あらすじ
疲労回復物質の存在が明らかになって以来、疲労に関する科学的調査が進んでいる。その結果、私たちが日常的に使う「体が疲れている」とは、実は「脳の疲労」にほかならないことがわかった。疲労のメカニズムとは何か、最新のエビデンスをもとに解説する。また、真に有効な疲労対策や乳酸、活性酸素、紫外線、睡眠との関係なども明らかにし、疲労解消の実践術を提示する。【目次】はじめに 疲労を科学することとは/第一章 疲労の原因は脳にあり/第二章 疲労の原因物質とは/第三章 日常的な疲労の原因はいびきにあった/第四章 科学で判明した脳疲労を改善する食事成分/第五章 「ゆらぎ」のある生活で脳疲労を軽減する/第六章 脳疲労を軽減するためにワーキングメモリを鍛える/あとがきにかえて
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Posted by ブクログ
疲労の仕組みがよくわかった。どんなに疲れていても、前向きなフィードバックをもらうとやる気がでてくる。これは、疲れが脳=「自律神経の中枢」に起因するからと聞き、すごく納得。運動でも脳が一番疲れているというのは驚きだった。
脳を構成する神経細胞(ニューロン)が、情報を伝える仕組みが興味深かった。ニューロンは電気信号で情報(興奮)を伝えており、10万分の2㎜ほどの狭いすき間を隔てて接続している。このすき間を「シナプス」という。とあるTV番組のタイトルではないか。
電気信号が届くと、神経伝達物質(アセチルコリンやノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミン、ギャバなど) がシナプスに分泌される。隣の神経細胞に広がり、伝達されていく。神経細胞の状態には活動状態(オン) か、休息状態(オフ) かしかなく、神経細胞がオフからオンへと移行するには、電気信号がある一定の「 閾値(限界値)」を超えることが条件。
「閾値」は、同じ神経細胞ばかりを使って疲れが溜まってくると上昇する。「閾値」を越えてしまうとなかなか元には戻らない。だから、疲れを感じる前に休息を取ることが大事。
目の疲れは、遠くを見たり、席を立って休憩をとろう。
よい睡眠を取るために、寝る前のPCやタブレットはやめよう。
Posted by ブクログ
本書で扱うのは「腕立て伏せを200回やって腕が疲れた!」というような疲労のことではなく、どちらかというと、「今日は次から次へと仕事が舞い込んでもうくたくただ」と言うような精神的な疲労がメインんだと思っておいた方が良い。そもそも、体を酷使して疲れる、と言う場合、最終的に疲れを”感じる”のは脳なんだから、そりゃぁ疲労の原因は脳でしょ、ってことになる。当然。本書の主張は、疲れた~と脳(大脳)が感じる疲れの元は自律神経の”疲れ”であり、それは脳神経細胞がはたらく際に活性酸素に曝されることでだんだん反応(シナプスでの信号伝達)が鈍くなることが原因だ、というようなもの。で、結局、その自律神経が疲れる大きな原因は、良い睡眠が取れていないこと、となっている。良い睡眠が疲れを回復するのに重要だというのは昔から誰でもわかっていることだと思いますが。活動すれば(脳が)疲れる、良い睡眠で(脳を)休ませて回復する・・当前です。まぁ、疲労は脳で感じるものなのだということを理解していくことは重要だと感じた。例えば、栄養ドリンクのようなものを飲んで元気になるのは疲れの原因が無くなったのではなくて、栄養ドリンクに含まれるカフェインのような成分で脳を麻痺させて疲れを感じさせなくしているだけであるらしい。さらに、仕事が楽しくて集中しているほど脳内麻薬が分泌され、長時間でも疲れを感じないで仕事が続けられるらしい(俗に言うフロー状態でしょう)。過労死になる人の自分で率先して長時間労働している場合も多いようで、日本人の多くは確かにこのような状態で過労に陥っているような気がする。要は、(脳が)疲れを感じるというのは「これ以上無理したら体が壊れるぞ」という体からの警告なのだから、栄養ドリンクなどでごまかして働き続けるのではなく休もうということでしょう。
本書は、著者が参加した研究プロジェクトの成果を一般向けに新書で紹介した内容なんです。疲労大国日本において、疲れを客観的に数値化する方法を確立し、過労死に繋がるような疲労を減らしていくために研究を進め警鐘を鳴らしていくることは重要だと思います。ただ著者が自慢たらしく「私が・・」「我々が・・」「私の・・・」という文章が頻繁に出てくるのがちょっと鼻につきます。そして、これらの研究成果を利用して著者が個人的に病院を開院し、新書でそれを宣伝しているというのもどうなのかとも思う。
Posted by ブクログ
鶏の胸肉って、もも肉に比べると安くて良いと思ったのですが、パサパサしていて美味しくないですねヾ(- -;)でも、怪しいサプリメントを飲むより良いので、積極的に食べるようにしたいと思います。
疲労の原因を知り、疲労を最小限に食い止め、疲労を解消したい。という気持ちから手に取った。人は、脳のひとつの神経細胞を繰り返し使っていると、その部分が「酸化ストレス」によって疲弊することがわかっており、脳が疲れたとき、体の疲労を感じる。疲労を放置すると、免疫力が低下したり、生活習慣病の発症リスクも高まるらしい。むしろ楽しく仕事をしているときほど過労死のリスクが高く、ランナーズ・ハイの状態は、たいへん危険と言えるそうだ。脳疲労を改善する食事成分として鶏の胸肉に多く含まれているイミダペプチドが紹介されている。
運動が激しくなると「脳の自律神経の中枢」での処理が増加し、脳の細胞で活性酸素が発生してさびつき、本来の自律神経の機能が果たせなくなります。これが脳で「疲労」が生じている状態、つまり「脳疲労」です。ヒトは、そのときに「体が疲れた」というシグナルを眼窩前頭前野に送り「疲労感」として自覚するそうです(^^ゞ
疲労やストレスの蓄積は、免疫力を低下させ、生活習慣病の発症リスクを高める。仕事も自動車の運転も「飽きた」と感じる前に早めに休息をとると「閾値」は低めの状態でキープされ、の意全体のパフォーマンスの低下を未然に防ぐことが可能。とのことです。
回復しないままに脳疲労が蓄積すると脳は老化し、老化した神経細胞が増えると認知機能の低下をまねきます。脳の急な老化を防ぎ、高齢になっても認知機能を保っておくには、毎日の生活で脳疲労を溜めない工夫が必要だといえます。とのこと。