あらすじ
いいお母さんになるやりかた、教えてくれるかも知れない――そうして、一人の少女はNHK専属テレビ女優第1号となり、放送の世界に飛び込んだ。しかし、録音された声を初めて聞いた時は、自分の声じゃないと泣きじゃくるなど、草創期のテレビ界でトットが巻き起こす事件の数々、やがて個性派女優へと開花していく姿を、笑いと涙で綴る感動の青春記。最新メッセージを加えた決定版。
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Posted by ブクログ
黒柳徹子といえば、私が物心ついた時にはもうタマネギ頭の早口で自由奔放なおばさん、といった感じだった。ドラマの「トットちゃん!」を見て、さらに黒柳徹子という人に興味を持ち、物足りなくて本作を読み、ものすごくものすごく好きになった。
真っ直ぐ素直に生きてきたからこそ、人間関係に恵まれここまで偉大な人になったのだろう。自身が若かった頃のエピソードを書いて、ここまで面白い人って他にいない!
何年か後にまた読み返したい。
Posted by ブクログ
昭和28年(今から63年前)、日本にテレビ放送が生まれた。
みんな「ありがたみ」を持って「テレビジョン」と呼んでいた。
現場には生まれたてのテレビジョンを手探りで育て上げた人たちがいた。
日本のテレビ放送開始から現在までテレビ業界で活躍するトットちゃんこと黒柳徹子の自伝エッセイ。
生まれたてのテレビという教室の窓際からトットちゃんは何を見たのか?
スーパースターはあまり登場しない。
トットちゃんが見たのは名もなきクラスメイト達の苦難と奮闘だった。
「知床の岬に ハマナスが咲くころ 思い出しておくれ 俺たちのことを」
放送開始当時は小さな悲喜劇が毎日数え切れずに起きた。
当時は録画機材の値段が高く、撮り直しの効かない一発勝負ナマ放送だった。
だから、言う事聞かないニワトリを紐でぐるぐる巻きにしたまま放送したり、
忍者の懐から「役者の給料袋」を取り出してしまい、咄嗟に「拙者の扶持でござる」と誤魔化したり。
大のおとなたちが、ばかばかしく、哀しく、切なく、一途で、面白い、ふざけたようなこと
をしたエピソードには失礼だが思わず笑ってしまう。
「今まで人類が夢想だに出来なかった国際間の、
より大いなる理解と永遠の平和の可能性が生まれてくる。
これがテレビジョンの力なのである。」これがテレビジョンの理想なのである。
みんな理想を持っていた。数多の失敗を乗り越えてテレビを必死に育てあげた。
そして現在のテレビ業界がある。
何をか言わんや。今のテレビは成熟しきって老練の域に達しているのだろう。
若い頃には戻れまい。ただ懐かしむことしかできなかろう。
しかし未だテレビというコンテンツに一縷の更なる成長を期待するとすれば、
今のテレビ業界人が、子供の頃に憧れたテレビの「理想」を改めて掲げることに他ならない。
石橋貴明は言った。「バラエティには人を笑わせ、何かを与えられる無限の可能性がある。」
大のおとなたちが、ばかばかしく、哀しく、切なく、一途で、面白い、ふざけたようなこと
に本気になればきっと何かが育っていくと信じたい。