あらすじ
大日本帝国陸軍内にスパイ養成組織“D機関”を作り上げ、異能の精鋭たちを統べる元締め(スパイ・マスター)、結城中佐。その正体を暴こうとする男が現れた。英国タイムズ紙極東特派員アーロン・プライス。結城の隠された生い立ちに迫るが……(「追跡」)。ハワイ沖の豪華客船を舞台にした初の中篇「暗号名ケルベロス」を含む全5篇を収録。世界各国、シリーズ最大のスケールで展開する、究極の頭脳戦! 「ジョーカー・ゲーム」シリーズ、待望の第3弾。
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Posted by ブクログ
ジョーカー・ゲームシリーズ第3弾
・誤算
記憶を失いながらも任務を遂行する話。このシリーズの魅力には「人間離れしたD機関の活躍」がある。久々にそれが見れたので良かった。
・失楽園
キャンベルの披露した「パーカー大尉と揉み合った時にブラントは死んでいたが、自分が殺してしまったと思ったジュリアはありもしない罪に悩み自主した」という仮説あまりに無理がありすぎるのではないか。推理力のないキャンベルが披露したとはいえ周囲の人間を納得させているのだからそれなりの説得力は欲しい。まず、ジュリアがなぜ自分が殺したと思ったのかという動機付けが一切ない。これは後に真相らしきもののように、ジュリアが死に関与したかしたか、したと誤認するような状況ではなくてはいけないだろう。すでに死体のブラントを目にしたジュリアが罪を感じる理由がない。そしてこの仮説が真なのであれば殺していないのに殺したと思い込んでいるパーカー大尉は何なのだ。いくら脈を止めたからと言って鼓動や反射が無くなるわけではないのだから瞳孔に光を当てるなり胸に手を当てるなりするといい。それが出来ないほどパーカー大尉はマヌケでは無いはずだ。
・追跡
新聞記者兼スパイのプライスが結城中佐の過去を追う話。偽の経歴を掴まされ完全にしてやられるのだが、作中のように夏に吹くさわやかな風のような読後感
・暗号名ケルベロス
珍しく前後編に分かれた中編。長いからといって主人公が危機に陥るだとか骨太な謎があるだとかではなく単純に長いだけであった。内海は子持ちになった訳だがD機関の人間で子持ちになったのは初なのではないか。彼はこのまま組織を辞めるのだろうか。予想としてはやはり辞めるだろう。D機関にいるような人間はD機関に執着が無く自分以外の人間は弱みになるのだから家族が出来た彼が続ける意味がない。
Posted by ブクログ
前巻が不穏な〆だったので今巻が「誤算」という章題で始まっていてドキーッとしちゃった。パラダイスもロストしてるし。
しかし不意のアクシデントまで対応してこそプロのスパイである…とのことで、戦争が激化していくなかでも変わらずスパイとして生き続ける者と人間として死ぬ者の差があらわになっていく。
いったいどちらが幸せなんだろうな…みたいなことを考えたりした。幸せを求めるような者はスパイではないのか…己の能力の限界を試す者は人間ではないのか…
すっかりお決まりの口上のように語られるD機関の入試問題は、もはや歌舞伎の見栄のようでヨッ待ってました!という気分になるし、本当にみんなあの試験をクリアしたんだなとわかるから彼らの匿名性の高さにゾクゾクする。
Posted by ブクログ
『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第三弾。「誤算」と「暗号ケルベロス」は既にアニメ化されているが、小説版のほうが心情描写が細かく、はっとすることが多かった。今回も諜報活動に勤しむスパイたちの行動にハラハラしたが、それと同時に日本陸軍の言動が目に余り、とりわけp251〜253の描写が象徴的だ。ドイツが発明した暗号機エニグマの誕生によって世界情勢に衝撃をもたらした。しかし、それを受けた陸軍は日本語の言語的特徴や構造を過剰に特別視したせいか、エニグマが誕生して間もないころは何とも思わなかった。その後日中戦争の泥沼化から日本独自の暗号を開発するように至ったが、それでも「絶対に」不可能と、根拠なき謎の信条から事態をうやむやにする。これらとは対照的なのが結城中佐である。本作のみならず前作、前々作と結城中佐の発言は相変わらず的を得ており、今回の発言「絶対的というのはこの世には存在しない」というのはまさにこの世界の真理をついている。「絶対」という言葉による思考停止の危険性がよくわかる。
Posted by ブクログ
安定の面白さ!
魔王の正体がどんどん暴かれていって、、、暴かれてしまうー!!!と、読者がヒヤヒヤしている間に
それも全て仕込まれていた話だった。
用意周到もここまできたら
本当に何を信じていいのか、わからなくなってくる。
本当にこんな人物がいたら
すごく孤独なんだろうな。
孤独に打ち勝てるタフすぎる心。
いや、孤独なんて魔王にとっては感じないのかもしれない。
正体
魔王の正体がついに暴かれるか?
結局謎のまま。
D機関はどこまでも完璧だ。
圧倒的に人間離れしている。
でも最後には,人間的な部分が仄めかされるから,ほんの少しだけほっとする。
Posted by ブクログ
アニメでキャラのビジュアルがはっきりしたので、このスパイは誰なのかがつい気になってしまいます。「誤算」アニメ3話と同内容。ずいぶん前に読んだため、てっきり1巻に収録されていた話かと思っていました。裏切り者の正体をあえて変えた理由がよくわかりませんが、アニメでは花があるほうを選んだのでしょうか。どの話がアニメになるのか、改めて楽しみになりました。「追跡」魔王の過去がついに明らかに。一番おもしろかったです。「暗号名ケロべロス」内海はこのままスパイをやめるの、か。こういう選択も有りですね。
Posted by ブクログ
誤算
結城
大日本帝国陸軍内にスパイ養成組織“D機関”を作り上げ、異能の精鋭たちを統べる元締め。中佐。
島野亮祐
日本からフランスに留学。一時的に記憶を失った。
アラン・レルニエ
レジスタンス。
ジャン・ヴィクトール
レジスタンス。
マリー・トーレス
女性。レジスタンス。
失楽園
マイケル・キャンベル
米海軍士官。領事館付武官。
ジュリア・オルセン
十八歳。鉱山技師であるデンマーク人の父親とシャム人の母親の間に生まれた。
ジョセフ・ブラント
中庭で死んでいた英国人実業家。
バーテンダー
トムソン
元英国海軍准将。
リチャード・パーカー
英国陸軍大尉。
追跡
アーロン・プライス
英国タイムズ紙極東特派員。
ヒュー・モリソン
在日英国大使館事務員。
エレン
アーロンの妻。
棚橋
三重に引っ越した。
里村
東京郊外に住む老人。貴族である有崎子爵の屋敷で長年にわたって家令を務めた。
有崎直哉
明治新政府樹立の際に功績を認められて新華族となった、所謂“武家上がりの勲功華族”の一人。
晃
有崎が連れてきた子供。
ミス・ヘイズ
教育係兼語学教師として呼ばれた英国人女性。
マンスフィールド・カミング
海軍大佐。英国秘密情報部、MI6の初代機関長。
暗号名ケルベロス 前篇
湯浅
朱鷺丸の船長。
原
一等航海士。
内海脩
ジェフリー・モーガン
サンフランシスコで小さな貿易会社を経営。本名ルイス・マクラウド。暗号名“教授”。
暗号名ケルベロス 後篇
内海脩
ルイス・マクラウド
ハンス・イェーガー
ゲルマニア号の船長。
シンシア・グレーン
エマ
シンシアの娘。
フラテ
テリア犬。
レイモンド・グレーン
シンシアの夫。英国の貨物船ダルモア号の一等航海士。