あらすじ
ルイスは天にも昇る心地でいた。通信交際会に紹介されたジュリアという女性との手紙のやりとりが実り、彼は結婚することになったのだ。そして今日が、花嫁を乗せた船が着く日だった。だが、目指すジュリアの姿がない。狂ったように人ごみを探すルイスを待っていたのは、見も知らぬ、しかし、楚々たる美女だった! 限りなき転落へのワルツを予告するかのように……ムードとサスペンスの巨匠が悪女の美しさを描いた野心作。
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Posted by ブクログ
ウィリアム・アイリッシュ作品。 3作品目。
「その望みが達せられるなら、どんな運命でも、たとえそれがスペードのエースでも、甘んじて受けましょう」ルイスは祈る。破滅の合言葉です。
「あたし、いちかばちかってことをやる男が大好き」刹那に生きるギャンブラーの言葉が、加速させる。
ただなぜこうなってしまったのでしょうか? 何度読み直しても、破滅した理由が、よくわからなかった。
違和感があるとすれば、きっと金銭感覚。物語は、1880年に始まる。日本では、鹿鳴館ができた頃。具体的な金銭感覚は不明ですが、当時の$1は、現在の価値で考えると、1-2万円相当。(仮に1万円として)、ルイスがジュリアに持っていかれた金額は、5万ドル(5億円)。ルイスの全資産は10万ドルだから、その後、お金が無くなるエンディングまでに、同等の金額を使い切った換算。
ボニーが浪費癖があるとはいえ、逃避行のホテル暮らしとはいえ、豪華な家&家政婦とはいえ、にわかに信じられないお金の使い方としか思えません。えっと、5億円あれば……。私だったら、指輪や宝石を買っても、ドレスをオーダーしても、ホテルで食事をしても、とても、使い切れない。
破滅に向かう二人のコントラストが面白い。ギャンブラーと鴨・小心者。ただ、働き通しだったルイスも、ボニーとの逃避行は、希望こそ持てなく、単に浪費(お金と時間の)だけど、きっと、それまでの生き方よりも、幸せだったに違いない。だから、最後に、「あれ」を飲もうとしたのでしょう。
一方、ボニーについて、最後はなんかルイスとワルツを踊って、愛?いや同情?したような感じでしたが、最後まで、小悪女を貫いてこと、と思うのは、私だけ?