あらすじ
“近代世界を一つの巨大な生き物のように考え、近代の世界史をそうした有機体の展開過程としてとらえる見方”、それが「世界システム論」にほかならない。この見方によって、現代世界がどのような構造をもって成立したかが浮き彫りとなる。すなわち、大航海時代から始まるヨーロッパの中核性、南北問題、ヘゲモニー国家の変遷など、近代のさまざまな特徴は、世界システム内の相互影響を分析することで、はじめてその実相を露わにするのだ。同時にそれは、歴史を「国」単位で見ることからわれわれを解放する。第一人者が豊富なトピックとともに説く、知的興趣あふれる講義。
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Posted by ブクログ
世界の歴史を特定の国に注視するのではなく、世界を有機的に結びつけられたシステムとして考える本書。
ある地域で発生した事象をきっかけにそれが他の地域に影響を及ぼしていく様を追いかける。
まず、はじめの問いかけがなぜこの世界には現在に至るまで地域間の格差が生じているのか?という点から始まり、世界の中心がヨーロッパになったのはなぜなのかを深掘りしていく。
以下、個人的あらまし。
①15世紀くらいまではどこも似たり寄ったりの封建的国家であり、小領主が農民を武力で支配していた。
②技術の発展(火薬や武器)に伴い、農民の不満を小領主では抑えられなくなり、「国家」に頼るようになる。こうして国家が成立し始める。
③度重なる戦争や黒死病により人口激減したヨーロッパでは従来の封建国家では成り立たなくなってくる。よって新たな収入源を求めて海外へ飛び出す
ちなみにこのときの中国は欧州と同等か進んでいたが、単一国家であったために、他国との競争にさらされず、武力の増強、外への進出が遅れた。
④まずいち早く動いたのはイスラムから領土を回復し、海に面していたスペイン・ポルトガルであった。これらの国々はラテンアメリカを蹂躙し、アジアに進出した。
また、進出先で生産品を作るためにアフリカから奴隷を「輸入」した。
⑤南欧国家に続いて、イギリス、フランス、オランダも海外貿易に参入したが、やがて世界で新たに開拓できる地域が無くなり、発展が進みにくくなる。
⑥その中で頭角を表してきたのが、漁業と林業といった「生産力」に秀でたオランダであった。オランダはその優れた生産競争力を発揮し、覇権を握るようになる
⑦しかし覇権国家では賃金上昇により競争力は低下する。その隙を突いたのがイギリスであり、海外貿易により収益を伸ばしていく。
特に紅茶と砂糖の生産は著しく、これらの輸入を機にコーヒーハウスが作られ、情報集積の中心となっていく。
⑧やがてイギリスの競争力が上がり都市化が進むに連れて、「産業革命」が、起こりイギリスの地位が安定的に覇権国家となる。
⑨しかし貿易の保護主義的側面に