あらすじ
押見修造(漫画家)、驚嘆。
村田沙耶香(小説家)、絶賛。
高月(こうづき)カノン、23歳。
高校時代からストーカー的に想いを寄せる境(さかい)先輩と、
アルバイト先の喫茶店で再会を果たす。
でも、いけない。
先輩は世界の英雄で、そして奥さんのものだから。
SF×不倫の異色の恋愛を描くのは、弱冠24歳の俊英。
ストーカー気質メンヘラ女子の痛すぎる恋に、共感の嵐です!
片思いは、一方的で独善的で暴力的。
なのに、よくある少女マンガは片思いの美しさばかり描いている。
リアルに片想いを突き詰めれば、ファンタジーでグロテスクでバイオレンスなマンガになってしまうはずなのに。
などと思っていたら、『あげくの果てのカノン』が現れた。
舞台は、エイリアンに侵食されつつある東京。
主人公のカノンが8年間思いを寄せているのは、高校時代の先輩であり今は特攻部隊の一員の境。
イケメンで、少しチャラくて人気者の彼は、巷のヒーローでもあり、既婚者でもある。
それでも気持ちを抑えきれないカノンは、ストーカーレベルで彼を想い続けていた。
少しずつ接近していく二人だったが、それをきっかけに世界は崩れ始め…。
この世界での特攻隊員は、体を損傷しても「修繕」されて戦い続ける。
しかし「修繕」には、性格や思考なども変化してしまうという副作用がある。
変わってゆく自分に戸惑う境に対し、何も知らないカノンは「ずっと好き」と告げる。
救いでもあるはずの言葉だが、果たしてそれは本当に信じてよい気持ちなのか。
ファンタジーの世界でなくても、人間の細胞は数年ですべて入れ替わる。
年を取れば性格も変わっていく。それでもなお、一人の人を好きでいる気持ちは正しいものなのか…?
世界の状況がどうであれ、恋する気持ちは常にエゴイスティックに暴走していく。
SFマンガを敬遠しがちな、少女マンガファンにこそ読んでほしい、痛々しい作品です。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
巨大なクラゲ型エイリアン「ゼリー」の襲来に晒されている世界で、エイリアンから地球を守るため、危険を顧みず戦いに身を投じる戦闘員たち。彼らは、戦闘のたび傷つき、時には身体の一部を失う大怪我もする。再生不能なはずの部位をも回復させる手段として、彼らには「ゼリー」の組織が移植されていた。しかし、その移植手術が行われるたび、彼らは自覚なく、趣味嗜好や、過去の記憶、さらには他者への感情までもが移り変わっていく…。
読者を惹きつける世界設定だけれど、これらはストーリーの主軸には置かれず、あくまで背景として描かれている。
主人公は、戦闘員のひとり・「先輩」へ偏執的な恋心を寄せているフリーター・かのん。彼女はストーカーと称されるほど「先輩」を知悉しているために、移植手術後の彼の変化にもすぐに気がつく。しかし、変わり続ける「先輩」を知りながらも、かのん自身は変わらず「先輩」を恋し続ける…。
好きだった相手の外見や内面が変わり果てても、それでも恋愛感情は消えない、という例は往々にしてある(逆もまた然りだ)けれど、ではその場合、ひとは相手の何を好きなのだろうか。まだ変わっていない部分が好きなのだろうか、ではその部分が変わったら好きでなくなるのか。もし、外見や内面のすべてが変わっても愛しているというならば、存在の何処かには決して変わらない部分があるのか。それともただ単に、恋とは相手の名前をつけた偶像を自分で作る行為であり、現実の相手の存在に意味などないのか…。
奇抜な設定と奇矯な行動で戯画化されているけれど、ここには恋愛の本質そのもの、もしくは人間の関係性の孕む不確実性そのものが描かれているように思う。
Posted by ブクログ
ストーカー気質女子の恋の話、でいいんだろうか。色々衝撃的な作品。世界観も、カノンの性質も、先輩が既婚なのも衝撃だけど、最後の引きがもうびっくりで…。いったいどうなっちゃうの…。しかし、個人的にはカノンの弟がとても気になります( ˘ω˘ )
深いなぁ
舞台がSFの恋愛漫画って珍しいよね
一人一人のキャラの、それも場面場面での心情が細かく表現されてたのが凄い良かった
不倫する話なんだけど全然主人公に共感できなかったわ
って言うより先輩がめちゃくちゃ嫌い
修繕で変わってしまう事を理由にしてるよね、自分でも好きで変わってるんじゃないとか抜かしてたけど
先輩の実家で見た夢の所は何故か感動の鳥肌がたった
そのシーンの絵が凄く綺麗に見えて、好きな人と何気ないこんな普通の会話出来ることが幸せなんだな~って思った
カノンにとっては特にね
まぁでも正直読んでいて盛り上がる所が少ないし退屈だった
35点ぐらい