【感想・ネタバレ】神鳥(イビス)のレビュー

あらすじ

夭逝した明治の日本画家・河野珠枝の「朱鷺飛来図」。死の直前に描かれたこの幻想画の、妖しい魅力に魅せられた女性イラストレーターとバイオレンス作家の男女コンビ。画に隠された謎を探りだそうと珠枝の足跡を追って佐渡から奥多摩へ。そして、ふたりが山中で遭遇したのは時空を超えた異形の恐怖世界だった。異色のホラー長編小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

八王子に勤務していたことのある地元作品と言えるかもしれない。

芸術作品から始まる物語。
芸術家が遭遇した事実を追体験する二人。

それまで越せなかった川を、共体験を支えに超える。
それまで斜めに構えてきた人生が前を向く時が来る。

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2013年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

神鳥イビスは、タイトル通り神に近い鳥イビス=朱鷺をめぐる物語です。
古代から神聖視された鳥であり、日本では1981年に純粋な野生種が絶滅した「喪われた鳥」としても象徴的な存在。その意味でもタイトルにふさわしいと感じました。

物語の核となるのは、夭折した明治の女流画家が残した「朱鷺飛来図」。
その絵に魅せられたイラストレーターの女性と、バイオレンス色の強い作家の男性が、絵に秘められた謎に導かれ、幻想の“滅びの村”へ迷い込んでいきます。

一見は吉祥画の体裁をとりながら、実は地獄絵図が仕込まれている―この設定がとても魅力的でした。吉祥と凶事の二面性を持った絵は、所有する者・見た者を破滅へと引きずり込んでいきます。

ストーリー自体は惹き込まれるのですが、主人公コンビのやり取りがどうも落ち着かず、ホラーとしてはややしっくりこなかったのが残念です。

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2025年08月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

篠田さんの作品って、婚期を逃していると自分で思い込んでいる女性がよく登場しますね・・・。
時代からか、私から見たら「全然OKじゃない?」と思える年齢なのだけれど、時代の流れでしょうか・・。
そしてこの女性の家族もあからさまに結婚してくれることを願っていて、早とちりしてるところが面白かったり。
ホラーなんですが、所々笑えてしまうのが、今まで読んだ篠田作品とは異なるかな・・。

このバイオレンス作家の男、美鈴慶一郎の人間性が面白いです。
バイオレンスとは程遠い、おっとりした感じの冴えない男に見えるんだけど、話が進むうちに駄目な部分まで許せる気分になります。
きっと彼が自分に正直で、そんな自分もさらけ出しているからだと思うんですが・・。
そして主人公の谷口葉子は失恋してから化粧気のないお仕事人間になってしまって、男性を寄せ付けない頑なさがあり、仕事ゆえの熱心さから一番いけ好かないタイプのバイオレンス作家と仕事で組むことになるんですが、この二人のやり取りがまたちょっと笑える。


雪を耳に詰め込み、頭を石で打ちつけて失神し凍死した河野珠枝。河野珠枝の生涯を映画化した女性監督もまた謎の自殺を遂げていた。
河野珠枝の描いた「朱鷺飛来図」には怖ろしいもう一つの絵が隠れていて、それに気がついた二人はますますこの絵に関する情報を集めようとする。
そして踏み込んではならない場所へ入って行き・・・
異次元空間に迷い込んだ彼らを襲う、神鳥・・・

それは人によって絶滅の道に追いやられた朱鷺の怨念の世界・・
巨大な鋭い嘴は迷い込んだ二人を狙う。

後半になると、神鳥との戦いや逃避が怖ろしく迫ってきますが、本当の恐怖はその後からなんだな・・と。
精神までも蝕まれそうになる二人がとった方法、それは上手く行くか分からないままに物語は終わります。
気になるラストですが、きっと彼らなら自分たちの問題も含めて、逞しく乗り越えていけるような気がします。

最初は何故河野珠枝が悲惨な死に方をしたのか、映画監督までが何故自殺したのか謎ですが、ラストに近づくと分かってきます。

怖いんだけど、ちょっと面白い場面もありで娯楽性があるのかしらん。
なので、閉塞感はラストまではあまり感じませんでした・・。

きっと良いほうに向くんだろうなと思えるラスト、お互いが支えあえているうちは・・ね。

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2012年10月05日

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