あらすじ
生からの一瞬の暗転として確固たる死を想え。不測の事態で流動する恥多き人生のただ中でこそ。時間を自在に往き来しながら、時に幻想的に、あるいは軽妙なユーモアのうちに、切実な記憶の数々を有機的につなぎ、やがて生命の喜ばしき光に到る……。泥沼のスランプを脱した著者10年ぶりの復活を証して、異彩を放つ長篇小説。
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Posted by ブクログ
約10年ぶりの著作。
私小説になるのか、あるいは私小説とエッセイの中間になるのか。
数頁から数十頁のパラグラフの積み重ねになっていて、パラグラフ間の内容は直接にはリンクされていない。
虚実入り混じっているのだろうが、どこが虚でどこが実なのか、簡単に想像できる箇所もあるが、それが当たっているかは著者のみぞ知る、といったところだろう。
メメント・モリなので、死の匂いが全体を占めているのだが、最後は幼い生で閉じられている。
それにしても、あまりにも無防備に赤裸々に自身の体験を語っている。
鬱、自殺未遂、クスリ、女性問題、逮捕、等々。
通常であれば、非常に重苦しい内容になってもおかしくないのだが、この人のエッセイのように妙に軽いタッチで書かれているため、スススと読めてしまう。
スススと読めてしまうのだが、読み終った後の倦怠感はかなり重かった。
口当たりのよいお酒をグググと調子に乗ってたらふくと飲んでしまったが、実はとてもアルコール度数が高いお酒で、思った以上に悪酔いしてしまった、みたいな感じだろうか。
軽い感じに見えるのだけれど、実は物凄く密度の濃い重たい作品だな、と思う。
久しぶりに一度も休むことなく、159頁、一気に読み終えてしまった。
Posted by ブクログ
私小説。情景や著者の心理が丁寧に描かれた作品。
こう書くと著者の身の回りで起きた事をただ書いただけに見えるが、実際のところまったくそうではなく、一つ一つの場面が、あたかも読者自身が実際に見たかのように頭の中に鮮やかに映し出される。
細かな状況描写は時に冗長な物になるが、この作品には無駄な言葉が一つとしてない。
著者の、特に短篇小説に顕著に見られたその筆力、それに再び出会えた事にただただ感謝をせずにはいられない。
Posted by ブクログ
うう、辛い…。書いてる過程も、どんどん飛んで行く話題も、当然病気の話もとてもよくわかるので身につまされつつ、それでもばっと読み終えてしまいました。
彼がいつかまた美しいお話をかけるよう、願ってやみません。
Posted by ブクログ
ノンフィクション?フィクション?・・・どっちにしても笑えないんだけど~w
そして、回想があっちへいったり、こっちへいったり・・・なんだか夢か現かという感じの不思議さです。
昔、大好きでよく読んだんだよね~。
もう、買い漁ってた感じ。
鬱病で書けなくなったのは知ってたけど、自殺未遂までしてたとは。。。
おまけに、麻薬で逮捕でしょ。しかも不倫までしてたとは。
そりゃ、家庭も崩壊するわなぁ・・・。(してはいないみたいだけど)
楽しみに読みだしたものの、最初のうちは、むーん・・・ダイジョブか、ハラダさん?という感じで危ぶむ。
で、行きつ戻りつみたいな不思議な雰囲気にハマり・・・ラストがよかったんですよ、これが。
なので、また久しぶりに愛するハラダさんの作品を読めて嬉しく思った次第です、はい。(●’ᴗ’●)ノ
次も楽しみにしてるからね。また書いてね。ハラダさん♪
Posted by ブクログ
メメント•モリ=死を想え
なるほど。筆者の壮絶な(?)生き方から必然に出てくる言葉であろうか。
長編小説と言われながら実は身近にいた怪しい人間達の短編小説ではないかと想う。もちろん本人も含む(笑)
ドラッグの場面ではタイムリーに某清原選手を思い浮かべる。川端康成もヤク中で自殺したのは本当なのか。色々興味深い話で一杯な素敵な私小説。
Posted by ブクログ
大学生の頃、原田宗典の本を読みまくっていました。
いつからか、著者の新しい本を見かけなくなり、ただ他にも好きな作家さんはたくさんいたし、他の本もたくさん読んでいたので、あまり気にもしないまま時が流れ、わりと最近、著者の身に起こっていた病気や逮捕の状況を知って、驚いていたところでした。
そして、ものすごく久しぶりに出たこの新刊の存在を知りました。
長編小説となっていますが、私小説という感じ。
順序だったストーリー性のあるエンターテイメントという感じではなく、例えるなら、夜眠れない時になんとなく昔の出来事を、時系列バラバラで思い出すままに思い出して振り返っている時のような、そんな感覚。
そしてやっぱり、私はこの著者が好きなんだなと改めて思います。
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「死を想え」死に関する話かと思って手に取るが、薬で死ぬことが近い状態にいる人々の話。実際に著者は薬で捕まっているからまあフィクションに近い話なんだろうね。
生々しいジャンキーの話が読めた事
傭兵のリアルな話が読めた事
は良い体験だった。
本著者の本を読んだことあったと思ったが、booklogには無かったな、なんで本著者の事知っていたんだろうかな?原田マハの兄と言うことはビックリ。
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久々に読んだ。
「スメル男」からの数々のエッセイでお腹が痛くなるくらい笑わせてもらってから数十年?
その間何があったのか、正直あまり興味もなかったので知らずにいた。
まぁ、いろいろあったんだね…。
小説というジャンルだが、エッセイなの?とも。
不思議な作品だった。
原田さんらしい、ユーモラスな表現も散りばめられ、やはり好きだな〜と思った。
ちゃんとした(という言い方もおかしいか)小説を書いて欲しいな、と。
もしくはまた大笑い出来るエッセイ。
期待してます。
Posted by ブクログ
私が中学生の頃、姉がこの人の本面白いよと貸してくれたのをきっかけに原田さんの作品を読み始めました。エッセイで腹を抱えて笑ったり、不思議な世界観の虜になったり。原田さんの作品が大好きでした。しかし、今回この作品で正直、かなり引いてしまいました。クスリ、女性関係等。けれども、なぜか読み進めてしまいました。多分彼の書く文が好きだからだと思います。
読後は、何となく筆者の抱えるどうすることもできない冷たい泥のようなものが読者の自分にも流れ込んできたように感じました。
余談ですが、途中、夫婦喧嘩の場面で“犬より上と思って生きてるつもりはないけれど、犬以下と言われると云々…”のところで笑ってしまいました。
Posted by ブクログ
原田宗典さんのエッセイ大好きだった。寝る前に読んでいたら、面白くて大笑いしてしまって、母親が「どうしたの⁉︎」って部屋に入ってきたことがあったなあ。短編も長編も好きで、私の本棚には原田宗典コーナーがあった、懐かしい。
久しぶりに原田作品を読んだら、なんと、たいへんなことがあったのですね…まさかの体験をたくさんしたのですね。ご病気のことも知らなかったです。どうか、お元気でいてほしい。
やっぱり文章がものすごく上手で、ぐいぐい読ませる引力がある。気がします。短い文がうまいというか、すとんとはまる。久しぶりに『スバラ式世界』読み返したいな。
Posted by ブクログ
不覚にも、原田宗典が復活していると知らなかった。
原田宗典は、小説もエッセイもよく読んだ。
本棚には原田宗典の本がたくさん並んでいる。
クスリで捕まったのをニュースで見た。
鬱で苦しんでいたとも報じられていた。
だから「もう、読めないんだな」と思っていた。
たまたま、小説誌の新聞広告で見つけた「原田宗典」の文字。
「えっ、復活してるの?」
ネットで検索したら出てきた『メメント・モリ』。
すぐに読んだ。
私小説なのだろう。
潜っている間の原田宗典のことを描いているようだ。
フラッシュバックのように次々と場面が変わる。
重く、暗い話が多いのだが、
原田宗典らしい軽妙な筆致も健在。
思わずニヤリとする。
なんか、うれしかった。
次作も読みます。
Posted by ブクログ
原田宗典と言えば、軽妙な文章で抱腹絶倒のイメージ。それが久々の小説で、タイトルが『メメント・モリ』とくればやはり気になる。人の生死について、虚実とりまぜて語られた本書。死んでいてもおかしくなかった。だけど、生きていてこれからも書いてくれる。それが確認できてよかった。
Posted by ブクログ
心許ない気持ちになって、だんだん不安になっていく。いつ、すとんっと落ちてしまうかわからないようで。死を想うことから始まり、幼子の健やかさで終わることに、再生を期待させる。
メメント・モリ
約10年ぶりの著作。
私小説になるのか、あるいは私小説とエッセイの中間になるのか。
数頁から数十頁のパラグラフの積み重ねになっていて、パラグラフ間の内容は直接にはリンクされていない。
虚実入り混じっているのだろうが、どこが虚でどこが実なのか、簡単に想像できる箇所もあるが、それが当たっているかは著者のみぞ知る、といったところだろう。
メメント・モリなので、死の匂いが全体を占めているのだが、最後は幼い生で閉じられている。
それにしても、あまりにも無防備に赤裸々に自身の体験を語っている。
鬱、自殺未遂、クスリ、女性問題、逮捕、等々。
通常であれば、非常に重苦しい内容になってもおかしくないのだが、この人のエッセイのように妙に軽いタッチで書かれているため、スススと読めてしまう。
スススと読めてしまうのだが、読み終った後の倦怠感はかなり重かった。
口当たりのよいお酒をグググと調子に乗ってたらふくと飲んでしまったが、実はとてもアルコール度数が高いお酒で、思った以上に悪酔いしてしまった、みたいな感じだろうか。
軽い感じに見えるのだけれど、実は物凄く密度の濃い重たい作品だな、と思う。
久しぶりに一度も休むことなく、159頁、一気に読み終えてしまった。
引用...
頭大丈夫か?
夢物語