あらすじ
つかの間千草苑を離れ、亡き妻との思い出のある地へと旅立つ祖父の木太郎(もくたろう)。黄昏時、波打ち際に佇(たたず)む彼に囁きかけるものは(「浜辺にて」)。若さ故の迷いから、将来を見失ったりら子が、古い楠の群れに守られた山で、奇妙な運命を辿った親戚と出会う(「鎮守の森」)。ひとと花、植物たちの思いが交錯する物語。花咲家のひとびとが存在するとき、そこに優しい奇跡が起きる。書下し連作短篇全六話。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
花咲家シリーズ第三弾。
今回のテーマは「旅」
なるべく遠くへ行くのもいいし、近くでもいいけれど、旅の意義は、日常を離れることだろう。
花咲家は仲のいい家族だけれど、それだけに、それぞれがお互いのためを思い、与えられた自分の役割をきちんと果たそうと無意識に努めている部分もあるだろう。
旅に出て一人になることは、家族には打ち明けられない自分の本当の気持ちと向き合う機会かもしれない。
合わせて、他の旅人のさまざまな思いも知る。
第一話 浜辺にて
店の改修工事のため、思わぬ休日ができた木太郎は、遠い昔の新婚旅行先を訪ねて、亡き妻を偲ぶ。
年老いた人の若き日に向けられた優しいまなざしがいい。
第二話 茸の家
白猫のお譲ちゃん・小雪の冒険譚と、一人ぼっちのお婆さんに寄り添う、故郷を遠く離れたものが抱く想い。
第三話 潮騒浪漫
今の自分の在り方と将来に悩むりら子。
子供たちに聞かせる、父・草太郎の冒険譚。
どうも、草太郎はファンタジーと一番近い所にいる人である。
第四話 鎮守の森
陸路半日かけて、遠い親戚が住むという街に旅したりら子。
旅から帰れなかった男の、家族を守る大きな愛。
第五話 空を行く羽根
茉莉亜は謎だ。自分のために旅することはないのか、やはり、茉莉亜の一番の旅は、母に反発して家を出ていた時代なのだろうか。
すでに、見守る人、母視点になっている気がする。
若い才能の羽ばたきを見守る。
第六話 Good Luck
桂も、飛び立つ前の人である。
そして、旅人ではなくなった人と、空港で出会う。
人生は終わりを迎えるまでのすべてが旅。
かなわなかった夢も、悔いの残る出来事も、消してはいけない、価値のある道程の一部分なのだろう。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
つかの間千草苑を離れ、亡き妻との思い出のある地へと旅立つ祖父の木太郎。黄昏時、波打ち際に佇む彼に囁きかけるものは(「浜辺にて」)。若さ故の迷いから、将来を見失ったりら子が、古い楠の群れに守られた山で、奇妙な運命を辿った親戚と出会う(「鎮守の森」)。ひとと花。緑たちの思いが交錯する物語。花咲家のひとびとが存在するとき、そこに優しい奇跡が起きる。書下し連作短篇全六話。
【感想】
Posted by ブクログ
花咲家のそれぞれ日常短編集。今回は悩むりら子が旅に出て、人生の先輩に話を聞いてもらったり、木太郎さんも思い出の旅行に出たり。このシリーズを読むと草花と会話できるっていいな、そしてみんな優しいのでこんな風に穏やかに暮らせたらいいなと思います。
Posted by ブクログ
花咲家のそれぞれの旅にまつわるストーリーをつづった短編集。
おじいちゃんのお話はなくなった妻との新婚旅行でいった九州を訪ね、妻の大切さを再認識し、亡くなった悲しみをようやく受け止める様子に切なくなりました。
また、猫の小雪の冒険のお話はとてもかわいらしかったです。
最後の末っ子の桂が空港で体験した不思議な出来事は孤独だと思っていたおじいさんに心の安らぎをあたえ、こちらの心もあったかくなりました。
Posted by ブクログ
花咲茉莉亜
美しい長女。千草苑の看板娘で、併設されているカフェ千草の経営者。風早の街の聖母と呼ばれている。怪奇小説とホラー映画が好き。
花咲りら子
運動神経抜群で、物事を理論的に考える。、冷静な次女。姉弟の中でいちばんの寂しがり屋だが、ひとに甘えるのが下手。
花咲桂
母の面影を残す末っ子。彼の笑顔に誰もが心を開いてしまう。植物を操る能力が徐々に身についてきているところ。
花咲草太郎
風早植物園の広報部長。かつて妻を亡くしており、完全に立ち直ったわけではない。そのため、他者の悲しみには敏感。三人の子の父親。
花咲木太郎
草太郎の父。若い頃は有名なプラントハンターだった。現在は千草苑で造園と庭の手入れを担当。
小雪
白猫。子猫時代、捨てられていたところを桂に助けられる。桂のことが大好きでいつも一緒。
磯谷唄子
著名な随筆家。花咲家のひとびとの秘密についてよく知っている理解者。木太郎の幼なじみ。
有城竹友
風早の街在住の少年漫画家。週二回、茉莉亜とラジオに出演している。
花咲優音
草太郎の妻。桂を産み、すぐに亡くなってしまう。好きな花はクリスマスローズ。
琴絵
木太郎の亡き妻。
花咲楠夫
木太郎のはとこ。
ゆすら
近所の古いレストラン等々力で働いている少女。
轟雅夫
レストラン等々力のオーナー。若い頃、都会で有名な劇団に所属していた。演出家、脚本家。
Posted by ブクログ
花咲家もシリーズ第3弾ですね~
【花咲家の人々】 【花咲家の休日】で今回の旅です。
花咲家の人々はお花の言葉が聞こえる不思議な力があるという、なんとも花好きには羨ましい力のお話ですw
その人々が旅に出る内容でした。
この人の書く本は魔法とか少しファンタジーチックな話が多いけど、童話を読んでいるような優しい気持ちになれる話が多いです。
今回もちょっとここの所お疲れだったので笑癒されました