あらすじ
織田信長の二女、冬。その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な〈女いくさ〉を仕掛けあう。その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、乱世を生き抜いてゆく。自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。
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Posted by ブクログ
人を恨まず、憎まず、お互いを思いやって、生きていける国を、この地に築きたいのだ
冬姫は、天下布武邁進する。信長の間近で、武家の女は、槍や刀ではなく、心の刃を研いでいくさをせねばならならないのです、と言い聞かされて育っていく
私には人の心はわかりません。でも悲しみはわかるような気がいたします
Posted by ブクログ
2021年、7冊目です。
織田信長の娘、冬姫の生涯を描いたものです。
信長の娘にして、名将蒲生氏郷の妻である冬姫の一生を描いています。彼女が生きた時代は、戦国時代の真っただ中から、徳川の世になるまでです。非常にたくさんの歴史上の人物との関わりが描かれています。
大胆な設定ですが、冬姫の母は、信長の正室である帰蝶の娘とされています。
それゆえ、他の娘たちとは別格で、父信長に目を掛けられます。
物語は、「女のいくさ」といわれる女性たちの戦いが描かれています。
戦国時代の男の戦に関わる表現描写はほとんどありません。
父信長の目指した世の在り様を実現しようとする夫氏郷を支えていきつつ、
自分なりの「女のいくさ」をしていきます。
信長の妹お市の方、その娘の淀の方との確執が、織田信長の目指したものを
どうそれぞれが咀嚼して受け継いでいったかの違いとして出てきています。
戦国時代のたくさんの小説を読みましたが、全く違った「姫」さまの視点で、
この時代を捉え、その生き様を描いたことに新鮮味を感じました。
Posted by ブクログ
織田信長の次女「冬姫」の生涯(半生)を描く長編。連作短編の体となっており、冬姫幼少、伴侶となる蒲生氏郷との出会いから徳川政権時代までの数奇な物語を時系列に並べる。
怪奇小説や剣劇エンターテイメントの要素も見せつつ、葉室解釈による(といってもあくまでノンフィクションとしてである)信長秀吉家康時代の史実小説の要素もあって、俺のように日本史にそれほど通じてなくても楽しく読める工夫が凝らされていて読み心地は良い。司馬遼太郎と山田風太郎のテイストを見せつつ、根底に流れる倫理観はやっぱ葉室燐らしく清楚で凛とさせている。
女の戦いは心の刃を研いで行うもの…。これが女の戦いなら、やはり戦いなぞというものはせん方が絶対いい。男の戦いもどうでもいい。戦国大名の表面の生き方を中途になぞらえて自己啓発本にしている書物の罪なところは、政治を戦争という最低の方法で成そうとするものを持ち上げているところにある、と思う俺は、葉室燐小説の底に流れる「武士の生き方」に対する畏敬だけでない皮肉が心地よいのだが、この本にも、わずかにそれが感じられてよかった。
争いは避けえれなくとも、戦争を是とする思想が蔓延すれば滅びを招く。なんやかんや言うてもやっぱり平和が一番。平和ボケでエエやないか。このボケた状態を長く広く広げていくことが、性別を超えた立派な戦いだろうと思うのだが。
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評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
織田信長の二女、冬。その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な“女いくさ”を仕掛けあう。その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、乱世を生き抜いてゆく。自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。
Posted by ブクログ
面白かったです。ただ、天正の世、国を創るために何を為したのか。そこが結局よく分からずで蒲生・織田の生き残り史にのようにも感じられる。まあ、女のいくさが怖いものだと言うことは判り申した!怖い怖い
信長に関わりの深い女たちの物語
帰蝶、お市、茶々、細川ガラシャ、五徳、お鍋の方…
信長の娘である冬姫を中心に戦国を生きる女のいくさが描かれます
昔から戦国武将に纏わる話は好きな方でして…信長関連の創作物は特に惹かれます
しかし、側室がお鍋の方で、子どもの幼名が酌て...
流石、第六天魔王。ネーミングセンスも破壊力抜群
比べると冬姫は良い名ですな
さぞ、贔屓にされた子だったのかとも思いますが実際はどうだったのでしょうかね?
まあ、うつけ者の魔王様であれば常人には判りかねますが...
名が示すように心が澄んでいて厳しさと
やや不満が残ったのは所々にオカルトというかファンタジーなこじつけがあること
定番の虫の知らせ、夢枕に立つくらいなら良いが、少し唐突かつ不必要に思えました
葉室さんの作品らしさ的にも如何なものかと
星は★★☆(2.5点です)
葉室さんへの期待が高いために相当辛めだ
Posted by ブクログ
信長の二女、冬姫を描いた作品。
蒲生氏郷の妻としてしか知らなかったので、
展開が新鮮でした。
物語の争点を、市や茶々、五徳、鍋の方、濃姫やまつなど女の同士の争いを描いています。
最後に織田家ゆかりの女性が揃うのはよかった。
真田丸で茶々を見る目が変わりそうな描かれ方でした。