【感想・ネタバレ】肉体の悪魔のレビュー

あらすじ

第一次大戦のさなか、戦争のため放縦と無力におちいった少年と人妻との恋愛悲劇を、ダイヤモンドのように硬質で陰翳深い文体によって描く。ほかに、ラディゲ独特のエスプリが遺憾なく発揮された戯曲『ペリカン家の人々』、コント『ドニーズ』を収める。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の少年は裕福かつ教育熱心な家庭で育ってきて言葉も早熟だから主体的に愛人・マルトを懐柔しているかのように表現がされているけど、実態はマルトが主人公からの自分への情熱をよく理解していて支配欲を満たさせているかのように見せながら思いのままに操縦しているのかと思った。
欲求不満と言うよりも承認欲求を満たしているかのような。

マルトが戦地に赴いている夫に手紙をしたためている場面は特に顕著。本心じゃ無い言葉は書きたくないと言いながらも主人公に言われるがままに夫への愛の言葉を連ねていくけど、気持ちの揺らぎを見せることで悲劇の妻を演じているのではという印象だったし。たぶん後ろめたいなんて思っていない。

終盤、主人公の子を妊娠したけど時期的に夫の子かもしれないなんて言い出す始末だし結論は分からないまま文字通り墓場まで持って行ってしまうし。

主人公は大人びた思考をしているようでやっぱり中身は年相応に子供なのには違いなかった。思春期特有の拗らせ。都合が悪くなれば大人に押し付けちゃえってところとか。

そんな子供を自らの思うままにコントロールして夫の不在で出来た隙間を埋めていくのは悪魔じゃなきゃ出来ない。既に周囲には少年との関係が知れ渡っていても夫に対しては従順な妻でいることを貫いて見せるグロテスクさ。

だから『肉体の悪魔』なのだと。

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2026年03月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「良心や倫理、道徳観念などは無いのか?」と不思議に思いながら読んでいた。だがフランスの歴史的に愛人的な存在がいることは普通なのかもしれない。主人公は計算も働くし自分が一番かわいいので、マルトのこともこの人なりに愛してはいたものの、常に自分を守る方向に自然と動いてしまうのかなと思った。自分に都合よく物事を考え、弁明し、自分が優越性を感じる相手に対しては高圧的な態度を取る感じか。ここまでやばいレベルでなくても、このようなキャラは実在するだろうなと思った。最後の終わり方はうまいと思った。余韻がある。

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2026年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

友人に勧められて読んだ本。
恋愛の心理描写のある本を読みたくて。
全体の8割が内観的な文章なのに、
しつこさを感じさせないラディケの文才に驚く。
だらだらとなりがちな物語を、若くして書いたとは信じられない、人生を達観したラディケの一文が引き締める。そういう箇所が随所にあって、いちいち唸ってしまった。
恋愛の感情の波をよく表現していると感心しつつも、あんなに情熱的になれるなんてタフだなと若干の尊敬がわく。まあ主人公にとっては、本当の初恋なので、その情熱に納得しつつ。
後半は、この先どうなるのかとハラハラしつつ読み進めた。
ラストが切なくて複雑な余韻を残す。
フランス映画的な「人生なんてそんなもの」な終わり方だった。ビターだわ。

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2015年12月27日

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