【感想・ネタバレ】朝鮮王公族―帝国日本の準皇族のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年03月11日

 帝国日本に支配された地域の元為政者について,どれだけの知識を持っているかと言われると,恥ずかしながらあまり持ち合わせていない。「満洲国」においては,宣統帝溥儀の名が,弟溥傑やその妻である『流転の王妃』浩とともによく知られている。
 かたや朝鮮王朝(大韓帝国)においては,近代日本史で大院君や閔妃を知...続きを読むるだけかもしれない。閔妃は,誰の妃なのか,そこまで掘り下げて教えてくれた日本史の高校教師はいただろうか?『映像の世紀』第11集には,幼少期の李垠が伊藤博文とともに数秒登場するが,その後彼がニュースになるのは,梨本宮方子と結婚する程度であったかもしれない。あるいは,赤坂プリンスホテルの旧館(現在の赤坂プリンス クラシックハウス)が旧李王邸だった事実くらいだろうか。
 要は,植民地支配下における朝鮮王公族の暮らしぶりやその後について,全く知る由も無かった。本書は,このように埋もれた重大な関心事に対して,私の目を覚まさせてくれた一冊だと言える。
 各章は,新書としては長めの設定であったが,韓国併合時の処遇,帝国日本における処世,王公族としての葬儀の変遷,戦時・戦後の生活と,うまくまとまっていたと思われる。とくに著者の力がこもっていたのは,第3章第3節「李太王と李王の実録編修」の部分で,『朝鮮王朝儀軌』の一次資料的価値,それに基づいて帝国日本のもとで編修された『李太王実録』などの意義を語る部分であろう。190頁の最終パラグラフが,著者のこの本における真のメッセージだと捉えている。

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Posted by ブクログ 2017年03月20日

[「家」と「国」の間で]韓国併合に際し、王公族という名目で新たに「準皇族」として帝国日本の枠組みに取り込まれた、大韓の皇帝たちの歩みをまとめた作品。現代から振り返るとあまりに「微妙な」立ち位置にあった一族の歴史や考え方に光を当て、日本と朝鮮の歴史に新たな視点をもたらしてくれる作品です。著者は、九州大...続きを読む学韓国研究センターの講師などを歴任された新城道彦。


関心の置き所が絶妙といえる作品。王公族というあまり知られていない人々に焦点を当てることで、これまで明らかにされてこなかった事実だけでなく、当時の物の見方まで紹介してくれている点が素晴らしい。王公族の処遇や厚遇が、冊封体制と近代国家システムの奇妙な落とし子とも言えるのではないかと感じました。また、現在の韓国で王公族についてそれほど関心が高まらない理由を考察した箇所も興味深かったです。

〜『万葉集』には蝶を題材にした歌が一つも収録されていないという。真偽のほどは定かではないが、当時の人々が薬にも毒にもならない蝶に心惹かれなかったからだという話を聞いたことがある。もしかしたら韓国人にとって王公族、特に王族(李王家)はそうした存在なのかもしれない。薬は「抗日」、毒は「親日」である。〜

自分が朝鮮半島の歴史について本当に無知なことに気付かされました☆5つ

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年11月25日

おそらくこのような人たちがいたことは
なかなか知る機会はないだろうと思います。
確かにこれらに属する人たちの中には
日本を憎む人がいたのも確かです。
それはそうです、侵略されたも同然です。

だけれども中には、日本で暮らした期間が長かったゆえに
母国に戻ることを拒否した人もいました。
また、日本の軍...続きを読むに所属し、
不幸なことに原爆の犠牲になったものもいました。

戦後のそれは、もうそれはひどいものです。
だました人間がいたことは、恥ずべきことでしょう。
これには怒りを覚えましたね。

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Posted by ブクログ 2015年05月27日

旧大韓帝国の皇帝一族は、日本の韓国併合後、「準皇族」としての「王公族」という身分となった。本書は、これまであまり目を向けられてこなかった王公族に焦点を当て、日韓近代史に迫ろうとしている。王公族という身分の創設から消滅までの歴史的経緯をまとめるとともに、王公族の各メンバーの人物像も詳らかにしている。セ...続きを読むンシティブなテーマだが、客観的・中立的な記述がなされているのも好印象。
朝鮮王公族については、その存在は知っていたものの、どのような待遇を受けていたのか、どのようなメンバーがいたのか等についてはほとんど知らなかったので、本書の内容は非常に興味深かった。日本側が、韓国併合、その後の植民地統治にあたって、王公族にとても気を使っていたということがわかったとともに、王公族のメンバーもいろいろ複雑な心境を持ちながら、日本と接していたことが伝わってきた。朝鮮の植民地統治を考えるうえでも、朝鮮王公族という立場から見るのと、一般民衆から見るのでは、だいぶ違った様相になり、一筋縄ではいかないということを感じた。

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Posted by ブクログ 2015年04月12日

韓国併合後、朝鮮王族は「準皇族」となり皇族となった。当時の王はそのままソウルに住んだが、二世以降は日本留学のまま東京に住み、皇族の義務であった軍属となった。終戦後、皇族籍がなくなり、そのまま東京に住むもの、韓国に帰るものが出た。李承番政権は王政復古を警戒し冷遇、厚遇されたのは朴正煕以降。

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