あらすじ
“脱北”―― 金正日政権の恐怖の暮らしから逃げた少女パク・ヨンミ。
いかなる危険を覚悟しても、自由を手にしようとした少女と、その家族の選択の物語。
13歳まで過ごした北朝鮮での地獄のような日々、そして北朝鮮から母親とともに鴨緑江を渡って中国に入った夜から、韓国に着いて新しい人生を歩みだすまでの2年間に自らが体験した、それまで彼女の母親しか知ることのなかった―過酷で悲惨な―想像を絶する出来事を、本書ではじめて語る。
世界15カ国で翻訳化。今、世界が最も注目する衝撃のノンフィクション、待望の邦訳がついに刊行。
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Posted by ブクログ
勝負球はパームボールさんの
ブックリストから興味本意で
読んでみました。
読後感、半端ないです。
どの内容も想像を絶し、胸に
突き刺さってきました。
著者が韓国に亡命した当初、
自由が残酷で大変で、飢えさえしなければ
北朝鮮にいたほうが良かったと思う箇所は
何か、違う意味で恐ろしさを感じます。
大学入学し、コスタリカでボランティアをすることで人を助け、思いやる事で、自分を思いやり、
自身の傷を癒えはじめたのは、はっとさせられました。
是非、多くの人に読んで欲しいと思います。
知るべき世界
元々は韓国人の友人がいる関係で韓国に興味を持ち、北朝鮮が少し身近に感じるようになった。
北朝鮮、2010年代前後の脱北、北朝鮮の内部事情は様々な告発で知ることが多い。
この国はいつ変わるのか。
そして2020年代の北朝鮮は今もなお変わることがないのか。
Posted by ブクログ
それは北朝鮮では通用
しない─
私が当たり前と思って
享受している権利は、
平和な社会に暮らして
いるという、
幸運の上に成り立って
いることがわかります。
そしてそのような幸運
に恵まれながら、
不幸を標榜している己
の無明よ。
その不幸はどれほどの
ものなのか?
日常のなかで私たちが
感じる不幸の多くは、
実にとるに足らぬもの
なのではないかと。
Posted by ブクログ
一つ一つ挙げることが出来ないほど、たくさん衝撃を受けた。実在する国が現代でもこんな生活を強いているなんて。
韓国に着いてからの彼女の意志と行動力は本当に立派で、同じ人間として尊敬した。
全てを話してくれた彼女に感謝している。
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"脱北"―― 金正日政権の恐怖の暮らしから逃げた少女パク・ヨンミ。
いかなる危険を覚悟しても、自由を手にしようとした少女と、その家族の選択の物語。
13歳まで過ごした北朝鮮での地獄のような日々、そして北朝鮮から母親とともに鴨緑江を渡って中国に入った夜から、韓国に着いて新しい人生を歩みだすまでの2年間に自らが体験した、
それまで彼女の母親しか知ることのなかった―過酷で悲惨な―想像を絶する出来事を、本書ではじめて語る。
世界15カ国で翻訳化。今、世界が最も注目する衝撃のノンフィクション、待望の邦訳がついに刊行。
Posted by ブクログ
自分が当たり前のように過ごしてきたこの環境に感謝するとともに、人権問題について考えることが出来ました。
こんな悲惨なことが、今の世の中でも現実としてあって、その事実を多くの人に知ってもらいたいと思います。
Posted by ブクログ
北朝鮮の恐ろしさは想像を絶する。国全体が強制収容所だ、なぜ、なぜ、なぜ。なぜ今も存続しているのか。私が呑気に明るい部屋で食事をするその瞬間にも、餓死で死を彷徨う人がいて、命懸けで国を脱出しようとする人がいて、生死を彷徨う信じられない状況でも指導者に絶対の信仰と敬意と服従をする洗脳された人々がいる。
私はなんて無知なんだろう。どんな言葉をもってしても薄っぺらく聞こえてしまうかもしれない、でも、これが、フィクションではなく今まさにこの2021年にも現在進行形で起こっていることなのだ。読みながらあまりの衝撃の情報量に、脳と感情の処理が全く追いつかず、読み進めるのに非常に時間がかかった。読み飛ばしたくなくて、何が起こったのか、彼女が何を見たのか、何を経験したのか、全て知りたいと思った。
北朝鮮がここまで恐ろしい国だなんて。そして、なぜその北朝鮮が今も続いているのか。なぜ、崩壊しないのか。なぜ、他国は何もしないのか。読み進めるとそれは北朝鮮だけの問題ではないことが明らかになってくる。中国では人身売買が未だに行われているなんて。遠い遠い過去の話だと思っていた。人が売られる。どういうこと、
“知る”ということの力。無知であることがこわくなる。知らないまま生きていくこともできる。でも、知らないままというのは、彼らの痛みと隠されている現実を理解できないということだ。知らないままだと、私も、誰かを傷つけたり理解できなかったり、思いやったり、寄り添ったりできない。知るということの重要性を改めて感じる。この本は、本当に、後世に残る名著だ
Posted by ブクログ
面白かった
自分のお腹の調子が悪く空腹感をあまり感じない時期に、『死ぬほどお腹が減った状態ってどんなか知りたい』という気持ちから手に取った。
食べるものが無くて山で虫をとって食べたとか、道で亡くなってる人をよく見たとか、想像以上に厳しい暮らしをしているんだなと思った。
北朝鮮は今後どうなっていくんだろう。
もっといろいろ知りたいと思った。
Posted by ブクログ
本を読んでいる最中に何度も涙が出た。彼女が命をかけて自由を手にし、命の危険を冒してまで真実を伝えようとする姿に感動した。この本を読んで社会主義と自由のどちらが悪でどちらが善だとははっきり言えないと思った。勿論彼女の母国で起こっていたことは非人道的であったが、自由を手にした時彼女が混乱したように、自由は全ての責任を自分で負い、選択肢も自分で考える。常に頭を働かせている。自由がなければ考えることもなく、選択することもないから、そっちの方が楽だったかもだなんて思うこともあるだろう。しかし彼女は自由によって努力すれば叶うということを知った。自由がなければ努力してもしなくても関係ないことだからだ。何も知らなければ社会主義の国で生きていることが不自由だとは思わない。しかし韓国という自由ではあるが競争の激しい社会で、また新たな困難の中で戦わなければいけない。北朝鮮へ残った人々も、脱北した人々もどちらが最善だったかなんて、その人にしか分からないと思った。
Posted by ブクログ
北朝鮮での過酷な少女時代のことをここまで再現するのはすごく辛かったと思う。文章だと何があったか記述されてるにすぎないけど、これを事実として経験した人がいることが信じられない。
Posted by ブクログ
脱北者の声を聞いてみたいという興味本位で軽はずみだった。時代は2000年を過ぎた北朝鮮。著者である彼女は、未だに20代。まるで文革の頃の中国かと思うくらい、未だに、そのような状態なのか。戦後の引き揚げを彷彿させるような、脱北における悲惨な経験。星何個で評価できるシロモノではない。初めて、著者の謝辞まで感情移入して読んだ。
生きるための選択。脱北もそう、亡き父が選んだ闇商売もそう。娘を守ってレイプされた母。アダルトチャットで金を稼ごうとした事も、最終的には韓国に辿り着き、テレビ出演で姉を探そうとした事も。
壮絶なノンフィクション。パク・ヨンミは、世界を変える重要な証言者の一人だ。
Posted by ブクログ
北朝鮮編:想像以上の衝撃。
中国編:想像通り。
韓国編:想像通り。
いずれにしても至近の話というのが恐ろしい。
すぐ隣の国々なのに。
読み終えてすぐ演説の動画を見て涙した。
彼女はたくましい。
Posted by ブクログ
13才で北朝鮮を脱北した女性の手記。
2014年にアイルランドで開かれた国際会議での
彼女のスピーチを YouTubeで見て衝撃でした。
ある程度のことは想像してたけど
それをはるかに越える 壮絶な北朝鮮の現状。
こんな赤裸々に語って ヨンミさんの平穏は保たれるのか
心配になってしまいました。
Posted by ブクログ
死後の世界には天国と地獄があるという。
しかしこの本を読んで、この世にも地獄が存在することを知った。
その名は北朝鮮。
筆者である彼女の名はパク ヨンミ。
北朝鮮の鴨緑江近くで生まれ育ち、13歳で脱北。
中国、モンゴルを経て、21歳の現在、韓国を中心に世界で北朝鮮の実態を世界に知らせるべく活動している。
前半での記述は北朝鮮でのおぞましい実態が克明に描写されているが、そのあまりも残酷で凄惨な世界に言葉を失う。
学校に通う道端には死体が普通にころがり、町では日常的に公開処刑が行われる。
密告が奨励され犯罪者の烙印が押されれば一族そろって処罰される。
自分の考えを持つことは許されず、幼い頃から徹底的に洗脳教育が行われ、疑うことは許されない。
配給はすでに無く、自力で食物を獲得しなければならない。
もちろんネズミや昆虫は貴重なタンパク源だ…。
なかなか普通に読み進める事ができず、数分読んでしばし唖然とする…。
しかし後半での中国の記述は、さらに凄惨な地獄が描写されていて、呼吸するのが困難になるほどだ。
脱北した女性達はブローカー達の手によって人身売買され、隷属的な立場の農家の嫁として奴隷のように働かされるか、もしくは売春組織で働かされる。
中国政府は脱北した人間を見つけては北朝鮮に送還するので、脱北者は隠れて生きなければならず、もちろんそこには人権はない。
北朝鮮に連れ戻されれば、死ぬまで人間として扱われることはなく、まさに進むも戻るも地獄の世界だ。
ヨンミもまた彼女達と同じく中国の犯罪組織の手に落ち、13才で体験するには壮絶極まりない残酷な日々を送る。
彼女はその後、運よく中国のキリスト教団体の協力により、極寒のモンゴルの砂漠を超え奇蹟的に生き延びることができた。
しかしこれはごく少数の幸運な例に過ぎない。
果たして彼女を生き長らえさせたものはなんだったのだろうか?
当初宗教という文字や意味すら知らず、また自らも信心深いわけではないと断ってはいるが、いつしか見えない大いなる力を信じ、その時々において祈り、キリスト教団体や仏教系組織に助けられた。
今なお現在、日本のすぐ隣でこの地獄は展開されている。
地上の楽園という名の無間地獄。
日本人として何か出来ることはないのか?という強い焦燥感にかられる。
Posted by ブクログ
これは、未読の人は是非読んで欲しい一冊。北朝鮮の脱北者である著者が、どのようにして韓国へ渡り、どのようにしてアイデンティティを確立したかが詳細にして余すところなく著されています。北朝鮮の思想教育がどれほど人間として生きる力を奪うものなのかがよく分かり、人権侵害をしている、かの国の恐ろしさを知ることができます。著者がまだ若く聡明なこともあり、世界中にメッセージを発信してほしいと思うと同時に彼女の一人の女性としての幸せも祈らずにはいられません。
Posted by ブクログ
これだけの経験を20歳になるまでにしていることが驚くし、逞しさを感じる。
韓国に無事渡って、算数の計算に「アメリカ野郎」ではなく、りんごなどを使うあたりや、「趣味」の概念がないことなんかが印象深かった。北朝鮮では、全てが白か黒に分けられているってことも。自由でいるためには頭を使わなければいけないって言葉が、今の日本人、自分も含めて重い言葉だと思った。
「自分の中に育つ言葉がなければ、本当の意味で成長したり学んだりすることはできない」
諦めずに勉強して、二年間で小2から高卒認定の資格まで取って、本当にすごい。元々頭も良いんだろうけど、努力を怠らない人なんだと思った。
あと、中国人の夫?も、人間として複雑だよね…。
Posted by ブクログ
パク・ヨンミさんの激動の人生が、家族の歴史から脱北後の生活まで詳細に語られている。
北朝鮮での苦しい生活もそうだが、やっとの思いで脱北した中国で、母子ともに人身売買されるという過酷な状況を乗り越えて、自由を求めて韓国に渡り、これまで強く自分の人生を切り開いてきたパク・ヨンミさん。
これほど多くの耐えがたい苦難を経験されているが、現在まだ29歳ということに驚いた。
その中でも、パク・ヨンミさんのお母さんの
「幸せになるためには、どんなに貧しくても人に与えなければならない。人に何かを与えられるなら、自分の人生には価値がある。」
という考えに感銘を受けた。
北朝鮮での極めて厳しい生活の中でも、利他の心を持ち、少ない食料を近所の人と分けあっていた。
自分なら、自分に余裕があるときでないとなかなかできないと思った。
Posted by ブクログ
パク・ヨンミ氏の命懸けの選択が彼女を救った。一つでも何かが欠けていれば彼女はこの場にいなかったかもしれない。ヨンミさんのお父さんが死しても彼女を守り、数えきれないほどの幸運が重なったとしか思えない。中国で人身売買を行っていたホンウェイさんが彼女に行った行為は許されることではない反面、どこにいてもヨンミさんを追いかけて守ってくれたホンウェイと出会わなければ、お母さんにもお姉さんにも会えなかったかもしれない。北朝鮮による洗脳は時代錯誤も甚だしい。いつかヨンミさんの声が世界中に届き、一人でも多くの北朝鮮人の洗脳が解けることを祈るばかりだ。
Posted by ブクログ
4.0知らないと言うことは、人権の存在さえ気づかない悲劇を生む。狭山事件の石川さんとも重なる。人間は順応はできても、機械にはなれない。人の命の重さは全て同じである。そう思う。世界は変わらなければならない。
Posted by ブクログ
生きるための選択
○あらすじ
13歳で母と脱北 中国へ
母即レイプ 自分は売人の愛人へ
生きるために体も捧げた少女
●教訓
・生きるために本気で学んだ人の吸収力はすさまじい
・環境がその人を作る 作ってしまう
Posted by ブクログ
普段、メディアを通して見る北朝鮮という国と実際、生まれ育った著者を通して見る北朝鮮。内情は想像を絶するものだった。これは是非、たくさんの人に読んでほしい一冊。
Posted by ブクログ
この本を読んで北朝鮮という国を覗けたような気がします。ヨンミが勇気を出して声をあげ、前にでてきてくれたおかげで私たちが知る事もなかったであろう北朝鮮の実情を知れました。洗脳されている中にも自由を求めて脱北を試みる人が多い事も知りました。その人達の声をどうかもっと届けて欲しいと思いました。みんな自由になる権利はあるのに、生まれた国で違うなんて。。もっともっとこのような本を読んで北朝鮮が世界に発信する偽りの一部分ではなく、本当の濃く人の生の声を知りたいと思いました。
Posted by ブクログ
隣の国の話だけに自分にできることを考えたい。脱北を助ける中国人が自分たちも平気で女性を強姦する人身売買業者しかいないとは情けない。人道的支援がもっと必要だし、著者はたまたま鴨緑江沿いの村に生まれたが、内陸にはもっとたくさんの人たちが苦しい生活をしている。もちろん脱北を助けるだけでは根本的解決はしない。とにかく私たちは北朝鮮に常に関心を持ち、興味本意でなく問題解決に向かって行動しなくてはならない。
Posted by ブクログ
13歳で脱北した著者の自伝。こんな公に出て大丈夫なのだろうかと妙な心配をしてしまいます。何しろ謎に包まれた北朝鮮。何をするか分からない国、一握りの人間だけが富み、大半の人々が飢えているかもしれない国。そんなイメージしかなかったのですが、著者が語った状況は私の想像を超えていました。
歴史の中で、北朝鮮のように国民を洗脳(と言っていいのか、情報統制と言っていいのか)した政治を行った国はあったと思いますが、そう永くは続いていないと思うのですよね。国民が国を逃げ出さなくてはならない国というのはどうなのでしょう。著者のように苦難があったとはいえ運良く逃げることが出来た場合は良いけれど、そうでない場合も沢山あるのでしょうね。この著者の場合も、ある程度“運は良かった”方だと思うのですが、それでも十分トラウマになるほどの体験をしてきています。彼女が勇気を出して語ってくれたから私たちは知ることが出来たけれど、著者のこれまでを思うと胸が痛みます。そして、彼女の活動が活かされること、彼女のこれからの人生が幸福なものであるように、と祈らずにはいられません。
Posted by ブクログ
ヨンミ氏の体験は壮絶である。しかし本書の感想を独裁国家や管理国家の怖さに収束すべきではない。
真の恐怖は、教育や文化、経験から生じる異執が常態化することにある。例えば彼女自身が体験していない大日本帝国による併合を嫌悪感を持って語ったり、他方でモンゴル入国まで金一族に対する痛烈な批判はなかったり、またヨンミ氏自身も人身売買に関わっていたり。ヨンミ氏を責めているのではない。彼女は13歳から15歳の時期をこの環境で生をつなぐしかなかったのだ。
私が言いたいのは、資本主義国家か共産主義国家か問わず糾弾されるべき事態が、北朝鮮国家が存続することによって常識化し、そうした精神的構造に国民が毒され続けている事実だ。それは北朝鮮人だけではなく周辺国へも巻き込み、難民受入時の韓国担当官の「やり直しの人生」という発言からも伺えるように負の感情をもたらす。
ヨンミ氏は、必死の努力で自らの体験を世間に知らしめる力を得たが、彼女が書いたような「自由が苦痛だった」という人が少しでも減らす努力を我々もしないといけないと感じさせる本であった。
Posted by ブクログ
北朝鮮で暮らしていた時、知人の家のゴミの中に、ミカンの皮があったことに衝撃を受けたヨンミ。野草と昆虫を食べて命をつないだヨンミには、ミカンの皮を捨てるなんて考えれらなかったんですね。
自分で考える習慣のない北朝鮮人は、すぐに人に騙されてしまう。でも北朝鮮に送還されたくなければ、全てを受け入れるしかない。どんなにひどい「すべて」でも。
自国の民を搾取する北朝鮮と、脱北者の人身売買をする中国人と、どちらが酷いのだろう。
ヨンミと、ヨンミたちを助けたために罪を負った人たちが、幸せになれますように。。。。
Posted by ブクログ
13才で脱北したパク・ヨンミの手記。飢え。恐怖支配。レイプ、人身売買。にわかには信じがたい現実がそこには、ある。それでも少し裕福だった彼女はまだ恵まれていたのかもしれない…という、どん底。賢く、強い女性の彼女が生きて、語ってくれてることはとても重要なことだと思った。
Posted by ブクログ
これは、北朝鮮から生きるために脱北したパク・ヨンミの自著伝だ。勇気を出して自分や母の経験した壮絶な脱北行を。
脱北前後の長い旅のあいだには、人間が人間にこれほどおそろしいことができるのかと思うようなことも目撃してきた。そのいっぽうで、およそ考えうる最悪の状況においても、人がやさしさや親切さや犠牲心を発揮するのも見てきた。人が生きのびるために人間性の一部を失うことがあるのも知っている。と同時に、人間の尊厳という火が完全に消えることはないのも知っている。
自由という酸素と愛の力があれば、その火がふたたび燃えあがることも。
これは、著者自身が生きるためにした選択の物語だ
身分を表す出身成分は三つのおもな階層があり、そのなかで、さらに五十個以上の分類に分かれている。成人後は、成分が当局によって絶えず監視され、修正される。隣組による通報や著察の調査により、自分や家族のしたことはすべて当局に知られずにはいられない。自分に関するあらゆることが記録され、地元の管理組織や国の機関に保管されている。それをもとに、どこに住めるか、どの学校に行けるか、どこで働けるかが決められる。成分のいい者は朝鮮労働党に入れて、政治的な権力者ともつながりが持てる。いい大学に行き、いい仕事につける。成分の悪い者は、集団農場で一生田んぼを耕して終わる。そして飢餓になれば飢え死にする。これでは、みなが隣組の目を気にしながら暮らし、疑い合い、密告し合い、暗く、貪欲な性格にならざるを得ない。こうした制度のもと、北朝鮮は自国を守ってきた。熱心に働いて国への忠誠心を示さないと明日はないのだ
自分で商売を始めると、自分で考えるようになる。配給制度が崩壊するまでは、誰が生きのびて誰が飢え死にするのかを決めるのは政府だった。市場が政府によるコントロールを奪った。ちょっとした商売を経験することで、自分の運命を自分でコントロールできるのだと気づいた。そしてまた少しだけ自由の味を知ったという。
表現することは難しいが、北朝鮮がどういう状況かということより、脱北する人を食い物にしている人間もいるっていうことにも強い憤りを感じるところだ
Posted by ブクログ
北朝鮮から中国に行きそして韓国へ行った
北朝鮮の女性のノンフィクションです。
本の中の写真を見たら 写真も撮れるし 綺麗な服を着ていたのに
どうして 脱北したのだろうと 読んでいくと
北朝鮮の社会というものが わかってきました。
中国へ行ってからも 大変な思いをして
やっと自由になった パクさんですが
このような 本を書いちゃって大丈夫かしら?と 心配になりましたが
これだけ反響のある本を書いたのだから 人目を集めてるし大丈夫でしょう。
それにしても
北朝鮮もひどい国ですが 中国のブローカー達もひどいです。
女性はいつも こういうつらい目にあってしまいます。
この本が出たことで 今後同じような目に合う女性がいなくなることを祈ります。
Posted by ブクログ
13歳で脱北した少女パク・ヨンミが自らの体験をつづった手記の全訳。
私の中で、北朝鮮という国がこの時代に平行して存在しているという実感がわかない。本書を読んで一部理解するも、完全に破綻しているはずなのに国家として存続していることが不思議でたまらない。北朝鮮という国はいつ終わるのか。自由を手に入れた著者は、時代に望まれ、愛すべき故郷を終わらせるために人権活動を開始する。
(以下本文より)
北朝鮮では「成分」と呼ばれる身分で人生が決まる。
政府が人々の行動や発言だけではなく、感性や情緒の面でもコントロールし、個人の主体性を破壊し、国民にものを考えさせないようにしている。
不死身と思われていた金正日は死に、小太りの若い息子の金正恩が独裁者の地位を継いだ。かつて私が神のようにあがめた金一族は犯罪者だった。犯罪者は罰を受けなければならない