あらすじ
偉大なる詩人であり作家であると同時に、最も人間的な魅力にあふれたゲーテは、無限に豊富な知と愛の言葉の宝庫を残している。彼の言葉がしばしば引用されるのも、そこには永久に新鮮な感性と深い知性と豊かな愛情とが、体験に裏づけられて溶けこんでいるからである。本書は、彼の全著作の中からと、警句、格言として独立に書かれたものの中から読者に親しみやすいものを収録した。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
心の成長
一部ご紹介します。
・常に良い目的を見失わずに努力を続ける限り、最後には必ず救われる
・歴史を書くのは、過去を脱却する一つの方法である。われわれが歴史から得るところの最上のものは、それが引き起こす感激である。
三千年の歴史から学ぶことを知らぬ者は、知ることも無く、闇の中にいよ、その日その日を生きるとも。
・人間は現在がすこぶる価値のあることを知らない。ただ、なんとなく未来のよりよい日を願望し、いたずらに過去と連れ立って嬌態を演じている。
・われわれは愛から生まれてきた。われわれは愛無くして生きることはできない。われわれは愛によって自己に打ち克つ。われわれは愛によって愛を見出し得る。苦しみに耐えることができるのは愛による。われわれを絶えず結びつけるのは愛である。
・沈んでは行くが、いつも同じ太陽だ。年を取ると、時折、死について考えずにはいられない。死を考えても、私は冷静でいられる。というのは、われわれの精神は全く破壊されない性質のものだということを、私は確信しているからである。それは永遠から永遠へ働きかけるものだ。まさに太陽に似ている。われわれの肉眼にだけは沈んでいくように見えるが、実際には決して没することはなく、絶えず輝き続けているのだ。
・われわれのところでは、唱歌が教養の第一段階である。他のすべてはこれに関連し、これによって仲介される。楽しみも教えも、信仰や道徳でさえも。あらゆる利益がこれと結びつく。歌詞を書かせたり、書かせた歌詞を発声させたりして、子供たちの目や耳や口を同時に発達させるようにする。そのため、彼らは普通考えられるよりも早く、正しく美しく書けるようになる。そして、こういうことは、正しい尺度と、きちんと決められた数にしたがって練習され習得されなければならないので、測量と計算の貴重なことを、他のどんな方法によるより早く理解する。それ故、われわれはあらゆるものの中で音楽を教育の基本に選んだ。音楽からあらゆる方面へなめらかな道が通じていると確信したからである。
・人間の持つものの中で、自分自身に基礎を置かぬ力ほど不安定で、儚いものはない
・どんなつまらない雑草でも花でも、懐かしい日記の一片となり得る。それは幸福な瞬間の思い出を呼び返すものは、一つとして無意識ではあり得ないからである。
Posted by ブクログ
ゲーテの格言についてまとめられた書。
とても深く、納得させられる言葉が多々ある。
・利己的でない好意的な行いが、最も美しい利子をもたらす
・生き生きした天分を恵まれながら、実際的な意図をもって手近なことを忘れぬ人は、この世の最もひいでた人である。
・誠実に君の時間を利用せよ!何かを理解しようと思ったら、遠くを探すな
・人間は現在を貴び生かすことを知らないから、よりよい未来にこがれたり、過去に媚びを送ったりする
・いや遠くさまよい出でんとするか。見よ。善きことはまこと近きにあり。幸福をとらえるすべを知れ、幸福は常に手ぢかにあれば。
・しっかり立って、身のまわりを見よ。有能なものに対して、この世界はだまってはいない。なんで永遠の中にさまよい出る必要があろう!自分の認識することは、手につかむことができる。
・新聞を読まなくなってから、私は心がのびのびし、ほんとに快い気持ちでいます。人々は他の人のすることばかり気にしていて、自分の手近の義務を忘れがちです。
・いかにして人は自分自身を知ることができるか。観察によってではなく、行為によってである。汝の義務をなさんと努めよ。そうすれば、自分の性能がすぐわかる。
・偉大なもの、美しいものを、進んで喜んで崇めることは、私の天性である。そして、この素質を非常にすぐれたものに接することによって、日々刻々養い育てて行くのは、あらゆる感情の中でこの上なく幸福なものである。
・自由に自分自身の幸福を鍛えることにより、この上なく美しい平和を一体なにがわれわれに与えるか。
・年をとればとるほど、人は活動しようと思うなら、一層自分を制限しなければなりません。気をつけないと、色々の縁のうすいことに気をとられて、ただ興味や批評を事として、精神と肉体の力を空しく雲散霧消させてしまいます。
・人間はその制約されない努力が自分に制限を定めないうちは幸福になれない。
・有能な人は常に学ぶ人である
・有能なものはまちがっていても、毎日毎日家から家へ働きを及ぼす。
有能なものが、ほんものであったら、あらゆる時代を超えて働きを及ぼす。
・気持ちよい生活を作ろうと思ったら、済んだことをくよくよせぬこと、滅多なことに腹を立てぬこと、いつも現在を楽しむこと、とりわけ、人を憎まぬこと、未来を神にまかせること。
・あせることは何の役にも立たない。後悔はなおさら役に立たない。前者はあやまちを増し、後者は新しい後悔を作る。
・
Posted by ブクログ
あんまり格言集とか読んだことがなかったんですが
たまにはと思い読んでみました。
途中まで…愛とか,人間性とか,宗教とか…あんまりピンと来なかったんですが…。
「うーん,確かに,いいこと言ってるんだろうな,でも琴線に触れるような感覚はないなー」と思いながら読み後半へ突入。
「人生について」「経験の教え」「人生の憂鬱」あたりに差し掛かったら,あれ,面白い!と思えてきました。
思うに,自分が抱えてる問題や悩みに近いことだったりすると,
ハッとさせられるんでしょうね。
格言集に実用性を求めるなら,ただダラダラと最初から最後まで読むよりも,悩んだときに自分の悩みに近い部分を読む,それがいいのかもしれません。
これから,繰り返し読む本になったらいいなーと思います。
いわゆる「哲学者」の本とは違い,説教臭くも無く,読みやすくて面白い本でした。