【感想・ネタバレ】何者のレビュー

あらすじ

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。

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就職活動に奮闘する大学生の青春群像劇だと思ったら、最後ものすごいスピードで私の期待を裏切っていった作品(いい意味で)。
就活自体もリアルで重い感じなのに、より話のコアとなるモラトリアムや自我や自意識についての語りがとにかく心をえぐってくるので、心当たりのある方はご注意ください。

「俺は企業に入るんじゃなくて個人として生きていく」と宣言しておきながら隠れて広告代理店を受けていた友達、平凡な日常をキラキラ&ポジティブに変換してSNSへ投稿する友人、夢を追いかけて芝居の道に生きる決断をしたもののネットで叩かれまくっている仲間。
理想の「何者」かになろうと必死な友人の姿は、冷静で客観的な主人公からするとどこか痛々しい。それは巷でよく言われる「意識高い」という悪口にも似ている。
でも本当に痛々しいのは、本当に仲間たちのほうなんだろうか。

誰かの行動に批評ばかりしていても、本人は一生「何者」にもなれない。理想に近づきたければカッコ悪くても、がむしゃらに行動するしかないのだ。
クライマックスでの友人との口論が、心をえぐりつつもとても心に沁みる。年明け1冊目としてはなかなか良い、今年も頑張ろうと思う作品だった。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

就活のリアルを描いていて面白かった。
主人公が就浪している事実に気づいた時は驚いた。
光太郎と瑞樹がいい人すぎて、こういう人物だから就活も成功するのだなって考えさせられたし、大人だなって感心した。

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2026年06月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

就活を経て読み返してみると、共感できるところがとても多かったです。嫌でも他人と比べてしまうことなど就活の嫌な部分の描写がすごいと思いました。また主人公が就職浪人している所が衝撃的であり、行動力のある痛い人を馬鹿にして外から見ているだけではダメだよなーと登場人物たちを見て思いました。

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2026年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

後半の積み重なっていた感情が爆発するところがとても引き込まれた。

"百点を求めて何もしないんじゃなくて十点、二十点でもいいから自分の中から出せ。出さないと点さえつかない。"
"自分は特別でいつか何者かになれると思い込むな。
自分はダサくて醜くてカッコ悪い自分にしかなれないんだから笑われても全力で足掻け。"

拓人や隆良への指摘がまるで自分に言われているかのように刺さった。

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2026年06月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分も主人公のような立場で物語を読み進めていたため、最後の怒涛の展開にとても追い詰められた。まさに就活中の今、がむしゃらに泥臭く頑張ってみようと思った。

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2026年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

朝井リョウさんの本を読むのは初めてでした。

就職活動を通して、現実とSNS、建前と本心そういう人間の黒い部分が見えてくる物語。

心当たりがたくさんあって苦しかった。帯で書いていた通り、ラスト30ページ物語が襲いかかってきてすごい刺された気がする。
私の中の見られたくない部分をどんどん暴かれている気がした。

就活が終わってから読んで本当に良かったと思う。
就活をやる前だと、この微妙な空気感はわかんないし、やってる途中だと読みながら病むと思う。
就活終わってすぐだからこそこの序盤の空気感が共感でしかない。

最後の方で、時系列、時間軸がよくわかんなくなっていたけど、全員が5年生ってところで鳥肌が立った。就活時期が読めなかったこと、キャンパスにいるのが珍しいこと、そういうことだったのか。

朝井リョウの作品をもっと読みたいと思います。
表現の仕方、言葉と言葉の間の情景の説明で人の心を読んでるような気がして面白かったです。

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2026年06月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

理香のことは最後まで好きにはなれなかった。
でも、理香が最後に拓人へぶちまけた感情には、自分にも刺さるものがあった。

「ダサくてカッコ悪い今の自分を、少しでも理想の自分に近づけるために必死にあがいてるんだ」

自分を売り込むために必死になっている姿は、傍から見れば恥ずかしかったりカッコ悪く見えることがある。でも理香や瑞月が言うように、行動しなければ今の自分を認めてくれる人は現れない。必死にもがく人を俯瞰して馬鹿にし、「自分は違う」「そんなことをしなくてもうまくいく」と思っていても何も変わらない。それは傷つくことを恐れて自分を守ろうとしているだけのように感じる。

何者にもなれていない自分と向き合い、それでも前に進もうとする理香や瑞月に比べると、拓人や隆良はどこか子供っぽく見えた。

ただ、拓人の気持ちもよく分かる。必死になりたくてもなれない自分がいる。自分を大きく見せるために嘘をついたり、取り繕ったりすることに抵抗を感じる人もいる。

この作品は「何者かになりたい」と願いながらも何者にもなれていない若者たちの痛みや葛藤を描いた物語だと感じた。描かれているのは就活中の若者たちの姿だが、自分にも通じる部分があり、何度も胸を痛めながら読んだ。

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2026年06月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昔紙で読んでいた。就活生の青春群像がTwitterで描かれているということで、もう少し期待していたけど、人を非難ばかりする気持ちの良くない本だった。最後は反省していたけど、大してスッキリしなかった。5/10

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2026年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

多くの読者が主人公・拓人のSNS裏アカウントに自意識を刺されて悶絶する中、私は別の登場人物に、目を背けたくなるほどのシンパシーを抱いていた。口先だけで「クリエイティブな活動」を気取り、就活のシステムを冷笑する隆良だ。
​かつて、私にも「放送作家になりたい」と本気で願った時期があった。「なぜ皆と同じタイミングで、同じリクルートスーツを着て、人生の仕事を決めなきゃいけないんだ」と社会を斜に構えて見ていたあの頃の感覚。それは、何者かになりたい人間の、ただの言い訳だったのだと今ならよくわかる。
​私たちは、中学生から高校生、高校生から大学生へと進む中で、新しい肩書きを与えられるたびに、中身の足りない自分自身が何か特別な存在に生まれ変わったような錯覚を覚えていく。就活とは、その幻想が最高潮に達するイベントだ。特別な何かの職業を名乗れば、自分は劇的に変われるかもしれないと信じ込んでしまう。
​しかし、本作の本当の恐ろしさは、そうやって何者かになりたいともがく隆良たちを、さらに上から俯瞰し、分析し、評価している拓人のメタ視点の存在にある。物語の終盤で暴かれるあの裏アカウントの正体こそが、タイトルの意味そのものだ。何者かになろうとする者だけでなく、安全な観客席から何者かを評価しているだけの、何者でもない者をも指している。
​痛い奴を冷笑することで、自分だけは一段高い場所にいると錯覚する拓人の自意識はグロテスクだ。だが、隆良のポーズも、拓人の冷笑も、根源にある恐怖はまったく同じなのだと思う。
​それは、どんな肩書きを纏おうが、自分は一生、この痛くて不格好な自分のままでしかないという現実を受け入れる恐怖だ。
​職業名やアカウント名という肩書きに逃げるな。泥を塗って、恥をかいて、打席に立ち続けろ。かつて何者かになりたかったすべての人間の胸を抉り、同時に今ここにある現実へと引きずり戻す、あまりにも残酷で、あまりにも誠実な傑作だと思う。

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2026年06月01日

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