【感想・ネタバレ】雲の墓標のレビュー

あらすじ

太平洋戦争末期、南方諸島の日本軍が次々に玉砕し、本土決戦が叫ばれていた頃、海軍予備学生たちは特攻隊員として、空や海の果てに消えていった……。一特攻学徒兵吉野次郎の日記の形をとり、大空に散った彼ら若人たちの、生への執着と死の恐怖に身をもだえる真実の姿を描く。観念的イデオロギー的な従来の戦争小説にはのぞむことのできなかったリアリティを持つ問題作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最近読んだのに記録がない。フォルダーの整理をかねて探してみたら、見つかった。
昨年一昨年は疲れてメモする気力がなかったので、読みっぱなしの本が多い。記録しようとは思って書き始めても、書き終わってないものが10冊近くあった。これは途中まででも別のホルダーに入れておけばかすかに記憶は残るだろう。
分は未完もひどい状態なので削除した。再読して書くことがあるかどうか。
最近読んだ気がしていたのに、日付が昨年や一昨年になっている、日が過ぎるのは早い、まさに矢の如し。

「雲の墓標は昨年読んだ。紛れて無くなる前に載せておこう。




昭和31年4月 新潮社発行 
平成12年2月 69刷 新潮文庫



「永遠の0」を読んだので思い出して読んでみた。

若い頃に読んだときは、感傷的な読み方で、主人公の吉野が次第に死を肯定して特攻機に乗る、友人の藤倉は批判的でありながら、事故死をする。学府から離れた若い死に胸が詰まった記憶がある。

戦後も遠くなったといわれ、自由を謳歌できる世代が育っている今、読んでみるとまた違った感慨がある。

戦争の経過や、戦況は「永遠の0」でも少しは理解できるが、海軍予備学生は、兵学校卒には軽く見られ、命を兵器にする。

学生生活(学問)に心を残しながら、次第に感化されていく様子が痛ましい。

渦中にあればこのように、自ら命を捨てることを次第に肯定するようになるのだろう、一種のマインドコントロール状態で、敵機に向かって突っ込んで、命を捨て未来を絶つことも厭わなくなるのだろう。

こういった気持ちは、平和になった今やっと気づくものなのだろう。

人権・自由が保障されている今、放縦ともいえる生き方さえ許されている。
たまにこういう本を読むことで、改めて自分を考える時間を持つことになった。

薄い文庫だが、読むことで記憶も薄れ掛けた、戦争があった事実を振り返ってみる。
楽しみのための読書にも、こんな短い時間があってもいいと思った。

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2016年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

時間が経つにつれ、変化していく心情。
生きたい、生き残りたい、そして「死んでやるのだ」という心の動きの狭間で、どちらにしても痛みが残る悲しさ。

読み進めて、藤倉のくだりで鳥肌が立った。嘘だ、と言いたかった。彼の苦悩は現代の、戦後教育を受けた私たちにも分かるはずだ。

最後の方は喪失感が途方もなく大きくて、言葉にならない。どうやって生きていくのか、私には分からない。

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2014年02月24日

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