あらすじ
いいお母さんになるやりかた、教えてくれるかも知れない――そうして、一人の少女はNHK専属テレビ女優第1号となり、放送の世界に飛び込んだ。しかし、録音された声を初めて聞いた時は、自分の声じゃないと泣きじゃくるなど、草創期のテレビ界でトットが巻き起こす事件の数々、やがて個性派女優へと開花していく姿を、笑いと涙で綴る感動の青春記。最新メッセージを加えた決定版。
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Posted by ブクログ
どんどん新しいものが生み出されて進化していく時代に食らいついて、より良いものを作ってやる!という想いに溢れた、当時の人々の強さとユーモアをたくさん感じる作品でした。新しいものが生まれる瞬間ってなんでこんなに面白いんだろう
トットちゃんはかわいくて、きっと周りの人たちを知らずのうちに笑顔にしてきたんだろうなと思いました
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昔のテレビ業界の裏側を知ることができるのみならず,あとがきにある後日談も面白い。ありのままの文章に当時の情景が浮かんでくる。著者の周囲に自然と沸き起こる「作らない」ユーモアがページを捲る手を速めた。
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テレビの創成期から関わったトットちゃんの回想録。
「窓際のトットちゃん」の続編のようにも思える。
「窓際のトットちゃん」で幼い頃のトットちゃんを知り、テレビで活躍する黒柳徹子さんを知っているので、この本を読み始めてすぐ私の頭の中で好奇心旺盛で早口のくるくると動く「トット」が簡単に出来上がった。
どのように記録されていたのか記憶されていたのか、NHKを受験するいきさつから合格して失敗しながらも第一線で活躍するまでがほんとうに細やかに描かれている。
NHKの生放送の様子も今では考えられないコントのような有様だが、そこにいたトットが語るものだから臨場感があり面白い。状況だけでなくそのときトットが考えたこと、抱いた感情、周りの人に対する観察力。ともえ学園で育まれたトットの感受性は大人になってもとても豊かで素直。それゆえに失敗したり傷つけられたりすることも多い。というか、この本はそういう話ばかり。しかしそれがあのトットのキャラクターで展開されるのでコミカルにさえ思える。逆にトットの感受性ゆえに哀しみが増す場面も。トットの装いを見ても素敵な暮らしをされていたのだろうと思う。
「普通じゃない」ことに苦しむトットだが、自分を曲げてまで「普通」になろうとしないことがトットらしい。「窓際のトットちゃん」を読んだ時に、「普通じゃない」トットちゃんを育てたパパとママが素晴らしいと思ったが、本作を読んで改めてそう感じた。
Posted by ブクログ
私がおばあちゃんになったら、自分の若い頃をどんな風に語るんだろう。こんなふうに、まっすぐで、失敗しても一生懸命だったと話せるように過ごしたい。当時は大変でも、後から思い返せば笑えるような失敗談がたくさんあれば、素敵なおばあちゃんになれそう。
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黒柳徹子といえば、私が物心ついた時にはもうタマネギ頭の早口で自由奔放なおばさん、といった感じだった。ドラマの「トットちゃん!」を見て、さらに黒柳徹子という人に興味を持ち、物足りなくて本作を読み、ものすごくものすごく好きになった。
真っ直ぐ素直に生きてきたからこそ、人間関係に恵まれここまで偉大な人になったのだろう。自身が若かった頃のエピソードを書いて、ここまで面白い人って他にいない!
何年か後にまた読み返したい。
Posted by ブクログ
昭和28年(今から63年前)、日本にテレビ放送が生まれた。
みんな「ありがたみ」を持って「テレビジョン」と呼んでいた。
現場には生まれたてのテレビジョンを手探りで育て上げた人たちがいた。
日本のテレビ放送開始から現在までテレビ業界で活躍するトットちゃんこと黒柳徹子の自伝エッセイ。
生まれたてのテレビという教室の窓際からトットちゃんは何を見たのか?
スーパースターはあまり登場しない。
トットちゃんが見たのは名もなきクラスメイト達の苦難と奮闘だった。
「知床の岬に ハマナスが咲くころ 思い出しておくれ 俺たちのことを」
放送開始当時は小さな悲喜劇が毎日数え切れずに起きた。
当時は録画機材の値段が高く、撮り直しの効かない一発勝負ナマ放送だった。
だから、言う事聞かないニワトリを紐でぐるぐる巻きにしたまま放送したり、
忍者の懐から「役者の給料袋」を取り出してしまい、咄嗟に「拙者の扶持でござる」と誤魔化したり。
大のおとなたちが、ばかばかしく、哀しく、切なく、一途で、面白い、ふざけたようなこと
をしたエピソードには失礼だが思わず笑ってしまう。
「今まで人類が夢想だに出来なかった国際間の、
より大いなる理解と永遠の平和の可能性が生まれてくる。
これがテレビジョンの力なのである。」これがテレビジョンの理想なのである。
みんな理想を持っていた。数多の失敗を乗り越えてテレビを必死に育てあげた。
そして現在のテレビ業界がある。
何をか言わんや。今のテレビは成熟しきって老練の域に達しているのだろう。
若い頃には戻れまい。ただ懐かしむことしかできなかろう。
しかし未だテレビというコンテンツに一縷の更なる成長を期待するとすれば、
今のテレビ業界人が、子供の頃に憧れたテレビの「理想」を改めて掲げることに他ならない。
石橋貴明は言った。「バラエティには人を笑わせ、何かを与えられる無限の可能性がある。」
大のおとなたちが、ばかばかしく、哀しく、切なく、一途で、面白い、ふざけたようなこと
に本気になればきっと何かが育っていくと信じたい。
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日本テレビの草創期、ナマ放送でしばしばトラブルが起こり、どうしようもなくなると「終」と書かれた紙をカメラに貼り付けて、番組を終わらせてしまう。今だからこそユニークに感じるけれど、当時は黒柳さんたちが戦って作り始めたテレビ。その始まりをめぐる物語、そして黒柳さんの青春記は興味深く読むことができました。
なによりこの作品を読んで、黒柳徹子さんを好きになりました。エキストラのおじいさんに関する話、作品への起用が決まり、あなたはその個性でいいと励まされた話、過労でテレビを休んだ話。このあたりが特に印象深い。どんどん進化していく世の中とテレビ。その中でも優しい心を持ち続け、今も大活躍の黒柳さんを、実に素晴らしいと思いました。
Posted by ブクログ
昔読んだ。斉藤由貴の映画を観る前に読んだので、もうかれこれ30年まえ。
ほとんど初見のように読んだ。
二十歳そこそこでは読み取れない、黒柳さんの世界観の面白さがじわじわ。
とりとめのない文章も面白いし、
終わったのかまだ続くのかよくわからない余韻のなさも面白いし、
終わりと言いながら、終わってない感じが、すごく面白いし。
「トットひとり」という本が最近出たらしい。
NHKのドラマ「トットテレビ」は、そちらのエピソードもはいるのかな?
それにしても、
トットちゃんは本当に面白い人だ。
Posted by ブクログ
こちらも、文章が詰まっていて読むのに必死になってしまった、!
けど、この話は、自分の進む道について、悩みながらも突き進む若かりし頃の徹子さんの心情が知れて、面白かった
NHKの俳優1号、新しい時代の新しい職業になるなんて、現代じゃ中々出来ないから魅力的なお話だった
Posted by ブクログ
黒柳徹子の、どうして女優になったか。
破天荒、と言っていいのか…w
しかし、ここまであっけらかんとしていれば
辛くなく、最後まで続けられるかと。
お得な性格、かも知れません。
ひとつひとつが短いので読みやすかったですし
そのせいか、すとんと中に入ってくるような感じでした。
白黒からカラーへ。
そのせいで化粧が変わったそうですが、白黒の時は
メイクさんはどうやって色の加減を知ったのでしょう?
Posted by ブクログ
草創期のテレビ界に身を置く黒柳徹子の青春記…、で終わるかと思いきや、最後の章でどんでん返し。これで終わるか?って感じ。ただ、その当時と今現在はともかく、この連載を書いていた頃(80年代前半?)の徹子さんの気持ちはこんな感じだったのかも。
あとがきが秀逸。連載を上手くまとめ上げ、一冊の本としての完成度をぐっ、と高めています。
スタートアップしたい人にオススメ。背中を押してくれるかも。
ライフ住吉店書籍コーナーで購入。
Posted by ブクログ
NHK採用試験からNHK勤務時代のエッセイ。
当時のNHKの見抜く力に感心。現代でもトットちゃんみたいな自由奔放なひとがNHKの面接を受けたら採用されるのかしら!?
好きなものは好き、面白いものは面白い。自分の思いに素直に生きている徹子さんは素敵。
そんなトットちゃんを優しく応援する周りのひとも素敵。
Posted by ブクログ
「新版 トットチャンネル」
NHKのドラマで放送されていたので本を読んでみた。
言わずと知れた黒柳徹子のNHK放送劇団入団した頃のエッセイである。
テレビの黎明期に世間知らずのいいところのお嬢さんが繰り広げる失敗談といったところだ。当時のテレビ制作者たちの奮闘ぶりがよくわかる。そして、ある意味では何でもありのとてもいい時代だったように思える。
そもそも黒柳徹子がよく何千人もの応募者の中からオーディションで受かったのかが不思議である。バイオリニストの娘で親がある程度業界で知られていたと言うこともあると思うが、本人の持った運の強さとしか言うほかはない。
黒柳徹子と言えば早口でしゃべる変なおばさんで、音楽番組の「ザ・ベストテン」とインタビュー番組の「徹子の部屋」が強く印象に残ってるが、若い頃の活躍はほとんど知らなかった。本書を読むと、とても世間知らずで、ナイーブな人でテレビで見ていた印象からはとても想像がつかない。
それでも、放送、演劇の業界で今まで生き残ってきているのだから、非凡な才能と運の強さがあるのだろう。同時代に活躍していた人たちがほとんど他界していることがますますそれを際立たせているような気がする。