あらすじ
製材小屋のせがれとして生れ、父や兄から絶えず虐待され、暗い日々を送るジュリヤン・ソレル。彼は華奢な体つきとデリケートな美貌の持主だが、不屈の強靱な意志を内に秘め、町を支配するブルジョアに対する激しい憎悪の念に燃えていた。僧侶になって出世しようという野心を抱いていたジュリヤンは、たまたま町長レーナル家の家庭教師になり、純真な夫人を誘惑してしまう……。
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Posted by ブクログ
舞台はフランスのヴェリエールという町から始まり、出世したいという強い野心に燃える若者ジュリアンが、町長レーナルの子供達の家庭教師として雇われ、そこでレーナル夫人と出逢う。
年齢はジュリアンは十九くらいで、夫人は三十くらいで、さらに百姓の息子と貴族という大きな身分の違いがある。最初は野心から夫人を誘惑をしたのの、互いに激しい恋に落ちていくのであるが、そこで描かれる恋の駆け引きや言動で慌ただしく両者の立場が逆転する心理描写が面白い。
特に主人公の中にある野心と恋心と自尊心が頭の中で噴き上がったり沈下したりと忙しく、冷めたと思ったら愛し始めたりする。僕自身もそうだが相手の一つの動作や言葉が気になったり、魅力的に見えたり幻滅するのは皆もあるはず。そのあたりがジュリアンに共感できると思う。
何より、愛するというのは身分や年齢差なんて関係ないと思わせてくれる一冊だ。
Posted by ブクログ
「だが、真の情熱は利己的である。」
製材小屋の子である主人公は、そのひ弱な肉体ゆえに父、兄からいじめられていた。しかし、その心には傲慢な野心が隠されており、いずれはナポレオンのもとで出世をしたいと願っていた。
ひょんなことから家庭教師として村長の家に住むようになり、その夫人を誘惑する。結果、踏み台のはずの夫人にはまり、神学校で学ぶことを余儀なくされた。出世のため、と言いつつ、最後まで冷静、冷徹でいられない主人公のもろさが、土壇場でその成功への近道を断つ。
Posted by ブクログ
なんとも複雑な心理描写。
なかなか、主人公に感情移入できない。
以前から気になっていた本ではあるけど、今の自分が読んで良かったのかも。
誘惑される夫人の気持ちはわかるから。
身分制度のない時代に生きているので、それがもたらす人格の歪みがイマイチ理解できないけど。
以前、修道院の話を読んだので、神学校のくだりはすんなり入ってきた。
貴族に対する僻みみたいな曲がった根性から、悩まされるハメになったレーナル夫人が気の毒だな。