あらすじ
極端な自意識過剰から一般社会との関係を絶ち、地下の小世界に閉じこもった小官吏の独白を通して、理性による社会改造の可能性を否定し、人間の本性は非合理的なものであることを主張する。人間の行動と無為を規定する黒い実存の流れを見つめた本書は、初期の人道主義的作品から後期の大作群への転換点をなし、ジッドによって「ドストエフスキーの全作品を解く鍵」と評された。
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「苦悩こそ、まさしく自意識の第一原因にほかならないのだ。」
主人公の自意識ゆえの苦悩・思想が語られる前半と主人公が過去に経験した3つの出来事が明かされる後半という2部構成になっている本作は、社会と関係を絶ち、自ら地下に閉じこもった、小官吏である主人公の独白を通して、人間の本質に迫る。
「意地悪にも、お人好しにも、卑劣漢にも、正直者にも、英雄にも、虫けらにも。」
何者にもなれなかった主人公は、極端な自意識という地下室から出ることはできないのでしょう。もはや出ようともしないのかもしれません。ここまで緻密に、克明に、自意識に向き合った作品はないのではないでしょうか。
肥大化する自意識に苦しむ現代人にこそ読んでいただきたい、文豪ドストエフスキーの傑作です。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
繰り返される自己ツッコミのため、もう誰の話をしてるのか本人もわからなくなってしまってる自意識過剰な長台詞に笑う。
ぶつかりおじさんとしても登場する。彼らの心情ってこんな感じなのだろうか。
旧友との食事会で嫌われるようなことばかりして、最後は友人からその場に居ないものとして無視された挙句、仲直りしたくて気づいてもらおうと店の中を閉店まで行ったり来たりしてる健気な一面も。だったらそんなこと最初からしなければいいのに、そういうわけにもいかない性分らしい。
癖はあるので好き嫌いは分かれそう。
Posted by ブクログ
ネガティブな人はきっと好きだと思う
でも、社会不適合者じゃない大多数の人にこそ読んで欲しい
安っぽい幸福と高められた苦悩と、どっちがいいか?
ぼくらは死産児だ
のところ、僕もずっとそんなことを考えていたんだ!って泣きそうになった。
ずっと考えてた人に言えないモヤモヤを言い当ててくれたみたいな清々しい気持ち
ありがとう
Posted by ブクログ
主人公は無職の中年男性で、かつては役人として勤めた。現在、彼は一般社会とは交わらず、地下に籠った生活を送る。しかも彼は自意識過剰なため、周囲に対して斜に構えた見方をしており、年齢の割に痛い。このように、本作は彼の言動を追い、人間の実存について迫る。
Posted by ブクログ
自分を受け入れてほしい崇拝してほしいという気持ちをもうやめてくれと思うくらい爆発させる。そうでない自分を受け入れる事がどうしてもできない。見ててやめた方がいいのにと思っていると鬱屈した思いは弱者へ向けられる。自分も若いころよく知りもしない男性からこんな態度をとられたことがあるような気が。。嫌な男だと読んでいたら最後の言葉で自分を振り返る事になった。
いつかまた時間がたったら読み直したいと思った。ドフトエフスキーは面白い。