あらすじ
権力メカニズムの機能不全が
企業の「稼ぐ力」を奪う!
カネボウやJALを再生させた日本のガバナンス経営の第一人者が、
古い日本的経営でも米国式株主主権主義でもない新しい経営のあり方を
ストーリー形式で解説する、ガバナンス指南書の決定版!!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
冨山和彦氏によるコーポレートガバナンスに関する本。
主張が明確で、すばらしい示唆を与えてくれる本。
本編とは関係ないが改めて冨山氏のアナロジー活用のうまさが随所にみられてよい。
読み応えのある一冊。
メモ
・日本におけるコーポレートガバナンスの目的は米国企業とは逆の不作為の暴走に対する処方箋となること。権力の適正な健全性を担保しようとするもの
・稼ぐ力を取り戻すために攻めのガバナンスが必要
・コンセンサスベースの意思決定は白黒を鮮烈につけるあれかこれかの意思決定には適さない。事業の撤退・売却や戦略的な大方針転換のように組織内の大きな軋轢や不協和音を生む意思決定を適時かつ大胆に行うには向かない。
・目指すべき道はステークホルダー主義に立脚したエクイティガバナンス。
・コーポレートガバナンス。株主は有権者、取締役会は国権の最高機関たる国会、経営者は内閣総理大臣。前の総理が次の総理を選ぶなんてありえない!閣議たる経営会議をクローズに行うのはわかるが、国会は野党もいて然るべき!
・取締役会の主な役割は世の中目線のモニタリング機能
そのために社外取は重要
・取締役と執行が分離されていないと監査役によるダウンサイドリスクの最小化しか機能しない。本来はアップサイドの問題についても鑑みられるべき。これがマネジメント型取締役会。
モニタリング型取締役会であれば、非常に重要な意思決定だけが取締役会で行われる。社内しがらみのない独立社内取により、白黒つける果断な判断を期待できる。
モニタリング重視の取締役会においては、経営トップの傘下でない独立社外取締役がコミットすることが予定される。
・社外取締役に期待する役割としてはモニタリングが主、アドバイスは従。アドバイスは顧問やコンサルでも可能だが、モニタリングは社外取にしかできない。
・社外取締役は質問力が重要。ステークホルダーに対するアカウンタビリティを高める鍵となる。
Posted by ブクログ
社外取締役の役割みたいなのを知ることができる。
月に1回とかで1000万かーという感じで読み進めつつ、ためになることもいくつかありました。
ガバナンスが必要になるのは、不祥事を起こさないためであるが、これが起こるのは「既存事業が赤字とかで危なくなった時」「社内の権力闘争で告発事象が発生するとき」といった、不健全な状況になった時なので、しっかり成果が出ていれば無縁なものだと思う。ただ、企業は何かしら失敗することもあるので、その時に隠さない体制づくりが必要なのだと感じる。
モラルとか、企業理念とか、そういった教育ができていればいいんだけど。
もう一つ、ダイバーシティについてスッキリした。ダイバーシティというと、多様性と訳され、女性雇用の推進、女性の役員登用、障害者雇用、外国人雇用とかがパッと思いつく。今までの仕組みってすごく居心地が良くて、変えたくないというのが性分だと思う。取り組んだところで、混乱、非効率の発生が起こる。それでも取り組む理由は、取り組んだことで起こる衝突やルールの変更などの経験を通じて、外部環境の変化に対応できる組織や人材を育てることをはじめ、混乱に乗じて変革を起こしやすくすること、混乱の中で新たなサービスや製品開発などのイノベーションを作り出すことができるためである。取り組み時の初期にあるデメリットばかりに目がいかないように、結果も出していかないとな。
社長は結果責任を含め、10年くらいやるのが望ましい。そのためには、30代から篩にかけ、40代後半で着任し、60前後で次に交代するフローが良い。