【感想・ネタバレ】海のレビュー

あらすじ

恋人の家を訪ねた青年が、海からの風が吹いて初めて鳴る〈鳴鱗琴(メイリンキン)〉について、一晩彼女の弟と語り合う表題作、言葉を失った少女と孤独なドアマンの交流を綴る「ひよこトラック」、思い出に題名をつけるという老人と観光ガイドの少年の話「ガイド」など、静謐で妖しくちょっと奇妙な七編。「今は失われてしまった何か」をずっと見続ける小川洋子の真髄。 ※新潮文庫に掲載の「著者インタビュー」は、電子版には収録しておりません。

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Posted by ブクログ

ネタバレ


不思議な雰囲気の話が続く。
特に気に入ったのは
「銀色のかぎ針」と「ガイド」

特にガイドの題名屋のおじいさん。
名もない出来事や思い出に名前をつけることで、そのことをより鮮明に覚えることができる。
楽しかったり切なかったり辛かったことも、知らない間に通り過ぎて過去になってしまうから。
覚えたいことには名前をつけると、綺麗に思い出の引き出しにしまっておけて、取り出したい時に取り出して浸ることができるんだろうなぁ。
ただの日常でもそれは振り返れば幸せな思い出なのかもしれない。わたしも日常から、幸せを見つけてたくさん覚えていたいな。 おじいさんと少年のやりとりにとても心が温かくなった。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〈備忘録・ネタバレあり〉
7つの作品をおさめた短編集

・海
婚約者とその家族の間になにかしらのわだかまりがあること、小さい弟(大人)が少し変わっていて純粋な心をもっていることは分かったが、何をどう読み解けば良いのか、物語の着地がわからなかった。小さい弟の愛くるしさは伝わった。

・風薫るウィーンの旅六日間
ありきたりなおばちゃん琴子さんが、病に伏すかつての恋人に会いにいくのに、たまたまホテル同室だった主人公が付き添うはめになる。連日通った末に元恋人は亡くなるが、実は人違いで隣のベッドだったというオチ。ただただそういう話でしかない。琴子さんの可愛らしい描写には引き込まれる(図々しいが)。
たったいっときのお付き合いをした人が、死に際に自分と会いたいと思ってくれたら、戸惑うがちょっとうれしいだろうな。

・バタフライ和文タイプ事務所
糜の活字が欠け、活字管理人の存在を知る。次に睾の活字が欠け、言葉を交わすうちに活字管理人のことが頭から離れなくなる。ついに膣の活字を自ら傷つけ、壊れたと見せかけて活字管理人のもとへ。自分で壊したとバレるのでは?と怯えつつ、彼の手つきや声を聞きながら悦に浸る、、、という、逆セクハラと純粋が表裏一体な話。

・銀色のかぎ針
祖母の十三回忌へ向かう旅路で編み物をする老婦人の姿を見かけ、編み物が得意だった祖母との懐かしい思い出を回想する。そういうことあるよね。めちゃ短い話。

・缶入りドロップ
バスだけを40年運転してきた男、この5年は幼稚園バスを運転している。同じ味のドロップだけを集めた缶を所々に潜ませ、園児たちの心を掴む、優しい日常の話。これもめちゃ短い。

・ひよこトラック
40年ホテルのドアマンをしている孤独で不器用な男と、下宿先の口を利かない少女の会話のない交流。男も喋らないのは、対等でない気がするから…というように、二人が互いを思いあい、絆ができていく様子は微笑ましいしちょっと泣ける。あるきっかけにより少女が言葉を発し、それを聞いた男は「かけがえのない贈り物だ」と感じる。それだけの話なんだけど、この不器用で純朴な男がそう感じたんだな、と思うと泣けてくる。男の描写が秀逸。

・ガイド
題名屋の老人と僕が出会い、トラブルを解決した僕へお礼に題名をくれる。『思い出を持たない人間はいない』。物語としてはふーん…だけど、老人の動作所作の描写が丁寧で、人となりが伝わってくる。そこが素敵だった。

総じて、よく分からないけどなんか優しい…という印象の一冊だった。人柄が伝わる描写は全編素晴らしい。

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2026年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ありふれた日常の、ありそうでない1ページ。
でも読んでいると不思議と心地良かったです。

海:鳴琴鱗という楽器の音を私も聴いて見たいと思った。後半は弟との掛け合いが中心で、家族を"落ちたピーナッツのよう"に表現しているのかなと感じました。

風薫るウィーンの旅六日間:小川先生の作品では少しコメディ寄りなのかなあと感じました。
誰もが老いのマントを─という表現がすごく良かったです。実際、古い恋人の見分けもつかなくなるほどに皆が同じような見た目になっていたんだろうなと想像できました。
遠いところからはるばる旅した琴子の気持ちと、昔の恋が、一緒に枯れて灰になったなと、重ねて読んでしまいました。

バタフライ和文タイプ事務所:やはり良い意味でおかしい。小川先生の作品はこうだよな!?という作品でした。どうやったらこんなに文字を、鉛を、官能的に書けるんだろうと思いました。

小川先生の書く文章は読みやすくて、でも少し妖艶な感じがして、上手くまとまらないけどそれがすごく好きです。

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2026年01月11日

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