あらすじ
魔導士が差別され、虐げられている国ラバルタ。田舎で私塾を開いている三流魔導士レオンは、魔導士の最高機関〈鉄の砦〉からひとりの少年を託される。幼くして家族をラバルタの騎士に殺され、桁違いの魔導の潜在能力がありながら、学ぶことを拒む少年ゼクス。頑なだった少年は、レオンの辛抱強い指導の下で才能を開花させていく。やがてその力を認められ〈鉄の塔〉に召還されたゼクスだったが、貴族の魔導士アスターとの出会いが彼の、そして王国の運命を大きく変えていく。第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞の本格異世界ファンタジイ。/解説=三村美衣
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Posted by ブクログ
魔術が使える者が忌み嫌われるという王道から外れたストーリーなのに、ゼクスの圧倒的強さに厨二試がくすぐられた。
レオンとゼクスの絆が、見えないところでしっかりと繋がっていて温かい気持ちになった。出てくる人たちもみんなキャラが立っていてスラスラ読めちゃう。おかげで寝不足。
戦争の怖さと、それでも守りたいものと。天秤にかけて自分の小ささを知る。ラノベ馬鹿にしすぎてた。
Posted by ブクログ
第1回創元ファンタジィ新人賞優秀賞受賞作品。
世界観がしっかりしているハイ・ファンタジー。剣と魔法の異世界ファンタジーのド直球。文章は読みやすいがしっかりしている。文体も王道という感じ。心象描写は少な目かな。
ファンタジーは好きだけれどラノベテイストは苦手、という人におススメ。ラノベ的お約束な要素は一切入っていないので。まさに大人も楽しめるファンタジー。
ただまあ物語の流れや設定は王道なので、正直目新しい部分は特にない。逆に言えば安心して王道を楽しめる作品、とも言えるけれども。そして解説にあった「空気感」がないせいか? ハマるまではいかなかった。あんまり心に残らないというか、あと一歩という感じ。でも伏線も回収していて捨てキャラクターもいない、とても丁寧な作品だったので、この著者の次回作が楽しみ。
ゼクスが二重三重の差別に苦しんでいる、というのは読んでいてこちらまで苦しくなり、腹立たしくなった。どこへ行っても侮蔑の対象にされる。その高すぎる能力さえも、嫉妬とやっかみの対象に。侮蔑と嫉妬は紙一重なのかな、とも思った。
ゼクスもレオンも他のキャラクターも、すごく「生きている」という感じがした。薄っぺらいキャラではなくて、ちゃんと人間している。弱いところも汚いところもあるし、矛盾している部分もある。ダーニャが反発し続けるのではなくて、戦争の罪を飲み下すところとか。
一番好きなシーンはゼクスが初めてレオンの導きによって魔導を使ったシーン。二人の上に水が落ちて虹ができる光景が目に浮かんで、その美しさに心が震えた。
Posted by ブクログ
第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。
魔導士が下賤の身分とされ、虐げられている国ラバルタ。人一倍勉強して豊富な知識を持っているのに、天与の才に恵まれなかったため三流魔導士として私塾を開きながら生きるレオン。比類の魔導の才を持ちながら、ある理由から魔導を学ぼうとせず、処分されかかっていた少年ゼクス。レオンの元にゼクスが強制的に弟子入りすることになり、物語が始まる。
びっくりするような展開は少なく、ハリポタのような呪文が出てくることもないけれど、その分、安心して読め、素直に楽しめました。また、とても読みやすい文章で、すいすいとページをめくっていけました。
魔導士のいる異世界ファンタジーなので魔法も描かれてはいますが、物語の主軸はレオンとゼクスの師弟愛や、魔導士たちの生き様にあると思います。魔導士たちの必死な姿に感動しました。
アストリア王子率いる解放軍とラバルタの停戦後の世界、レオンとゼクスのその後について、書いてくださると嬉しいです。
(続編の『魔導の福音』に描かれるのでしょうか?)
続編も読む予定です。