【感想・ネタバレ】天然理科少年のレビュー

あらすじ

「ぼくたちは、ずっと友だちだったんだよ」

放浪癖のある父に連れられ、転居を繰り返す岬。山の中学校で出逢った賢彦との3日間の邂逅と別離。時空を超える、みずみずしい物語

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Posted by ブクログ

ネタバレ

すごくいいはなしだった。
タイトルや表紙の球体関節人形から、初期の自動人形とかが出てくるファンタジーを想像して読んだら、全然違った。

放浪癖のある父と共に色々なところを転々とする主人公。
目立たないよう、疎まれないよう、周りを観察して、上手く立ち回る術が身についている。
他人と深く関わることをしない岬が、あるとき訪れた山あいの町の古ぼけた学校で、気になるふたりの少年に出会う。
他の作品だと、書き方がちょっと卑屈すぎたり、自意識過剰だったりで読みづらいときがあるんだけど、今回はさらりとしていて読みやすく、美しい文章だった。

最後の、手紙からの流れがぐっとくる。手紙がはさんである本って最強アイテムだな…
そしてお父さんがとにかくかっこいい。大人のお父さんも、少年のお父さんも素敵。

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2019年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

独特の雰囲気が素敵な長野まゆみさんの作品。

要所要所のふしぎな感覚、父と息子の会話、賢彦と北浦、あの笛の音。いろいろなパーツが組み合わさって、ものすごくやわらかな、きれいな作品になったと思う。


なによりところどころの写真と詩と説明が美しいと思えた。

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2012年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

放浪癖のある父親のせいで転校を繰り返す岬。引っ越してきた山間の町で、小柄な少年賢彦に出会う。賢彦は二年前幻の湖で神隠しに遭い、二年前と変わらぬ姿で戻ってきたとか。そのせいでクラスで浮いてしまっていた。


まず、表紙のお人形さんの眸に惹きつけられて、表紙買いしました。美少年さんです。
長野まゆみさんの描かれる少年はきっと、岬も賢彦も透明感のある少年なのでしょう。

鬼胡桃の印鑑、檸檬水の空き瓶を溶かして作った笛……
古い机の中とかに入っているのを見つけたくなるような小物がいちいち可愛いです。

父親の過去の友人と、息子である岬が邂逅します。
短い時間でも、もう会えなくても岬は賢彦と友人になり、そしてすべて霧の向こうに消えていく。父親にとっても、岬にとっても心に残った気持ちは、ふとした時、振り返りたくなるようなものだと思います。決して忘れない淡い思い出です。

最後に消えてしまった街のように、幻想的な雰囲気の小説でした。

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2015年05月25日

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