あらすじ
猫のダルシ―の視点で描く感動的な愛の物語。
「あのひとへの、あたしの愛。それから、あたしへの、あのひとの愛。あたしは、あたしたちが一緒に暮らした日々の思い出を、あのひとの胸のなかにちゃんと蒔いておいた。あたしがいなくなったあともその思い出があのひとを、なぐさめてくれるようにね。
けっきょくのところ、もんだいなのは愛ということ……。」(本文より)
「あたし」と「あたしの人間」の、出会いから「あたし」の死までの17年にわたる濃密な時間を、あくまで猫の視点で――けっして擬人化することなく――描いた稀有な物語。原著の素晴らしいイラストレーションも完全収録。江國香織のしなやかな日本語で送る猫本の傑作、待望の文庫化版を電子化!
以下のような「訳者あとがき」がこの本の魅力を語りつくしている。
「こんなにストレートな愛の物語を読んだのはひさしぶりでした。ストレートで、強く、正確で、濃密な、愛の物語。/もし誰かをほんとうに愛する気なら、ダルシ―のように生きる以外にないのではないか……」
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Posted by ブクログ
利発でハチワレの美しい猫、ダルシー。
子猫だった彼女と彼女を見初めた女性との17年と4ヶ月にわたる暮らしが猫の目線で語られる。
年月の中でダルシーの愛は波のようにかたちを変えながらも痛いほどまっすぐにただひとりの人間に注がれ続ける…
江國さんの美しい訳にも注目。
これは久しぶりに心ゆさぶられる本に出会ったという感じ。表紙だけで「この本は買おう」と思った。
猫らしく、プライドが高くて高飛車なダルシー。
でもいつでも「あたしの人間」に向かう愛情は切ないほどまっすぐで健気で…痛いほどだ。思い出すと胸がぎゅっとなる。
愛しくて懐かしい大好きな人を思い出す時の気持ち.…。
子供が母親を求めるような愛でもあり、恋のようでもあり。言いあらわせないけど、感じたことのある、見覚えのある感覚だ。
一番最初の文章、泣くよ。
出会えてよかった作品。
Posted by ブクログ
ダルシーの目から見た、「あたしの人間」との一生の物語。
ケガ・死産・嫉妬・病気、いろんな事を一緒に乗り越えてきた二人。
ダルシーを置いて長期旅行をしたり、
度重なる引っ越しをしたり、
相性も見ずに子猫を貰ったり、
ましてダルシーより後から来た猫を可愛がるとは・・・・。
100点とは言い難い飼い主を、ここまで愛し、唯一無二の存在と思ってくれるダルシーの深い愛情に感動しました。
最後の時は、自身の愛猫との別れの時が思い出され、泣いてしまいました。
ただ・・・
他にも書いている方がいらっしゃいましたが、
私には安楽死というのはチョット理解が出来ないかと。
苦しませたくないという理由で安楽死を選ぶというのは、分からなくもないのですが・・・・
もうすでに、あそこまで苦しませているのですから、残された数日を過ごしてもよかったのではないか?と思います。
私は、いままで獣医に安楽死を進められた事が無いので、最後まで一緒だったからかも知れませんが。。。。
過去に見たテレビで、国によってペットを家族と考える人が多い地域や、ペットはあくまでペットと考える人が多い地域があるという事をやっていたので、安楽死に対する考え方も、違いがあるのかも知れませんネ。
「命ある者と、共に生きてゆく」という事が、どういう事なのかというのをダルシーが教えてくれているような気がします。