あらすじ
新学期を迎えなかなかクラスになじめない柴山の下に、一年生の時に自殺をした生徒が、時々霊になって現れるという怪談話が舞い込んだ。その真実を突き止めるため、マツリカと共に捜査を開始した柴山だったが…!?電子書籍特典付き!
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Posted by ブクログ
マツリカさんの焦らしがだんだんエスカレートしてっている。柴さんのまわりに少しずつ関わる人が増えており楽しそうで何より。徐々にふたりが近づいていってる感じもあって良い。
Posted by ブクログ
● 感想
シリーズ2作目。1作目同様、3つの短編の中に隠された伏線があり、4つ目の短編につながる。今回の仕掛けはマツリカの秘密。マツリカは、自殺した松本梨香子の亡霊なのか?というもの
1つ目から3つ目の短編だが、残念だがミステリとしての完成度はそれほど高くない。1つ目の短編は、「中から引き戸を開けないようにして隠れていた。」というトリックと、「不登校の生徒がいた。」という点がトリック、2つ目に至っては、トリックらしいトリックはなく、「写真部の部長がすり替えていた。」というちょっとした意外性があるだけ。3つ目の短編は、リカコという教師の娘が実は小学生だったという点がトリックとなっている。いずれも、トリックとしては大したものではない。
小説としては、相沢沙呼の文章が肌に合い、登場人物の数や場面転換、説明等もくどくないので、入り込みやすい。しかし、キャラクターの魅力がイマイチ。マツリカと柴山との間の官能小説めいたやりとりの悪乗りが過ぎて、好きな人は好きかもしれないが引く人もいそう。個人的な感想としても、ちょっと引いた。さすがに柴山の考え方が気持ち悪く、マツリカの悪乗りが過ぎる。
この二人以外のキャラクターには、写真部の小西、不登校の1年生・松本まりか、写真部に入った高梨、写真屋でアルバイトをしている櫻井梨香子、そして村木翔子などがいる。それなりに出揃っているが、そこまで魅力的というほどではない。もっとも、人数としては、多すぎず少なすぎず、いい塩梅である。
4章のデキはなかなか。マツリカ=松本梨香子の幽霊であると誤解させるだけの不思議さが、マツリカという存在自体にある。廃墟に住む謎の女。幽霊という設定もあり得そうと思わせて、それらが全て誤解だと論理的に解決していく展開は面白い。松本梨香子が各作品に少しずつ顔を出していた写真屋でバイトをしていた櫻井さんだったというオチもなかなか良い。
1章から3章は、独立した短編でありながら、この4章のための伏線であり、キャラクターの紹介といった位置付け。となるとこの作品全体の評価は、個々の短編のデキで決めるのではなく、全体の仕上がりで決めた方が良さそう。マツリカと柴山の官能小説めいた悪乗りのせいで、とても人に勧めにくい作品になってしまっているのは減点。★4としておく。
● メモ
主人公
柴山祐希。高校2年生。学校の向井にある廃墟ビルに住み、望遠鏡で校舎を観察している謎の美少女、マツリカに命じられて、学校の怪談を調べている。
● 落英インフェリア
写真部に体験入学していた松本まりかという1年生が、部室を飛び出し、追いかけられていた状態で聞ける。1年生にはそんな生徒はいないという。
真相は、備品管理室に入っていた。中から押さえていたので、鍵が掛かっていると誤解した。
不登校で、保健室登校をしている生徒だったので、集合写真にも写らず、一年生も知らなかった。
● 心霊ディテクティブ
写真部の小西さんの写真が、全て感光していた。いったいなぜ?
真相は、写真部の三ノ輪部長が、小西さんの写真の腕を知るために、感光したフィルムとすり替えていた。
● 墜落インビジブル
村木翔子と誰かが一緒にいたが、部屋から消えた。なぜ?
真相。村木翔子と一緒にいたのは、妹、小学生の榎本リカコ。離婚して再婚をした関係で、たまに学校に来ていた。村木翔子は、友人に頼んで、リカコと会っていた。柴山は、ロッカーに入っていたので、身長が低い小学生のリカコの姿が見えなかった。
● お別れソリチュード
マツリカにまつわる話。マツリカは、自殺した松本梨香子の幽霊なのか?
真相。梨香子の生徒手帳を持っていたのは、かつて梨香子がマツリカのもとに通っていたため。マツリカが映った写真を「松本さんの写真」といったのは、松本梨香子が取った写真だから。松本梨香子は、結婚して桜井梨香子となり、写真屋で働いてた。この小説の各短編に顔を出しており、その伏線があった。
Posted by ブクログ
柴山が行動することで成長し、交友関係が広がっていく。それに伴い、マツリカとの関係性も変化していく。
おわかれソリチュードでは、松本梨香子、マツリカの関係について、すっかり騙された。
Posted by ブクログ
やっと少しずつマツリカさんのことが明らかになってきた。やはり最後の章で怒涛の伏線回収はとてもスッキリするし気持ちが良い。
だんだん柴山にも友達が増えてきて少し嬉しいがマツリカさんの出番が少し減ったかな?
まあ1番気になるのは小西さんと柴山の関係がどうなっていくかかなぁ〜、
まあ最終巻も早くよもう、最近一気読みし過ぎているな、
Posted by ブクログ
マツリカさんの誘惑度が一作目よりもアップしていて「何もそこまでしなくても……」と思ってしまう。でもきっと何か理由があるのかな?と考えて読み進めていった。
最終話でついにマツリカさんの秘密に触れたのかもしれないと思ってソワソワしてしまった!
松本梨香子という名前を何度聞いても「マツリカ」という音を連想しなかったので、まさか?!と素直に衝撃が走ったけれど、そこはマツリカさんだからちゃんと謎は残しておいてくれた。
男子高校生の悶々とした妄想に付き合うのは大変だけど、一応成長はしているし、マツリカさんが一体何者なのかは気になるかな〜。
Posted by ブクログ
学校近くの廃墟ビルに住みつき、望遠鏡で学校を観察している謎の美少女・マツリカ。
彼女に命じられ、高校生の柴山は学校の怪談を調べていた。
『一年生のりかこさん』という、過去に飛び降り自殺をしたという少女の霊にまつわる噂を追いかけるうちに、柴山はある真実に辿り着く・・・。
前作同様、学校の怪談を調べていく中で出会う「日常の謎」をマツリカと柴山が解決するという話の流れになっています。
謎自体は小粒で、何気ない謎なのですが、真相には誰かのままならない思いがつまっていて、それが明らかになるたびにどうしようもない切ない気持ちに駆られました。
他人を羨む自信の無い自分に自己嫌悪を感じたり、楽しそうな周囲に入っていけず疎外感や引け目を感じたり。
そんな葛藤や逡巡は誰もが覚える感情だと思いますが、読んでいて胸が締め付けられました。
また、傷つきたくないあまりに他人と距離を置いてしまう自意識過剰な柴山が、謎の真相につまった誰かの気持ちに触れるたびに少しずつ変わっていきます。
自分が周囲に受け入れられていると感じたり、他人も同じような孤独や悩みを抱えているんだと理解できると、おのずと自分から心を開いて他人を受け入れるようになるんですね。
そうなると友人と呼べる人間関係が彼の周りにできるようになって、逆にマツリカの存在感が前作よりも弱くなりました。
マツリカは虚像めいていて、柴山の妄想というか、孤独の象徴をあらわしているので、柴山に友人ができると造形が薄くなるんですね。
しかも、今までマツリカに助けられるばかりだった柴山が、最後の章ではマツリカを助ける側となり、彼の成長がより明確なものとなりました。
柴山の成長と相反するマツリカの存在意義。
そんな二人の関係がどうなっていくのか、次作が楽しみです。
相変わらず柴山の性的妄想描写がねちっこくて気持ち悪かったですが・・・それを煽りまくるマツリカさんもどうなんでしょう。
女性に嫌われるタイプの女性なのかなあ。読んでいてあまりいい気持ちはしないよね。