あらすじ
初対面で彼女は、ぼくの頬をなめた。29歳の営業マン・伊藤俊也は、ネットで知り合った「ナギ」と会う。5歳年上のナギは、奔放で謎めいた女性だった。雑居ビルの非常階段で、秘密のクラブで、デパートのトイレで、過激な行為を共にするが、決して俊也と寝ようとはしない。だがある日、ナギと別れろと差出人不明の手紙が届き……。石田衣良史上もっとも危険でもっとも淫らな純愛小説。
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Posted by ブクログ
夜の桃は、一粒が書いた夢小説って感じだったが、これは大人で、核心を突くような台詞もあって、桃より百倍よかった
以下自分用↓
俊也…この世界が年を追うごとに息苦しくなるのはなぜだろう。この調子ではこの国に生きる全ての人がお互いを敵として憎み合うようになる日は近いのかもしれない。
ナギ…「なんかわかりやすすぎて嫌になる。男は地位と金、女は若さと処女性。私たち、だんだんビンボーになってきたんだね。生きていくのに、何が重要なのか、その価値観が全部むきだし」
俊也…この国は根本から改革するには、まだまだ快適すぎるのだ。南欧の国々のように失業率が高いわけでもなく、苦しくなったという給与所得者の暮らしも元々の生活水準が高いせいで、暴動が起こるほどのレベルまで逼迫していない。
生き方や世界の存在を細かく分類していった先には、生きものとしての人間に幸福はないのではないか。ヒト遺伝子のゲノムをすべて読み解いたところで、そこに愛とエロスの秘密は明かされていない。
恋愛とセックスは同じひとつのものの表と裏にすぎない気がした
遺伝子を残すための性本能の罠にはめられて、みすぼらしい快感にとらわれている。人間という生きものはなぜこんなに不自由なのだろう。
なぜイくたびにこんなに悲しくなるのだろう
自分の生きているこの時代は、なんておかしな時代なのだろう。大声で笑うか、隠れて泣くか、ほかにどんなかおをすればいいのかわからない。
組織の中で生きる道を断たれそうなとき、男ほど弱い生きものはいないかもしれない
Posted by ブクログ
綺麗な表紙と帯に書かれた壇蜜に惹かれ、あらすじも自分の好きそうな恋愛小説だと感じたので後日購入した。
内容としては、都内で医療メーカーの営業として働く俊哉と、性に奔放な5歳年上の女性、ナギとの恋愛物語である。
読み始めて感じた印象は、今まで普通の女性としか付き合ったことのない俊哉が、性に対して今までにない様々な刺激を与えてくるナギと出会い、その強烈さに惹かれ、他の女性じゃ満足できない身体に調教されてしまったというだけの話だと感じた。物語の前半は、ほぼそんな印象だ。
誰に対してもセックスに抵抗はなく、ワンナイトは当たり前。男と寝てないと不安になると感じるナギの様な女性は、自分にとって当たり前の存在だと思っているので、ヤってもないのにナギと付き合っていると勘違いしてるこの人(俊哉)は何なんだろうと思った。今までにないやり方でイかされて、それにハマってるだけだろ。と、最初読み進みている時感じていた。
しかし後半になると、ナギの性に対する執着はただのメンヘラ気質という訳ではなく、過去のある出来事に心が病み、その不安を紛らわすため。または自分を罰するためだと分かる。それを理解して、今まで以上にナギを愛する俊哉の愛情は本物なんじゃないかと思い始めた。心が壊れてしまったナギにとって愛情を与えてくれる俊哉という存在は、恐ろしくもあり、救世主の様な存在でもあったんだろうなと感じる。
Posted by ブクログ
主人公のドMさに共感できない。
途中まではこれからどうなるんだろうというハラハラドキドキ感があった。
最後はあっさりしすぎていてガッカリ