【感想・ネタバレ】無垢の領域のレビュー

あらすじ

道東釧路で図書館長を務める林原を頼りに、25歳の妹純香が移住してきた。生活能力に欠ける彼女は、書道の天才だった。野心的な書道家秋津は、養護教諭の妻伶子に家計と母の介護を依存していた。彼は純香の才能に惚れ込み、書道教室の助手に雇う。その縁で林原と伶子の関係が深まり……無垢な存在が男と女の欲望と嫉妬を炙り出し、驚きの結末へと向かう。濃密な長編心理サスペンス。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

生活能力には欠けるけれど書道の天才である林原純香が、民間に運営を委託されその館長となっている兄の元にやってきて起こす、周りへの人々の心のさざ波をえぐり出した問題作。書道家の秋津龍生はなかなか書道界で力を認められず、妻であり養護教員の怜子に経済的に支えられていたが、純香の件で林原館長に相談を受けてから男女の関係を持つ。秋津は純香の天才さに衝撃を受けつつ、そばに置くことを望んで自分の書道教室の教師として迎え入れる。林原館長には純香も馴染んでいる里奈という彼女がいるが結婚までは考えていない。秋津の母は、もうろくしているのか正気なのか定かではない状況。こうした人たちが抱える静かな嫉妬と羨望を、林原純香はそれぞれに気づかせていく。無垢である恐ろしさはそこにある。そして純香の急死。そこで人々の心のさざ波は薄らいでいく。
章ごとに主人公が違ったりして話の深みに入りにくいが、読み進めていくとざわざわとした心持ちになっていくところがこの小説の怖いところか。一度読んだだけでは、その深みに存在する「何か」を読み取るのは難しいかも知れない。自分も、その「何か」を探りあぐねて読み終わった。ジャンル的にはサスペンスらしいが、この作家の作品としては必ずしも成功作とは言えないのかも知れない。

0
2022年07月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

手本どおりの書道の作品をかける適応障害の純香が生きていればあの書は彼女の名前で応募したのかなと思った!親の過剰な期待で生きる世界が狭まる。沢山の親子の形が書かれている!

0
2021年07月13日

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