革により、教会の権威が弱まり、「信仰を重視する時代」から「理性を重視する時代」へ転換していった。
・デカルト:我思う故に我あり
実際は本を読もう。
Posted by ブクログ
哲学の鉄人たちを、真理・国家・神様・存在という4つの大きなテーマに沿って、格闘マンガ「バキ」のように競わせて解説するという、初心者向け哲学解説書。歴史的な流れに沿って論が進んでいくのでとてもわかりやすい!入門書としては最適でした。続編「登用の哲人たち」もあるのでそちらも読んでみます。
Posted by ブクログ
すごく面白い。
私はバカですので、哲学の専門書は全く理解できないが、これは非常に分かりやすく書かれており内容がスっと入ってきます。
哲学ってこんなに面白いんだ!って、教えてくれた1冊です。
Posted by ブクログ
聞いたことがあるが、よくわからない哲学の内容を非常にわかりやすく、かつ面白く読めた本。
【ソクラテス】
無知の自覚こそが真理への情熱を呼び起こす。知らないと思うからこそ知りたいと願うのであり、まず自分が何も知らないと認めることが出発点である。これは謙遜の誇示ではなく、真理を求める熱を生むための態度である。自ら毒を飲んだ行為は、命をかけるに値する真理が存在し、その追求のために人生を投げ出すことができるという確かな証明である。
【デカルト】
「我思う、ゆえに我あり」。たとえ全てが嘘でも、それを疑う自分の存在は確実であると示し、絶対に疑えない真理を導き出した。
【言葉と解釈】
会話は意図そのものではなく言葉のやり取りにすぎず、状況や個人の解釈によって成り立っている。解釈がずれていても辻褄が合えば気づかないことも多い。
【真理の完成と停滞】
もし究極の真理と哲学体系が完成すれば、それは学問の完成であるが、そこに待つのは知的好奇心の消えた退屈な停滞である。
【プラトン】
究極の理想の存在をイデアと名付け、現実とは別の世界に実在すると考えた。
【アリストテレス】
万学の祖であり、国家体制の腐敗や変遷を2500年前に予測した。他者を殺す自由を放棄する見返りに安全を得るのが国家であり、民衆が主で国家は従である。
【資本主義】
飲食店が生き残るかどうかはその街に必要かどうかの証明である。
【キリスト教】
カトリック(保守派)とプロテスタント(改革派)がある。
【金と権力】
金と権力は生を充実させる。高い障壁があれば努力で乗り越え、敵がいれば打ち倒すべきであり、弱者を賛美する綺麗事はルサンチマンに過ぎない。
【時間の浪費】
やりたいことがなくても生活のために働き、自由時間は1日のわずか数時間。多くはテレビやネットで浪費される。超人になりたいと願い続けることが重要である。
【デモクリトス】
物質を分割し続ければそれ以上分割できない粒=原子に行き着くと考え、原子論を構築した。原子が空間を動き、結合や分離を繰り返すことで世界が成り立つとした。
【宗教と文明】
宗教が権力を握った結果、文明が衰退したのは歴史的事実である。
Posted by ブクログ
哲学の入門書に最適
前述の哲学者に異議を唱えるかたちで次の哲学者を紹介していくため、哲学の思考の歴史を自然と学ぶことができます。これを読んで気になった哲学者がいたら個別の著書などにあたれば良いと思います。個人的にはサルトルの『自由の刑』という概念を掘り下げてみたいと思いました。
Posted by ブクログ
文章にドライブ感があってぐいぐい惹き込まれる。エッセイを読んでいるのかと錯覚するくらいスラスラ読めた。「よく聞く哲学者がどんな考えをしていたか」をざっくりと学ぶには最適の一冊だと思う。
人生において「哲学すること」は生きやすさに繋がるように感じた。
Posted by ブクログ
非常におもしろく興味深い書籍だった
刃牙スタイルの語り口で西洋の哲学の系譜を熱情込めて記述されている
ある哲学者の唱えた説に後世の哲学者がバトルを挑みそれが繰り返され真理へ挑んでいったありさまがすさまじい。
印象的だった章は
・ソクラテス
・アリストテレス
・ルソー
・マルクス
・エピクロス
・トマス・アクィナス
・ニーチェ
・ソシュール
だった。
それじれの戦闘スタイルはもちろんのこと、エピソードや人間らしさも魅力的だった
すごい本だ
Posted by ブクログ
多くの哲学者たちが「強い論」の追求のため、自身の人生のすべてをかけて考え、そして議論していたことを知りました。「哲学」しようとすると姿勢は美しく、「思う」ことは尊く、「考える」ことは素晴らしいと思いました。私も「哲学」したくなりました。
Posted by ブクログ
本当にわかりやすいし面白すぎた!哲学ってこんな面白いんだって結構感動したレベル。もともと哲学には興味があったけどこれ読んでもっと哲学の勉強したくなった!哲学の知識何もいらないし文章も読みやすいし、全員におすすめしたい!!!
Posted by ブクログ
哲学の世界の入り口としていつもお世話になっている。
哲学者の思想と著者の解釈が存在せずはっきり区別されて書かれているからわかりやすい。
哲学の勉強をする時は必ずこの本を参照してなんとなくのイメージを掴んで本筋にはいる。
Posted by ブクログ
哲学に興味を持つきっかけになった本。わかりやすいけど教科書みたいに平易に書かれているだけじゃなくて、たぶん著者の解釈というか、そんな簡単なことじゃないんだ、もっと奥深く味わい深いんだ哲学は、みたいな熱が伝わってくる語り口でワクワクする。
Posted by ブクログ
東洋哲学はそのまま宗教になっちゃうところがおしろい。
軽快な語り口で、面白おかしく解説してくれているので、どんどん読み進められて、「理解できた気になれる」。
仏教にもかなり興味がわきました。
Posted by ブクログ
想像以上におもしろかった。とっつきにくい哲学を、誰もが分かりやすいように噛み砕いて、しかも体系的に並べて、天下一舞踏会になぞらえて本にまとめている。作者さんの才能にあっぱれです。
Posted by ブクログ
たしかに、資本主義のおかげで、僕たちの生活は豊かになった。だが、実のところ、もはや十分に豊かになったといえるのではないだろうか。僕たちの生活を豊かにする技術は飽和したといっていいのではないだろうか。だとすると、僕たちはいったい、何のために労働するんだろう?
ものがあふれ、生活必需品を自動的に生産できるシステムすらつくり出せるはずの知恵を持った人類は、なぜ毎日、「お金がない」と言い続けながら、人生を労働に費やし続けているのだろう。僕たちは、働くために生まれてきたのだろうか。
そもそも、最初は、自分たちの生活を豊かにするために、資本主義経済をつくり出したはずなのに、いつの間にか、そのシステムを維持するためだけに、過剰な労働を強いられている。それは主従関係がいつの間にか逆転した状況といえるだろう。
そして、インターネットが普及し、ネット上で安価に娯楽を得ることができるようになった今、はっきり言ってそれほどお金を稼ぐ必要もなくなりつつある。
「大きな家に住んで、いい服を着て、いい車に乗って、街に繰り出して遊んだり、遠くに旅行に行くこと」、それがかつての贅沢の仕方であり、出かけるたびにお金がかかる(消費する)から、がんばって稼ぐ必要があった。だが、いまや家でパソコンの前で、インターネットをしたり、ネットゲームで遊んだりするだけでいくらでも時間が潰せる時代なのだ。テレビ、ネット、ゲーム、動画サイト、匿名掲示板……、それらはとても安価な娯楽である。田舎の小さな部屋にパソコンとネット回線さえあればいい。月に何日かバイトするだけで、十分に娯楽を楽しむことができるだろう。
さぁ、そうなったら、誰が一生懸命働くだろうか。ますます、一生懸命働く意義などなくなってくる。だが、みんなが一生懸命働いて成長し続けていかないと、資本主義は崩壊してしまうのだ。
かつては、地位のない庶民でも「成り上がれる」「贅沢できる」という欲望が資本主義を維持する原動力となっていた。だが、今の世の中は、そんなに苦労してまで欲しいものなどどこにもない。もはや、経済的成功に対する欲望は薄れてしまったのだ。
だからこそ、「働きたくない」「働いたら負けだと思う」という人種ーーニートたちが出てきても、何もおかしくはないのである。
今、世間ではまったく働かないニートが社会問題になっていたり、生きるために必要な分しかバイトで稼がないという人種も増えつつある。それは決して、若者たちが堕落したわけでも、親のしつけが悪いわけでもない。彼らは、資本主義社会の成長が飽和状態に達したため「労働の価値を見失った」という新しい「歴史的な問題」に直面した世代の人類、新しい血族であり、のちに何百年後かの人間が、僕たちの時代を歴史として見た場合、「そりゃあ、そういうやつも出てくるに決まってるよ(笑)」と評するであろう、歴史的に必然の人種なのだ。
そんな時代に生きる僕たちは、労働の価値を見直すという歴史の転換期にきているのである。
ニーチェは、このような、決して現実世界では勝つことのできない弱者(ユダヤ人)が精神世界での復讐のためにつくり出した新しい価値観を僧侶的・道徳的価値観と名づけた。そして、このユダヤ人の「僧侶的・道徳的価値観」は、イエス・キリストによって引き継がれ、ユダヤ教という「現実的な復讐を望む宗教」から飛び出し、キリスト教というまったく新しい宗教を生み出す。その宗教の教祖であるイエス・キリストは、まさにその「僧侶的・道徳的価値観」の申し子であり、その価値観を体現するような人間であった。そして、最終的には、彼はその価値観に殉じて、無抵抗のまま捕らえられ、裸で十字架に磔にされたあげく槍を突き刺されて殺されてしまう。
まさにその瞬間である! 彼の身体に槍が突き刺さったその瞬間、「かつて善だったものが悪となり、かつて悪だったものが善となる」という価値観の大逆転が起こる。すなわち、ワシやタカなどの強い猛禽類は「悪しき」もの、人畜無害な弱い子羊は「善い」ものとしてみなされるような価値の転倒。それが、彼の死後、人類史においてはっきりと目に見える形で現れていくのである。そして、そのキリスト教(新しい価値観)が、さまざまな国家の国教となって西洋世界の支配に成功することで、この逆転した価値観が世界中にどんどん広まっていき、ついには古代の価値観を押しのけ、スタンダードなものとして人類に定着してしまった、そうニーチェは言うのである。
また、ニーチェは、この新しい価値観が「人類の本来の生を押し殺している」とも主張している。なぜなら、本来の自然な価値観とは、「強いことは素晴らしい」と言う素直でまっとうなものであるからだ。それがいつの間にか、「弱いことは素晴らし。力はないけど、優しいよ」と言う価値観にすりかわってしまい、人間たちは、弱者であることを恥じることもなく、他者からどんなに酷い仕打ちを受けても、怒らずニコニコと振る舞う人を「善い人間」だと思うようになってしまったのである。だが……、そんな生き方が、人間本来の生であるはずがない!
しかし、この非自然的な価値観は、キリスト教を通じ、一〇〇〇年以上もの時間をかけて、ゆっくりと人類を洗脳していった。そして、いまや自然ではない価値観の方が、常識となっているのである。
実際、僕たちだってそうじゃないだろうか? たとえば、誰かが、こう言ったとする。
「僕は、金と権力が欲しいです」
どう思うだろう? 世間的な印象としては「なんて嫌らしい人なんだ」と思うのではないだろうか? 意地汚い。おこがましい。欲望まみれの俗的な人。たいていの場合、そう言う発言をする人にはそんな印象がついてまわる。
でも、よくよく考えて見てほしい。いったい、この発言のどこに問題があるのだろう?
金と権力。それは明らかに生を充実させる要素である。大望があり、野心があり、一度しかない人生を激しく燃やして生きたいと願うならば、むしろ「金と権力」を求めるべきである。少なくとも「悪い」という発想はありえないはずだ。
実際の話、「金も権力もない人生」と「金も権力もある人生」、どっちかを選べるとしたら、普通に後者を選ぶはずである。でも、後者を目指すと公言すると、途端にみんな嫌な顔をする。
その理由は明白である。ほとんどの人々が、それらを得ることができないからだ。それは、人々のコンプレックスを刺激する。
先に見たように、かつて古代においては、「金と権力を得ること」は善いことであった。そんなことは自然で当たり前のことである。だって、あった方が人生が充実するのだから、当然である。そして、それを得るために、努力すると宣言するのであれば、拍手喝采、素晴らしい、ぜひがんばりたまえ、である。
だが……、どんなにがんばっても「金と権力」を得られない人たち、それを得る自信がない人たちだっている。彼らはどうすればいいのだろう? 彼らは、自分たちの、惨めな敗北者としての人生を受け入れるしかないのであろうか? いやいや、彼らは、こう言うのだ。
「金や権力を得たからって、幸せになれるとは限らないじゃないか……。むしろ面倒なことになるからいらないよ」
「学歴があるからって善い人とは限らないよね」
「一流企業に入ったって、このご時世だもの、倒産するかもしれないよ」
彼らは「イソップ童話」でいうところの「取れないブドウをすっぱいと言ったキツネ」と同じである。そのキツネは、ホントウはブドウが欲しくてたまらなかった。実際にブドウが食べられたとしたら間違いなく食べた。しかし、ブドウは食べられない高さのところにあったため、彼は自分の都合で、ブドウの「価値」を落としめる。
「ふん、あのブドウはすっぱいに違いない。ああ、食べなくてよかった」
このキツネが、まっすぐに自分を生きていないことは明らかである。そして、そのうち、同じようなキツネが集まってきて、「ブドウをほしがらないことは善いことだ!」という道徳や教義を打ち立て始める。彼らは、ずっと心の中で取れないブドウへの「恨み(ルサンチマン)」を抱きながら、ブドウを欲しがらない無欲な自分を誇りに思うのだ。そして、もしそこに、がんばって飛び上がり、うまいことブドウを手に入れたキツネを見たら、彼らは「なんて意地汚い」と見下し、「別にブドウだけが人生じゃないのに、あんなに必死になっちゃってさ(笑)。自分なら、そんなものを欲しがったりしないね(笑)」という歪んだ価値観を持ち出して内面的に勝利することで、恨みを晴らし自分をなぐさめるのである。
だが、ニーチェは、こういった歪んだ人生を、ただの欺瞞に過ぎないと断言する。ホントウは、彼らだって、ブドウを得るために、必死になって飛び上がってもよかったのだ。自分の限界を超えて闘ってもよかったのだ。だが、それをしない。失敗が怖いからだ。自信がないからだ。飛び上がって取れないところを他者に見られるのが恥ずかしいからだ。彼らは、惨めな敗北者になることが耐えられない。だから、彼らはブドウが欲しいという気持ちから目を背け、「無欲は素晴らしい」という価値観にすがりつく。
しかしもちろん、そんなものは、決して自然本来の生ではない。人生には、成し遂げるべきことがある。戦ってでも勝ち取るべきものがある。もし、勝ち取るために高い障害があるとしたら、それを乗り越える力を得るために努力すればいい。敵がいるのならば、敵を撃ち倒し、己の意を貫く強さを手に入れればいい。
だが、価値観が転倒した世の中では、「道徳」が「宗教」が「教育」が、無害で無欲で謙虚な人間であることを強制してくる。弱者であることを賛美してくるような綺麗事の数々。しかし、それらは、すべて弱者のルサンチマン(恨み)にすぎない。だって、その綺麗事を言っているやつらだって、もし、手にとどくところにそれがあったなら、間違いなく手に入れていたからだ。
彼らは、それを手に入れられない弱者であるからこそ、弱者である状態を惨めに思わないように、弱者であることに価値を見いだす幻想をつくり出しているだけなのである。
こうした、非自然的な幻想。弱者救済システム。それこそが、「信仰」や「道徳」の正体なのだとニーチェは考えたのである。
もちろん、このような背神的、反道徳的な彼の考えが、世間一般に受け入れられるはずもなかった。二四歳で大学教授にまで登り詰めた天才ニーチェは、誰にも理解されることなく、大学を飛び出し、哲学者として野にくだる。そして、先に述べたような本を書き始め、最後には発狂して、その人生を終えるのであった。
初学者には分かりやすい一冊
当初どの哲学者の本を読もうかと考えていた時にこの本の存在を知りました。どれを読むべきか分からない時にこの本のように概要をざっとまとめてくれかつ分かりやすい本は初学者にとって適切な本ではないかと思います。色々な哲学者の生き方や考え方を知ることができ、次に読みたい哲学書も決まりました。
Posted by ブクログ
2025/12/3 再読
最高of最高
哲学に刃牙を混ぜるのが天才だし、話も筋が通っていて物語になっていてめちゃめちゃ面白い!!
今回はカント先生が一番刺さった。
「真理とは人間によって規定されるものである」
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2019/6/27
控えめにいって最高でした。
哲学の素人である自分も、その全体像を把握することができたし、ダイスキな刃牙要素がふんだんに盛り込まれていて胸熱でした。
刃牙と同様みんなかっこいいですが、あえて言うならレヴィナス先生が最高です。(ちなみに、刃牙では渋川剛気が一押し)
あと、ルソーのエミールは読みたくなりました。
真理を探究し、絶対的な真理が無いことを知り、その中でも真理を探究するさま。
古代の哲学者の先進性。中世の宗教の隆盛。など、歴史観の勉強にもなった。
また読みたい一冊!
いかにして西洋が成り立ったのか
タイトルこそ「哲学入門」ですが、哲学の歴史や成り立ちを判りやすく解説してくれてます。
何故、ヨーロッパでローマ帝国が発展し、キリスト教が普及し、産業革命やルネッサンスが起きたのかを
哲学を通して学ぶ事が出来ました。
歴史や人類の発展の仕方を知りたい人にもオススメの1冊です!
Posted by ブクログ
面白かった。
哲学の始まりから近代に至るまで哲学がどのように変容していったのかを時代背景と共に分かりやすく、網羅的にまとめられている。
個人的に弁証法により真理とは何かを追求し続けるThe哲学っぽい姿勢が好きだから読んでて凄く面白かった。
哲学者達のありのままの主張を言及しつつ、筆者が読者用に分かりやすく噛み砕いて具体例と一緒に説明してくれる。そのため、一見難しいと思われる哲学という学問だが思っていたよりもスっと入ってくる。
1つ目の真理の哲学がいちばん面白かったかな
国家と哲学もアダム・スミスの資本主義とマルクスの共産主義の違いなどを哲学史的な背景から学べたのは凄く興味深かった。
忘れちゃいそうだからもっと哲学史の本を読んで情報としてではなく知識として定着させたい
Posted by ブクログ
最後の最後まで初心者にわかりやすく工夫された哲学入門書。
世にある初心者向けを謳う哲学入門書のほとんどが、本当に読みやすいのは最初の30ページくらいで、それを過ぎたら専門的な用語が飛び交ってちんぷんかんぷんになる、という類のものだと思う。
そんな入門書に何度も挫折してきたけど、今回のこの本は、最後まで読者に寄り添った、わかりやすい言葉選びが徹底されていてスルスルと読むことができた。
Posted by ブクログ
大変面白い。西洋哲学の概要を復習できた。ヴィトゲンシュタインなど触れられなかった哲学者も多かったからもう少し個人的に深掘りしたいかな…入門書として哲学の世界に導いてくれたからこそ、原著を次は読んで深めたい。以下、私の気付き(メモ)
・ヒューム「すべての認識や概念は、経験に由来しており、その経験と現実世界が一致している保証はどこにもない」→ブッダの般若心経にも同じようなことがあった気がする…色即是空?
・カント「経験の受け取り方には人類共通の一定の形式がある。」人間は空間的、または時間的にものを見ているというが、本当にそうだろうか…?例えば、ピグミー族にはどちらか一方(忘れた!)の概念がない、という文化人類学的な考察を聞いたことがあるが。「人類共通」とは主語がでかいのでは?カントの考える「人類」は、いやいやお前たち「西洋人」の間違いだろうおこがましい!という印象。
・サルトル「人間は自由の刑に処せられている」はまあ、そうだよなぁ…と思った。アメリカでの黒人奴隷が奴隷解放令の発令後、結局どうしたらいいのか変わらず次の日も変わらず仕事をしていたように、さああなたは自由だ!と言われることは、自分で選択し責任を負わねばならないという地獄に落ちること。就活生が直面する、そして江戸時代のように決められた人生ではなく自分で決めた人生を生きなくてはならない我々現代人にとっての地獄だと思う
・マルクスの共産主義は階級や格差のないユートピアを目指したのに、結局は「共産党官僚という新たな貴族階級ができただけ。従わないものを弾圧し人権無視に陥っただけ」これは気付かなかった。ソ連、中国、ベトナムなどが歴史で証明した共産主義の誤り…でもやっぱり、資本主義のなかにも社会保障は必要だと私は思う
・快楽主義のキュニコス派=これ、今で言う「ミニマリスト」みたいじゃない?笑
大学生のときはニーチェが嫌いだったが、社会人となった今ではまあ、わからなくもないと思った。それでも上昇志向にとりつかれず生活をのんびり過ごすことも悪くないと思うが。フッサール、ハイデガー、ソシュールはもう少し深掘りしてほしかった!そこは私が個人的にやるべきことだと思うので、さらに読んでいきたい…飲茶さんの軽快で的を得た文章は素晴らしかったです。改めてありがとうございます、と伝えたいです。
スラスラ読める入門書
哲学に対して「難しそう…」というイメージがあっても、ノリがよく的確に大事な点をついている文章でスラスラ読むことができます。
Posted by ブクログ
哲学はむずかしい――そう思い込んでいる人は多い。だが飲茶の『史上最強の哲学入門』は重厚な書棚の奥からこの学びを日常へ引き戻す。ソクラテスの問い、ニーチェの反骨、サルトルの自由。彼らは遠い天才ではなく、いまを生きる私たちと同じ矛盾と不安を抱えた人間だと気づかせる。正解のない問いこそが思考を耕す。それを端的に示すのが哲学の力だ。結論を急がず「なぜ?」を抱え続ける姿勢。それが閉塞を破る鍵となる。哲学は雲上の学問ではなく明日を試すための道具なのだ。
Posted by ブクログ
哲学の教科書的な本。流れがわかって面白い。哲学と言っても科学や宗教、社会科学もその一部なのかとも感じた。人類は今も真理を追求中ということがよくわかって面白かった。
個人的には、特に、西洋と東洋の考え方の違い(西洋は時を経るごとに常に正解に向かって進歩していると考える、東洋は歴史は繰り返すと考える)が面白かった。
Posted by ブクログ
哲学者をプロレスラーに見立てて、テーマごとにラウンドが進む形で西洋哲学を紐解く。各テーマの哲学者の登場は歴史順で、テーマごとに、哲学者が前の哲学者を批判して乗り越えようとしてきたかがよくわかる。各哲学者の記述は濃淡ある気はしたが、入門書としては充分。
Posted by ブクログ
哲学初心者には分かりやすく面白かった。所々著者の考えも入っていて、その部分においては共感できない所もあったが、哲学とはこういうものだよ、こういう流れだよという入り口に立つには読みやすくて良い。
Posted by ブクログ
最初に相対理論、人それぞれからはじまり、相対理論の強さを解く。なるほどわかりやすいとなったら次は無知の知、相対理論の持つ弱さや弊害、真理を追求する意義を解きなるほどと納得したら、再び新しい理屈が、を繰り返しなんどもなるほどとなり非常に面白い。
4つのジャンルに分けてその繰り返しをするため、4回分のなるほどを得られるのはなかなかに快感。ただジャンル分けの弊害か、古代から中世あたりに話が一気に飛んだりして、間は?となったりする。あと紹介される哲学者の中に、前提を説明するための人みたいな感じで軽く触れるだけというのがチラホラいるのもちょっと気になる。
そして一番気になる点は士農工商があるみたいなかんじだったり、英語には敬語がないと思ってそうだったり知識の怪しさをちょいちょい感じる。特に31人の哲学者を紹介してる割に参考文献が少ないのは不安になる。刃牙除くと参考文献2冊だけよ。
不安な点はあれど「哲学史とは、知の領域において、強さと強さをぶつけ合い、研鑽してきた戦いの歴史なのです。」を見せる構成は気持ちがいい。あくまで入門用と割り切って、細かい点は他を当たるというならいい本ではないだろうか?
Posted by ブクログ
この本のデメリットは「やたら分厚いこと」だけ。
分厚さで敬遠してしまう。
哲学ってマジで学問として難しく感じる。
「考えてる俺どげんね?」というカッコつけ。
だからこそ、ダラダラ何が言いたいん?長いわ!というのが哲学書の印象だけど、この本はまぁほんとに分かりやすい分かりやすい。
専門用語も難しい言葉も使ってない。
歴史上で名を残した哲学者の有名どころをしっかり抑え、何をしたのか短く、分かりやすく解説してくれてる。
ストーリー性もないから、気になる人物のページだけ読んでいい。
本棚で保管しておきたい。
Posted by ブクログ
ひょんなことから西洋哲学を知ってみたくて、この本を第一歩に選んで良かった。
所謂「哲学史」が知れるので、西洋哲学のように古代から現代まで一歩一歩積み上げてきた学問には必要不可欠な知識だと思った。
これもを以て興味の湧いた思想を掘り下げたい。
手軽な哲学史大全。
2024年12月読了。
前々から積ん読状態だったものから手を付けた。哲学自体は好きで、大学時代も講義を採っていたが、何せ古代から現代まで数多の星のごとく《哲学者が居るため》、フォローしきれずに終わってしまった記憶が強かった。
その後、社会人と成ってからもチョコチョコ読もうとするのだが、古代から現代までは果てしなく遠く、いつも『近代の途中』で断念していた。「哲学史大全」の様なものは沢山出版されているが、どうしてもカタログ的で喰い足りない印象に成り、遠ざかってしまってからもう数十年…。
五十路を過ぎて《これが最後のチャンス》とばかりに本書を購入したが、中々手に付けられず月日は流れ…、先日ふと思うことがあり『やはり死ぬまでにはキチンと概観だけでも理解しなくては』と思い読み始めた。
読みやすさ、ポイントの付き方、前後の哲学との繋がりや相関関係が、見事なまでに《要を得て簡潔に》書かれているため、本当に楽しい時間を過ごしながら読破した。この《読みやすさ》に特化した本は、市場には余るほど溢れているが、著者の『前後関係をハッキリさせること』『その人の主張のポイントを(例え本当は複数の主張が有っても)出来るだけ少なく簡潔に纏めること』に非常に力を注いでいる為、読者が《置いていかれない》工夫がされている点も非常に高く評価したい。
哲学は底の無い井戸のようなもの、これをスタートに現代哲学を新たな気持ちで勉強し直そうと決意した。そんな事を考えさせてくれた著者に対して、本当に厚く感謝したい。
』
史上最強の哲学入門
哲学というとっつきにくい分野に対して「グラップラー刃牙」を用いて説明を試みた本作はとても読みやすい作品だった。哲学的問題に対する考え方、解釈について、歴史上の様々な偉人たちがどのように問題を捉えたか、そして、その後次の偉人がどう答えるに至ったのか順を追って説明がされていた。この作品をきっかけに哲学について学んでいこうと思わされたまさしく入門書に相応しい良作。