あらすじ
多崎つくる、鉄道の駅をつくるのが仕事。名古屋での高校時代、四人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、四人から絶縁を申し渡された。
何の理由も告げられずに――。
死の淵を一時さ迷い、漂うように生きてきたつくるは、新しい年上の恋人・沙羅に促され、あの時なにが起きたのか探り始めるのだった。全米第一位にも輝いたベストセラー!
大学時代、一方的に親友4人に絶縁を宣言された多崎つくる。過去を乗り越えるため、36歳になった彼は絶縁の理由を求め元親友たちを訪ねます。次々と明かされる絶縁の真相と深まる謎。衝撃の結末に読み返さずにはいられない作品です。
恥かしながら村上春樹作品をきちんと読んだのはこの作品が初めてでした、好き嫌いが分かれると聞いていましたが、面白さのあまり止まることなく一気に最後まで読み切りました。
私がこの作品をおススメしたいポイントは、解釈が無限に存在するというところです。私は読み終えたとき興奮が冷めやまず、勧めてくれた友人に連絡しそのあと2人で結末について長らく議論を交わしました(笑)
読めばその回数だけ新しい発見があるはずです。あなたもぜひ新しい解釈を見つけてみては^^
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
初めて読んだのは高校三年の春だった。そのころとは私自身の考え方が随分変わったし、視野も変わっている。約二年越しに読んで思ったのは多崎つくるの感情をより身近なものに感じたし、同時にクロの犠牲にも、どこか孤立無援の静けさを感じた。色彩を持たない多崎つくるが人生で最も大切にしていた四人の友人たち。その四人は彼の望まない形で離れていき、そのうち三人と十六年の月日を隔てて再会する。その再会は、私にはどこか儀式的で、荘厳ささえ感じた。自分を切り離したかつての友人と、再会することができるだろうか。再会した三人は、それぞれ隔てていた年の分だけ変わっていた。シロを起点とした亀裂はその五人グループを決定的に破壊したが、各々にもその亀裂の影響はあった。多崎つくるは自分のことを色彩のないどこか空虚な冴えない人間であると認識しているが、私にはとてもそうとは思えない。彼の周りにはたくさんの色があったが、彼はその色を受け入れるパレットのように、彼ら彼女と触れながらも自分の譲れないことは譲らなかった。互いに影響されながらもその安寧を保つ土台の役割をしていた。
つくるが学生時代に出会った灰田という青年とシロ。二人は他の三人と異なりもう二度と会うことはできない(少なくともシロは絶対)二人とつくるは、やっぱり別離しなければならない運命にあったのだと思う。特に、どんな色にも影響を受けてしまう「白」は、彼女が生きた世界は残酷で無慈悲だった。灰田とつくるが再会してほしいと願うものの、それはやっぱり叶わないのだと思う。
クロの犠牲。短い少女時代をシロのために犠牲にした。彼女は誰よりも早く大人にならなければならなかった。何色にも染まりづらい「黒」。彼女のタフな性格とユーモア。その下で守られるのはきっと心地よくて安心なのだろう。だけどクロ自身の傷には誰も気づいてはくれない。彼女はもう名古屋はおろか日本にすら戻れない、戻ることはないと決意を固めている。フィンランドでの彼女の生活が、長い時間をかけて傷を癒してくれることを願う。これは私自身の願い。
Posted by ブクログ
久々に夢中になって読んだよ。この孤独感はわかる。急に縁切られて絶望する。20代ならでは。
自分には何もないと感じることも。
でもつくるには、駅をつくってきたキャリアがあるじゃん。
沙羅とどうなるか、一緒にいたおっさんは?シロが妊娠した時の父親や殺した人は誰?疑問が残ったまま終わります。
「私はあのころ何かを強く信じていたし、何かを強く信じることのできる自分を持っていた。その思いがそのままどこかに虚しく消えてはしまうことはない」
私にとってのあのころは、出産のため仕事を辞めた時。
Posted by ブクログ
人はそれぞれに固有性を有している。それは時として才能と言われ、時としてただ時代の中に埋もれていく。あるいは誰にも気づかれずひっそりと色を失っていく。
本作のシロには明確にピアノの才能があったかもしれない。しかし、彼女の才能は多崎つくるが見た夢のように世間や社会が才能と認識できなければ無に期してしまう。自分の才能を疑い、自信をなくし色は徐々に褪せていく。才能あるいは人の持っている固有性とはそのくらい曖昧で繊細なものである。
固有性というのは孤独であるのと同義である。誰にも理解して貰えない想いや行き場のない感情をずっと維持していくのは容易なことではない。だから多くの人は社会や世間に迎合していく。それは決して悪いことではない。社会を維持していく為に必要な自浄作用みたいなものだ。多くの人が駅構内をシステマティックに移動するみたいに。
シロはその誰もが有している固有性の象徴である。彼女は死んだ。何者かに殺されて。色を消されたのである。しかしその喪失や残り香のようなものを多崎つくるやクロは今も持っている。おそらく他の二人も。つくるがクロに言おうとしていたように時の中に全てが失われたわけではないのだ。
彼らを繋げていたのは今は失われた或いは褪せたそれぞれの固有性なのであろう。その固有性の裏にあった孤独感が彼らを固い絆で結んでいた。
Posted by ブクログ
もう一度灰田と会って欲しかったです。
あまり内容を全部理解できたわけではないけど、好きな人に振られた時は生まれ変わればいいんだと一つの方法を教えてもらえました。
中盤がとても面白かったです
Posted by ブクログ
つくると沙羅との関係も、灰田が去った真相も分からずじまいだった。含みを持たせて終わっていった。終わってしまったから考えざるを得なくなる。灰田視点の物語も読んでみたい。
色彩を持つ友人たちも、つくると同じように自分の人生を迷いながら進むしかなかった。10代の完璧に思えた均衡は、それぞれの人生の踏み板のような存在だったのかもしれない。勢いよく飛んでしまった後、もう後戻りはできない。考えることを放棄しなかったつくると今の自分を重ねて読んだ。
Posted by ブクログ
一度短編を読み、「難しいかも」と思いながら、これなら読めるかもと思い手に取ったもの。
やはり難しい。特に最後の数ページ。
物語はミステリー小説のように謎を含んでいる。
なぜ、つくるは突然に切られなければならなかったのか。シロは誰に犯され、殺されたのか。しかし、後段の謎は明かされないままでした。
沙羅とつくるはどうなるのか(をなぜ仄めかしもしないのか)?
灰田の登場した意味は?
わかないっす…。
ちなみに、YOUTUBEで「ル・マル・デュ・ペイ」を聞いてみましたが、コメントを見ると皆この方を読んだ人でした。
考えることは同じですねw。
Posted by ブクログ
どことなく郷愁漂う物語でした。つくるにとって人生の中でかなり大きなウエイトを占めていた高校時代の友人グループに絶縁されたという過去。過ぎ去ってしまった過去をやり直すことは出来ないけれども、あの時に何があったのかを振り返ることは今からでも出来る。シロの狂言が原因だったのに、そのシロの苦しみを分かろうとするつくるは豊かな人情味を持つ人物に思えます。物語の中で抱いた疑問に明確な答えを与えず、読者を考え込ませる辺りに村上春樹っぽさを感じます。
Posted by ブクログ
読み終わって率直に思ったのは「、、え?結末は?」
灰原の行方、緑川の存在、シロ(ユズ)の殺害事件の容疑者、沙羅との関係性とかとか。最後に伏線回収したりどんな結末で終わるかと思えば、モヤモヤで終わるとは。。ただ関係が終わってしまうかもと恐れて聞けない主人公の気持ちはよく分かるなと思った。謎を巡って主人公が悩みをどう解決をしていくのが面白いかあ...この主人公は論理思考が優れてるから確かに面白かったかも(途中全然何言ってるか分かんないとこもあったけど)。そういう意味では面白かったなとおもった。