あらすじ
世界が終わるなら、誰に想いを伝えますか?
いまさらながらに、みんなようやく気付いたのかもしれない――もとより、ぼくらに残された時間なんてそんなになかったってことに。
突然、世界は鉛色の厚い雲に覆われた。
雲間から差す青い光が注がれた町は、ひとも獣も、鳥も木も、土も水も、すべてが動きを止めてしまう。誰にも理由はわからない。あっという間に世界は冷えて、どこもかしこもが冬のようになった。
そして凍った町は少しずつ成長していた。
「ぼく」は「彼女」に会いに行くと約束した。最後に電話で話したとき、彼女はとてもおびえていた。
「もう、町には誰もいないの。」ぼくは、ならば「ぼくがそこに行くよ。そうすればもう怖くないよね?」と言った。
これを最後に電話はまったく通じなくなった。むしろこのとき繋がったことのほうが奇跡に近かったのかもしれない。
彼女の住む町まで直線距離で500キロ。
青い光を逃れ、ぼくは彼女に会うことができるだろうか。
彼女はそれまで、青い光に染まらずにいられるだろうか。
『いま、会いにゆきます』『恋愛寫眞 もうひとつの物語』『そのときは彼によろしく』と、ベストセラーを連発した著者による、3.11以降究極のラブストーリー。
恋人、家族、友人など、たくさんの愛が描かれた最高の愛の物語です。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
4-5回目かな積読
自分史上読んでる回数トップレベル
読みたくなる本
今回は終活目的でもうこれで破棄しようと思って手に取ったわけだけど
捨てない…
なんだろうな
気持ちが鎮まる本で
波打つ本で
凪で終わる
こうありたい…と思う気持ちにもなるし
こうは生きられないという絶対的な確信と
こういう風に生きてこなかったという後悔とか
でもこの生き方やこの世界の終わりかたに
憧れを感じてしまう
そして今日からちょっと大切にしていこうと思うものが見つけられる感じ
誰もが探しているのに見つけられなくてぐるぐる自分の周りを回り続けてでも全然見つからないっていうものに出会えた感じ
それとテキスト以外表現のしようがないと思えるような心の描写や風景の描写から得られる心地よさみたいなものをすっごく感じられて
この「本」に出会えて良かったと思わされるんだから…すごいわー
フレーズ
大きくなりすぎた欲望は、きっとお腹に溜まったガスみたいに、すごくつらいものなんだろう
フレーズ
持たざる者の余裕
フレーズ
けれど、ぼくは望んでしまった。彼女のためになにかをしてあげたい。そう思ったとたん、ぼくは「欠けている」人間になった。
Posted by ブクログ
世界は確かに終わりに向かってるのに、感じるのは人の優しさ、愛情だけで、とても澄んだきれいなお話。
「人生が一冊の本だとしたら、できることならそのすべてを愛の言葉で埋めてしまいたい。」
という文中の言葉が大好きです。
Posted by ブクログ
世界に降り注ぐ青い光。その光に照らされた者はそのまま固まり動かなくなる。青い光はどんどん広がり、世界はゆっくりと終わっていく。世界が終わる前に君に会いたい、その思いで旅に出る優。旅先で会うたくさんの人たちの優しさと彼らの終わり。市川拓司作品特有の、不器用で世界と馴染めない男性と、彼を理解する素晴らしい女性との純愛、そして主人公を暖かく見守る優しいお父さんに涙が出た。
Posted by ブクログ
解説にある、にごりのない小説、まさにその通り。
終末ものなのに、悪い人は誰ひとりいない。皆が優しくって、優しい気持ちのまま凍りついている。
吉沢優くんと白河雪乃さんの見てるのがもどかしい愛。優くんのお父さんとお母さんの愛。親子の愛。
少しだけ希望の持てる終わり方をしてくれて良かった。
Posted by ブクログ
p.256
けれど、ぼくは望んでしまった。彼女のためになにかをしてあげたい。そう思ったとたん、ぼくは「欠けている」人間になった。なにかを求めると、ひとは完全ではいられなくなる。求めるとは、つまりはそういうことだから。
自分の中のなにかを壊し、その窪みに相手が差し出すものをそっと嵌め込んでみる。そうやってぼくらは新しい存在になっていく。ぼくでもなく、きみでもなく、ぼくらという新しいユニットの一部分に。
人と関わり、関係性の構築で僕が一番大事にしている対象理解と自己洞察は他者への愛と自分への愛の葛藤と共存で育まれるんだなーと思いました。
自分を壊し、窪みに他者を嵌め込むという表現には鳥肌を感じました。
また、時間をあけて再読するとあらたな発見があるんじゃないかなーと感じずにはいられません。
Posted by ブクログ
文章も登場人物も内容も情景も全てが純粋。
とにかくきれい、清い、美しい
ゆったりとしていて中盤中だるみしてしまった
世界の終わりを描いてるのに暗くない、
ただただ切ない、そして美しい
Posted by ブクログ
ピュアなピュアな純愛小説。
設定はとりあえずSF的である。
地上に青い光が降りそそぎ、ありとあらゆる物は動きを止めてしまう。
主人公はその光を浴びる前に、離れ離れになっている女性に会いに行く物語。
中学生の時の出会いから始まり、引越しで離れ離れになり、一時の再開があり、そしてまた別れ、この世界の終わりの前に主人公は彼女に会いに行く。
単純な話だが、物語にぐいぐい引き込まれていった。