あらすじ
「豊かな自然に抱かれて暮らす、なんでもない日々を綴ってみたい(中略)大好きな武田百合子さんの、『富士日記』のように」。街の暮らししか知らなかった料理家の私とその夫が、里山の古民家を手に入れた。古い家財道具が眠るそこは百年の時を重ねた場所。街と山を行き来する新しい日々は輝きを増し、震災の哀しみの向こうに照り映える。生活する全ての人々の幸せを祈る「ぶじ日記」。※新潮文庫版に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。
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Posted by ブクログ
料理家 高山なおみによる日記。
日々の暮らし、山の古民家を手に入れたこと、震災後の東北を訪れる旅の様子が記されています。
高山なおみの文章を読むと、素足で地面にしっかと立っているような感じがします。かと言って力が入っている訳でなく自然体で。無理をしていないという感じでしょうか。好きなことを好きなようにやることは、案外力のいることです。それこそ踏ん張らないと、すぐに吹き飛ばされてしまいます。足全体で地面をぎゅっとつかむことが必要となります。でもだからと言って、体全体ガチガチに力を入れることもないのですね。そんなことに気付かされる文章なのです。
僕自身は山の中の古い古い家を改装して使う
なんてことはできないでしょうが、その様子を読むと自然に自分の中に受け入れているのですね。それが心地よく、それこそが文章の持つ力なのだと思うのです。
Posted by ブクログ
料理家の高山なおみさんの日記である。前半は2011年7月に東日本大震災の被災地を巡る3泊4日の旅を描き、後半は2010年の1年間の日記が描かれる。
東日本大震災の被災地の旅では、あの頃の風景が蘇るような描写や被災者の証言が柔らかい普通の言葉で綴られており、痛む心が救われる。
2010年の日記は里山の古民家を手に入れた高山なおみさんと夫の幸せなノンビリとした日々が、ゆっくり語られる。こういう夫婦の関係は羨ましい。