あらすじ
第二の犠牲者となった番頭の横田が握りしめていたのは、譜本『綱館』の切れ端であった。これはいったいなにを意味しているのか? しかし捜査は進展のないまま、安東流家元・安東喜左衛門の傘寿記念の大演奏会の日がやってくる。それはまた、一連の惨劇の幕明けの日でもあった……。芸に生きる者たちの妄執と悲劇を華麗に描き、名探偵・伊集院大介を世に送りだした、第2回吉川英治文学新人賞受賞の傑作。
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Posted by ブクログ
上ではボーイズラブの作品かと思いました。
下に入ると,一転,三味線の家元の家での複雑な家族を背景にした連続殺人事件になっていきます。
あるいは,最後は連続自殺事件なのかもしれません。
伊集院大介が登場するが,最後の最後まで脇役です。
特に,上では,主人公は家元の子供たちだったのが,最後に主役逆転。
吉川英治文学新人賞受賞作品ナだけあって,
小説としての完成度も高いということなのだろう。
透明感ある伊集院大介が,それでも人間性を重視しているのが特筆できる。
他の名探偵とは一線を画すると思うがいかがだろう。
Posted by ブクログ
長唄の家元の息子の家庭教師として登場する、伊集院さん。芸の世界、そして命をかけるほどの情熱的な恋。ドロドロとした人間関係の中で、伊集院さんの推理が冴え渡る。伊集院大介シリーズの中では、一番好きな作品です。
Posted by ブクログ
伊集院大介のシリーズ1。
栗本さんの本では割と良く出会うキャラクターがいっぱい。
そしてまだ探偵じゃない伊集院さんは最近の作品と違って
グチっぽくないw
昔の「推理小説」といった雰囲気たっぷりで結構満足。
最後がちょっと切ない。
Posted by ブクログ
伊集院大介は最後まで影が薄いままだけど、最後にちゃんといいとこを持っていくな~。初期の伊集院大介シリーズは面白い。事件の真相も上手く繋げてあるし、警察に話したのとは違う最後の真相も好みだな。由紀夫は『天狼星』シリーズに出てくる胡蝶や晶に似ている気がする。同じ作者だし好みなんだろうな。
Posted by ブクログ
芸に生きる者たちの妄執と悲劇を華麗に描いた傑作。
最後の人間国宝のご隠居様のくだりまでは動機がいまいち甘く、散漫で残念な印象を受けたのですが、違いました!
皆等しくこの家の闇をかぶっており、最後までおどろおどろしい世界観がくずれることはありませんでした。