あらすじ
生からの一瞬の暗転として確固たる死を想え。不測の事態で流動する恥多き人生のただ中でこそ。時間を自在に往き来しながら、時に幻想的に、あるいは軽妙なユーモアのうちに、切実な記憶の数々を有機的につなぎ、やがて生命の喜ばしき光に到る……。泥沼のスランプを脱した著者10年ぶりの復活を証して、異彩を放つ長篇小説。
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Posted by ブクログ
私が中学生の頃、姉がこの人の本面白いよと貸してくれたのをきっかけに原田さんの作品を読み始めました。エッセイで腹を抱えて笑ったり、不思議な世界観の虜になったり。原田さんの作品が大好きでした。しかし、今回この作品で正直、かなり引いてしまいました。クスリ、女性関係等。けれども、なぜか読み進めてしまいました。多分彼の書く文が好きだからだと思います。
読後は、何となく筆者の抱えるどうすることもできない冷たい泥のようなものが読者の自分にも流れ込んできたように感じました。
余談ですが、途中、夫婦喧嘩の場面で“犬より上と思って生きてるつもりはないけれど、犬以下と言われると云々…”のところで笑ってしまいました。
メメント・モリ
約10年ぶりの著作。
私小説になるのか、あるいは私小説とエッセイの中間になるのか。
数頁から数十頁のパラグラフの積み重ねになっていて、パラグラフ間の内容は直接にはリンクされていない。
虚実入り混じっているのだろうが、どこが虚でどこが実なのか、簡単に想像できる箇所もあるが、それが当たっているかは著者のみぞ知る、といったところだろう。
メメント・モリなので、死の匂いが全体を占めているのだが、最後は幼い生で閉じられている。
それにしても、あまりにも無防備に赤裸々に自身の体験を語っている。
鬱、自殺未遂、クスリ、女性問題、逮捕、等々。
通常であれば、非常に重苦しい内容になってもおかしくないのだが、この人のエッセイのように妙に軽いタッチで書かれているため、スススと読めてしまう。
スススと読めてしまうのだが、読み終った後の倦怠感はかなり重かった。
口当たりのよいお酒をグググと調子に乗ってたらふくと飲んでしまったが、実はとてもアルコール度数が高いお酒で、思った以上に悪酔いしてしまった、みたいな感じだろうか。
軽い感じに見えるのだけれど、実は物凄く密度の濃い重たい作品だな、と思う。
久しぶりに一度も休むことなく、159頁、一気に読み終えてしまった。
引用...
頭大丈夫か?
夢物語