【感想・ネタバレ】緑衣の女のレビュー

あらすじ

男の子が住宅建設地で拾ったのは、人間の肋骨の一部だった。レイキャヴィク警察の捜査官エーレンデュルは、通報を受けて現場に駆けつける。だが、その骨はどう見ても最近埋められたものではなさそうだった。現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。サマーハウス関係者のものか。それとも軍の関係か。付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。封印されていた哀しい事件が長いときを経て明らかに。CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞をダブル受賞。世界中が戦慄し涙した、究極の北欧ミステリ登場。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

一人の女性とその家族が暴力に苦しめられた一生と犯罪に至る様子を描いていた。

あぁ、読後がなんとというか。
苦しい。

「ドメスティックバイオレンス」はどうしたら解決できるのか。周りや警察に助けられて、はい終わり。とはならないのだなとこの本で再認識。
「被害者が犯罪者より悪人であることもある」という作者の言葉(あとがき)がとても印象的だった。

この世からなくなることのない問題。トマスが同じような人生を送ってしまったことや、シモンの一生が父親の影響で180度変わってしまったこと。それが悔しいし、切ない。
非常に考えさせられる一冊であった。

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2025年03月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アイスランドを舞台としたミステリー。
前作の『湿地』はその一冊しかないときに読んだのでその続きますと知っていたけれどタイミングがズレてしまって残念。
満を持してついに!積ん読解消。
北欧のミステリー、このアイスランドも。

さて、物語は…
並行して描かれる家族のストーリーは余りにも暴力的で辛く悲しい

みつかった昔の人骨の正体と、ストーリーとどう繋がってゆくのか、ページを捲る手がとまらなかった。

シリーズなのでまた、読み進めたいと思う。

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2022年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ダガー賞読書会のための読書その1。
アイスランドのミステリは初めて読みました。
北欧ミステリのほかの国々と同じく、こちらも凄惨な生々しさでした。読み終わっても、心が重いままです。

発掘される人骨の事件、捜査の指揮を執るエーレンデュル捜査官の娘さんを中心とする家族の話、大戦中に起こっていると思われるとある家族が受けているドメスティックバイオレンス。
この3つの話が次々に描かれ、どう絡み合っていくのか…引き込まれました。

体に受ける暴力も、心に受ける暴力も、何もかもを壊してしまう。暴力をふるっていた人も、壊された人だったのがわかったとはいえ。。。
取り戻すために払った代償は大きいし、とある関係は取り戻せるのか?と思います。
重苦しいけれど、彼らのこれからが気になりました。

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2025年09月30日

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ネタバレ

事件の発端は幼児が遊んでいた人骨。それは60~70年前のもので捜査が始まる。捜査官エーレンデュル。娘は薬中毒で妊婦。暴力夫から逃げ事故にあい入院。事件調査の中で登場する暴力夫に耐える妻と家族の物語。そして現場付近に現れる緑のコートの女…。DVは精神的に人を殺す。単純に「逃げればいいのに」と思っていた自分を猛省するリアルさだった。いつ殴られるか気が気でなくドキドキしながら読み進めた先で泣かされてしまった。人間ドラマが精緻に描かれていて作品としての一体感がすごかった。湿地もその他の作品も読んでみようと思う。

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2025年04月19日

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ネタバレ

 家族を持つ前に二の足を踏む男。家族を持ちたかったが、それが叶わず身を投げる女。家族になったが、それを自分で壊してしまった主人公。作者が〝子供を大切にし、愛すること。それだけが親の責務である。“と訳者に力を込めて語ったという、その親の責務が果たせず、家族を粉々に打ち砕き破壊し尽くす父親。人骨発見を機として、それぞれの家族が交差しながら、重いテーマであるドメティック・バイオレンスが、言葉を尽くして書き切られていく。女性に対しての暴力の描写がリアルで、同じ女性として、読み手を辛くさせる。
 今日もどこかに、身を守るために敵を屍にして穴に埋めざるを得ない状況にいる人が、心の中で握ったナイフに力を込めたり、緩めたりして苦しんでいるのかもしれない。
 殺しが単なる犯人探しの謎解きに終わらないのが、テーマが重い北欧ミステリーの醍醐味である!

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2023年09月21日

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ネタバレ

エーレンデュル捜査官シリーズの第二弾。

子供の誕生日会が騒々しく盛り上がる最中、
人骨が発見される。
人骨は古いもので、発掘部隊がゆっくりと骨を取り出していく。
遺体は近くのサマーハウスに住んでいた家族の誰かなのか、
フィアンセを残して行方不明となった女性なのか。

いわゆるコールドケース、
過去の事件を掘り起していく筋立ては好きだし、
過去と現在を行ったり来たりする構成にもついていけるのだが、
何か入れ込めない。

妊娠中のエーレンデュルの娘とはせっかく心が通じたと思ったのに、
また家を出て行ってしまい、
発見した時には胎盤剥離で胎児を失い彼女自身も意識不明となったり、
そのせいで離婚した元妻に罵倒されたりと、
私生活がひどいからか。

同僚のオーリも同棲している恋人がいるか、
結婚に踏み切ることができず、
もう一人の同僚は、病室にいた老人に質問を繰り返し、
酸素マスクでかろうじて生きていたその老人を死なせてしまうと、
誰にも感情移入ができないせいか。

前作で意味ありげに登場していた昔の上役は出てこないし、
エーレンデュルが幼いころ、
吹雪の日に弟とはぐれ失ってしまったことが語られ、
霊能者と出会うが唐突。
もちろん、事件とは関係ない。

アイスランドでは爆発的な人気らしいけど、
どうも自分にはその魅力が判らない。

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2022年11月21日

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ネタバレ

家族の件など、個人的な苦悩を抱えながらも、捜査官として事件の真相を黙々と追い求めるエーレンデュルの静かな力強さが良い。捜査の進展と並行してある家族の物語が語られますが、描写こそ淡々としているのに、その悲惨さがひしひしと伝わってきて、読んでいてしんどいのだけど目が離せなかった。

ただ捜査していた2つの可能性のうち、片方の√が終盤で割とあっさり無関係とわかってフェードアウトしたのは少し拍子抜け。あと『湿地』のときも思ったけど、締めのラストシーンだけがなんだか妙にメロドラマっぽい。あのラストも、今作を読めば決して安易な結末でない(むしろ人間そんなに簡単には生まれ変われないよ、という事を残酷な形で突きつけている)のはわかるのですが、なんとなく最後の締め方がそれまで語られてきたことに比べてサラッとしてるというかまたかー的な感じ。でも、もしかしたらそれが狙いなのかも?という気がしなくもないです。

トータルではとても面白かったです。
このシリーズはひととおり読みたいと思います。




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2022年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本の三分の一の面積で、人口30万人の国、アイスランドが舞台。
火山と温泉の国というイメージだったのだけど、この作品を読むと、薬物依存、幼児虐待、DV等、荒廃した社会が見え隠れする。
とはいっても殺人事件は年に2~3件しかないのだそうだけど。

新興住宅街で発見された60~70年前の人間の白骨。
のDVで、心も体もボロボロにされる家族。
流産がもとで意識不明状態の娘を見舞いながら捜査の指揮をとるエーレンデュル。

3つの話を柱にストーリーは進むが、DVの部分を読むのがもう辛くて辛くて。
人としての尊厳を踏みにじられ、子どものためにだけ生きる母。
そんな母を見てみぬふりをすることでしか身を守ることの出来ない子どもたち。
ようやく幸せになれるかと思えるような出来事のあとの、絶望的な展開。

捜査部分は展開がゆっくりです。
だって60~70年前の人骨が誰のものかって、関係者すら死んでしまっているかもしれない年数。
そして、その当時って第二次大戦中で、公的書類は紛失しているし、田舎から食い詰めた人たちがレイキャビクに殺到し、イギリス軍やアメリカ軍が駐留し…とにかく社会全体が混乱している時代だった。
そんな時代の手がかりを捜すことの困難。

そしてエーレンデュル。
妻と幼い子ども二人を残して家を出た彼は、自分を探し当て合いに来た娘からいつも家族を捨てたことを罵られている。
しかし初めて娘が「助けて…」と電話がくる。
薬物中毒者の娘は流産が原因で意識不明の重体。
娘の枕元でエーレンデュルが語る、彼にまとわりついて離れない過去。
これがまたアイスランドならではっていう…。

それでも最後に娘が目を開ける。
重くて苦しい話だったけれど、次巻は希望が持てる展開になるといいな。

ところで考古学者が出てくるたびに引っかかるんだけど、スカルプヘディンって名前がどうしても育毛剤っぽく感じてしまう。
私だけ?

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2020年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

たしかに人気作家なだけあり、巧みな構成と筆力を感じる。
死体がまず見つかって、現在と過去の話が交互に織り混ざって進むが、死体は誰なのか、わかりそうでわからない。誰かわかった後も、誰が殺したのか、どうしてそうなったのか、種明かしは焦らされて、先が気になってしまう。

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2024年04月01日

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