【感想・ネタバレ】賭博者のレビュー

あらすじ

ドイツのある観光地に滞在する将軍家の家庭教師をしながら、ルーレットの魅力にとりつかれ身を滅ぼしてゆく青年を通して、ロシア人に特有な病的性格を浮彫りにする。ドストエフスキーは、本書に描かれたのとほぼ同一の体験をしており、己れ自身の体験に裏打ちされた叙述は、人間の深層心理を鋭く照射し、ドストエフスキーの全著作の中でも特異な位置を占める作品である。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 すっごく面白い。冒頭はけっこう硬くて、これは厄介なものに手を出してしまったと後悔したのだけど、おばあさんが出てきてから俄然面白くなり、特にカジノの場面はめちゃくちゃ面白い。主人公が、好きな女の子といい感じになってその流れでカジノで大勝ちする場面が痛快だ。とっくにパブリックドメインなので、現代に置き換えて漫画にしてみたい。

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2025年10月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

他の長編にくらべると思想的なものが薄かったりして読みやすかった。
ギャンブルにはまったひとにしか書けなさそうな文だとおもったらドストエフスキーもギャンブルでえらいめにあってたのね…。
書いてあることが、ギャンブル依存症の知人が言ってることとだいたい同じだった。

老婦人が登場してからの勢いのある賭け方とスリ方にはつい笑ってしまった。
ドストエフスキーの登場人物は唐突に叫んだり激昂したりするけど、この人もそんな感じで、周りが必死になってとめてるのにウォォォ!とばかりに賭けまくって持ち金全部なくす様は潔くもあり滑稽でもありまた切なくもあった。
負ければ取り返したくなるのは仕方ないことだけどあまりにもはちゃめちゃな賭け方。

『生涯にせめて一度なりと、打算的で忍耐強くなりさえすれば、それでもうすべてなのだ!せめて一度でも根性を貫きとおしさえすれば、一時間ですべての運命を変えることができる!大切なのは、根性だ。』
という文は、すごい根性論ではあるけれどつい逃げそうになってしまう私には響いた。

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2021年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最終章となる第17章がとても印象的だ。
マドマアゼル・ブランシェとのパリでの浪費生活を終えたアレクセイは、ルーレット賭博のためにルーレテンブルク、ホンブルクと流れ着き、各地で手痛く敗北する。
やがてホンブルクで再開したアストリーから、かつて恋い焦がれていたポリーナの真の気持ちを告げられる。その内容は、あれだけつれなかったポリーナが、実はアレクセイを愛していたというものであった。これを機にアレクセイは再起を志す。しかし、既にアレクセイの生活から賭博は切り離し難く、再起のための手段と称して再び賭博に手を出そうとする…。最早、彼にとって賭博を打つことは経済的再生の手段ではなく、刺激を得る為の目的となったようだ。
私は小心者であるから、博打ごとはとても苦手だ。お金が増えるのは有難いが、無為に失くすかもしれないと思うと興奮よりも恐怖が先立ってしまう。そのような自分には、この賭博者で描かれているアレクセイやワシーリエブナお祖母ちゃんの心境について理解仕切ることは難しいだろう。分かるといえば、失ったものを取り戻すために更に失うおそれのある行動をしてしまう心理は分かるかもしれない。
月並みな感想だが、博打は怖そうだから極力避けようと強く思った、というところです。

この本のもう一つ印象深いところは、自分自身の価値観に照らすと、登場人物のほぼ全員が嫌な奴ばかりで、イライラさせられるのに、途中で読むのを放棄したいとはならないところかな。それだけ惹きつけるものがある。
人柄としてはアストリーが一番マシだが、ポリーナに対する対応は英国流の騎士道精神に隠した下心がありそうで嫌だし、他人の破滅をそっと眺めて楽しんでいるようにも感じてしまう。
最大のイライラ人物はブランシェでしょう。次点で賭博場にいたポーランド人たち。
やたらとこの本はフランス人とポーランド人、そしてロシア人に厳しい。どんな作者も一定の批判精神を持って作品を書く場合、自国民には当然に厳しくなるかも知れないが…。
ところで、この本は初版が1861年に出版されたそうです。そうするとクリミア戦争でフランスがトルコ側についた恨みや、ロシアがポーランド王国を支配していたことからくるポーランド人への蔑視なんかがあったのかもしれないですね。また、罪と罰で悪し様に扱われたユダヤ人ですが、端役ではあるものの、この本ではちょいと良い人として現れるのも不思議な感じです。ネットで調べる限りではドストエフスキーさんは、晩年、ユダヤ人嫌いだったようです。これを書いていた当時はまだそこまで嫌いではなかったのでしょうか。

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2019年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

バクチって怖いよね、と雑に一言で終わらせてしまってもいいかもしれん。賭け事に嵌ってしまい、ズルズルと破滅していく登場人物の心の動き方、周囲の人との関わり方が克明に表現されています。一方、描写そのものはくどくもなく、ダレる感じもないのであっさり読み進めていける感じです。

中盤から登場する、ある人物がルーレットで凋落していく様子は、「きっとこういう人が当時は間違いなくいたんだろうな」という感じで、シニカルであると同時に戦慄すら覚えます。

ドストエフスキーの他の作品はあまり読書経験がないのですが、恐らく読みやすい部類に入るのではないかと。それほど厚くもないですし。
一部は著者自身の経験にも基づいているらしいので、著者の人生の一部を覗いてみるという感覚で読むのも面白いかもしれません。

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2014年07月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

厳粛なる祖母の登場により、狂った様な性急さで乗客を混乱させる。主人公が終世忘れえぬと述懐した奇跡的な夜の賭博は圧巻。打ちのめされた主人公が最後に向かう場所が、愛する人の待つスイスでは無く、自身を破滅させたカジノであり、まさに病的な賭博者。

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2012年06月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

後半のアレクセイがポリーナのためにルーレットに挑み、大金をメイクし続ける描写はまるで自分自身が賭博場にいるかのような興奮を覚えた。ルーレットに勝っても人生そのものの賭けにはおよそ負け続ける状態。それでも何かを信じて、明日もまた賭博場に行ってしまう。哀しき人間の性。

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2022年07月07日

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